渋谷には足を踏み入れたくないので、早朝から有楽町駅前で、イザベル・ユペール主演映画を観てきた。
”人は他者の立場に立つことができるのか?”作品冒頭の問いかけである。主人公は40代の設定の高校の哲学教師。
(ユペールは64歳 違和感なし)
子ども2人は独立し、わがまま放題だった母親も他界した。学問は時流に乗れず、出版予定の著作については、編集者と折り合いがつかない。その折、好きな女性ができた、やはり哲学者の夫も家を出る。
弱り目に祟り目の主人公はそれでも「人生初の正真正銘の自由を得た」と強がるが、哲学者となった教え子からは「私的な自由を追いかけているだけでいいのか?」
と批判される。
形而上のことを追究する人々にも、形而下の日常がある。体制と闘った若い頃の自分を懐かしむだけでなく、新たな未来に踏み出すぞ!、のところでストーリーは終わる。
フランス映画だが、劇中でボブ・ディランの心の師 ウディ・ガスリーの曲が流れた。イザベル・ユペール、フランス女優の代表とのことだが、勤務大学に派遣留学生として学んでいるフランス人学生に聞いてみようかな。