ストイックで控え目な人、とイメージしていた宮澤賢治像は崩された。加えて、貧しい家庭の出では?の付帯情報を自分で作り上げていたのだが。
質屋を営む裕福な家庭の長男。
期待の星として育てられたが、旧制中学の卒業席次は80人中60番台。父はあからさまにガッカリし、質屋を継がせようと修行に入らせるが、働きぶりはハナシにならない。
そして山っ気のある長男は、人造宝石で一儲けしようと、父親に提案する始末だ。長男の能天気。
更に上級学校に進学希望の旨、父に上申する。父「一高など(当時のナンバースクール)は無理だから)早稲田、慶応はどうだ?」と財力に裏打ちされた回答が返る。
転機は活発な妹(トシ)が結核に倒れてから。風の又三郎 を始め、自分の作品を病床の妹に読み聞かせる。その詩作を散見した時から、父の賢治熱が、更に高じて行くのだ。まさに親バカの極。
映画作品で泣くことはない鈍感体質だが...
死の際にいる賢治の傍らで、父が
雨ニモ負ケズ を大声で暗唱する時、涙が溢れ出て止まらない。
こんな体験は、若い頃観たリチャード・ギア『愛と青春の旅だち』
以来です。
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