定年 再就職とシネマの日々(旧かんちゃんSr.のオヤジな日々)

あと3年で70の大台です。再雇用の職場も定年、パート仕事をしています。映画と写真を愛しているオヤジです。

石井裕也監督『茜色に焼かれる』

2021年05月23日 20時39分00秒 | 日記
黒木華も良し、江口のりこもいい味を出すが、尾野真千子はもはや別格の感がある。
社会の強者はトラブルを起こしても、あらゆる手段で保身に走る。
その対極に居る者は、なりふり構わず働けど、弱り目に祟り目の連続である。その中間層は下を見て、弱者をないがしろにする世情である。
尾野真千子より更に若い石井裕也監督が、コロナ禍の世情で、出口が見えない母子家庭の苦闘を、温かい目で取り上げる。
僕がこの監督の作品を観るのは6作目。舟を編むや、最果タヒの詩がベースとなる作品も新機軸を感じたが、今作ではパワーアップした監督の腕を認識する。
内容は書かない。だが劇中、ヒロインが同じセリフを随所で発する。
諦観を込めて、または我が子や職場の同僚への慈しみを込めて。
そのセリフまわしに、尾野真千子の限りないポテンシャルが潜んでいる。



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