漢字家族BLOG版(漢字の語源)

漢字に関する話題など。漢字の語源・ワードファミリー。 現在、荘子「内篇」を素読しています。

re:「縁」の由来 -- 漢字家族

2006年01月25日 01時38分13秒 | 漢字質問箱ログ

 [ブログ内検索] [漢字に関する書籍] [漢字源] [中国古典選]
漢字の由来 投稿者:横内 知子 投稿日: 2006-01-20 22:38:52

  縁という字の由来を教えてください。
  ○の円と関係はありますか?
  どなたか、御教えていただければ、
  大変ありがたく思います。


【縁】

■解字
 会意兼形声。
 彖(タン)は、豕(シ)(ぶた)の字の上に特に頭を描いた象形文字で、腹の垂れ下がったぶた。
 豚(トン)と同系のことば。
 縁は「糸+音符彖」で、布のはしに垂れ下がったふち。⇒彖
彖:図解
※彖
 象形。頭の大きいぶたを描いたもの。字形の上では豕(シ)とほとんど同じ。

 に酷似しているのが、の系列に属するコトバである。この字自体は、頭の大きいブタ(豕)の象形であるが、ブタを t'uan と称したのは、その腹が上から下に垂れ下がっている点に着目した命名であろう。

 ※(シ)は、イノシシの直進する習性をとらえたもの。
 ※(チョ)は、ブタの太って充実し、群居する性質に注目した命名である。

   『漢字語源辞典』(藤堂明保・学燈社)p.541 より


■単語家族
 垂・朶・妥・堕・段・端・断 ・・・・ 上から下へおちる(おす)、
  彖 ─ 縁 ─ 椽 ─ 掾 ─ 篆 ─ ?
■音
 【呉音・漢音】エン
■訓
 ふち, へり, よる, よって, えにし, えん
■意味
 (1)ふち。へり。布や飾りなどのわきに垂れたはし。物のへり。
    ▽去声に読む。《類義語》⇒端・辺。「辺縁(へり)」
 (2)よる。へりからもとへたどる。手がかりによって何かをさぐる。手づるにそって進む。
    ▽以下、平声に読む。《類義語》⇒因(よる)・沿(そう)。
    「縁渓行=渓に縁りて行く」
    「猶縁木而求魚也=なほ木に縁りて魚を求むるがごとし」〔孟子・梁上〕
(3)よって。それがきっかけで。原因となって。《類義語》⇒因。
    「縁愁似箇長=愁ひに縁つて箇くの似く長し」〔李白・秋浦歌〕
(4)えにし。手づる。つながり。「人縁(人どうしのつながり)」「姻縁(インエン)(結婚によるつながり)」「由縁(ユエン)(いわれ)」
(5)《仏教》ある原因、ある条件からある結果を生じる外的条件。
    ▽内的原因を因という。「因縁(インネン)」
    [例] 「花が咲くための因縁」
    【因】直接的な原因 ・・・・ 種をまく
    【縁】間接的な原因 ・・・・ 水をやる、雨が降る、日光が当たる、土を掘り返されなかったetc.
      上記の因と縁がそろってはじめて草木が生育し、花を咲かせることができる。
 《日本語での特別な意味》えん。家のはしに出たえんがわ。


ライン


【円】

■解字
 会意兼形声。
 員(イン)・(ウン)は「〇印+鼎(かなえ)」の会意文字で、まるい形の容器を示す。
 圓は「囗(かこい)+音符員」で、まるいかこい。⇒員
■単語家族
 圏(ケン)(まるくとり巻く)・園(周囲をとり巻いた庭)・宛(エン)(まるくかがむ)・丸・環(カン)(まるい輪)などと同系。また圜(エン)・(カン)(まるく囲む)とも縁が近い


※なお、ピンインは、「縁」「円」ともに、「yuan2」です。
「人民元」のことを、「ジンミンゲン」と読む人がいるが、「ジンミンエン」と読むのが正しい。 
 日本語の「円」は、中国語表記では「元」であり、とくに区別するときは「日元」(日本円)と書き、発音の方もともに「yuan2」で、つまりは「元=円」なのだ。(「百元」を日本語に翻訳すると「百円」となる)
 ただし、両方とも「エン」と呼んでいたら紛らわしいので中国元(チュウゴクエン)の方を「ゲン」と呼ぶことが多い。いちいち「ちゅうごくえん」「にほんえん」と呼んで区別するのは面倒くさいですものね。

戊・戌・戍/巳・已・己 おぼえ方(漢字家族)

2006年01月19日 00時02分37秒 | Weblog


の話題が出たので、若いころ何かで読んだ、まぎらわしい漢字のおぼえ方を、知ったかぶりして書き込んでおきます。

 うろおぼえなので、表現が微妙に違うかもしれません。


(み)は上に、(おのれ)(つちのと)下につき、
半ば開(あ)くれば、(すで)に(や)む(のみ)。

(まも)りゃ、(つちのえ)無くとも、(いぬ)に棒、
衣で(おお)って、手で(ひら)く。

(うり)にツメあり、(つめ)にツメ無し。

培、判官は着て。



【巳】
(音)【漢音】シ 【呉音】ジ
(訓)

【己】
(音)【呉音】コ 【漢音】キ
(訓)おのれ, つちのと

【已】
(音)【呉音・漢音】イ
(訓)やめる, すでに, はなはだ, のみ

【戊】
(音)【慣用】ボ 【漢音】ボウ 【呉音】ム
(訓)つちのえ, ほこ

【戌】
(音)【慣用】ジュツ 【呉音】シュチ 【漢音】シュツ
(訓)いぬ

【戍】
(音)【慣用】ジュ 【漢音】シュ 【呉音】ス
(訓)まもる

漢字家族-漢字の語源・ワードファミリー・解説

re:「旭」の由来 -- 漢字質問箱(漢字家族)

