新宿駅東南口のシネマカリテ、日曜日最終回だが、観客がずい分いることに驚く。
2016年のイラン・フランスの合作。
主人公は俳優夫婦。取り組んでいる舞台は、アーサーミラー『セールスマンの死』。ストーリーと同時に、劇中の舞台も進行して行く。
ある晩、妻は暴漢に襲われ、それを機に夫婦関係は微妙に壊れていく。夫は妻の心を取り戻すため、犯人をつきとめ、妻の代わりに、心理的な復讐をするのだが。
そのやり方が、妻の望まぬ方向に突き進んでいく。
サスペンスであり、スリラーの要素もあるのだが、人の心から出る復讐心の変容が最も怖ろしい。
イランの文化人を描いた作品でもある。おそらく彼の国では、映像表現にも制約があることがわかる作品であり、そこに挑戦していることも見て取れる。