2006年01月13日 01時18分33秒 | 漢字質問箱ログ

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「旭」の由来 投稿者:tomotomo 投稿日: 1月11日(水)18時02分30秒

  「旭」という字の由来を教えていただけますか?
  命名の候補なのですが、あまり良い由来や意味じゃないと
  付けるのかわいそうなので・・・


tomotomoさん、こん○○は、

 文字に「よい字」とか「悪い字」とか、あまり関係ないのではないかと思います。

 ただ、例えば「悪魔」などという文字を名前にすると、(友達にからかわれたりして)その子どもが無用なことに神経をすり減らすことになるでしょう。自分の名前に誇りをもって正々堂々と生きていけるといいのですが、上記のような名前をつけられると、そういう生き方ができるようになるまでに、つまらないことで試練が与えられそうです。

 と、まあそのような奇抜な発想をのぞけば、親が真剣に考えてつける名前ですから、将来、お子さんに「君に○○○のように育ってほしくて、この名前をつけたのだよ」と説明できることでしょう。

 そうすれば、親の願いを受けて、お子さんは高々と晴れやかな志をもって生きていけることでしょう。私には「旭」は、誇り高くかがやけるよい名付に思えます。

 ただし、真剣に考えることと、画数占いなどを気にしたり、必要以上に神経質になることとは同じではないと思います。

【旭】

■音
 【漢音】キョク 【呉音】コク
■訓
 あさひ, あきらか
■名付
 あき, あきら, あさ, あさひ, てる
■解字
 会意兼形声
■意味
 あさひ。「旭日(キョクジツ)」
 (1)あさひ
 (2)あきらか。きらきら輝いて明るい。

※「九」は語源的にいうと、考・宮・窮などと同系で「つかえてまがる」の家族です。
ものごとが最高の状態にまで達して、ターニングポイントを見つけ、新しい価値を見いだすタイミングのことだと考えてはどうでしょうか?「九の言たる究なり」<白虎通>。「九」は十進数の分岐点で、最後の引き締めにあたる数であり、位取りしてあたらしい展開を生み出す数字ですよね。「九+日」で、前途も輝いています。

re^2:「旭」の由来 投稿者:tomotomo  投稿日: 1月13日(金)19時09分1秒

 nothingさん。ご回答、ありがとうございます。
 旭という字、息子に是非付けて、将来名前の由来を聞かれた時に、
 胸を張って答えてあげられそうです。
 日の出と共に産声をあげた旭。冬の澄み切ってキラキラした朝の光のような、
 そんな子に育って欲しい・・・
 思いを込めて、名づけたいとおもいます!!

 本当にありがとうございました。



re^3:「旭」の由来 投稿者:nothing 投稿日: 1月14日(土)05時23分9秒

tomotomoさん

>日の出と共に産声をあげた旭。
>冬の澄み切ってキラキラした朝の光のような、
>そんな子に育って欲しい・・・

m(^_^)v
「旭」ちゃんの健やかなご成長をお祈り申しあげます。


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漢字質問箱(バックナンバー)語源 -- 漢字家族
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re^3:「愛」と「恋」の語源、成り立ちを教えてください!!

2006年01月10日 02時38分56秒 | 漢字質問箱ログ


re:「愛」と「恋」(1)re:「愛」と「恋」(2)

re:「愛」と「恋」(3)  投稿者:Nothing 投稿日:2003年 3月24日(月)11時14分24秒

<恋>

■解字
会意兼形声。戀の上部(音レン)は「絲+言(ことばでけじめをつける)」からなり、もつれた糸にけじめをつけようとしても容易に分けられないこと。乱(もつれる)と同系のことば。戀はそれを音符とし、心を加えた字で、心がさまざまに乱れて思いわび、思い切りがつかないこと。
■単語家族
乱・巒(ラン)(きりがなく連なって続く山々)・「戀-心+子」(ラン)・(レン)(もつれ連なってうまれる双生児)などと同系。
■音
レン【呉音・漢音】
■訓
こう, こい, こいしい
■意味
(1)こう(こふ)。こいしい(こひし)。断ち切れずに心が引かれる。思いわびる。いつまでも慕わしく心が乱れるさま。「留恋」「恋桟(レンサン)(職をほしがって執着する)」
「羈鳥恋旧林=羈鳥は旧林を恋ふ」〔陶潜・帰園田居〕
(2)こい(こひ)。男女が慕い合って思い乱れる気持ち。「悲恋」



re:「愛」と「恋」(1)re:「愛」と「恋」(2)

re:「愛」と「恋」(4) 投稿者:Nothing 投稿日:2003年 3月24日(月)11時20分45秒

<愛>

■解字
会意兼形声。旡(カイ)・(キ)とは、人が胸を詰まらせて後ろにのけぞったさま。愛は「心+夂(足をひきずる)+音符旡」で、心がせつなく詰まって、足もそぞろに進まないさま。
■単語家族
既(キ)(いっぱいである)・漑(カイ)(水をいっぱいに満たす)と同系。また、哀(アイ)(胸が詰まってせつない)ときわめて近いことば。
■音
アイ【漢音】 オ, アイ【呉音】
■訓
いとおしむ, いとしむ, めでる, おしむ
■意味
(1)いとおしむ(いとほしむ)。いとしむ。かわいくてせつなくなる。「恋愛」「可愛=愛すべし」
「愛厥妃=厥の妃を愛す」〔孟子・梁下〕
(2)めでる(めづ)。好きでたまらなく思う。また、よいと思って、楽しむ。「愛好」
「停車坐愛楓林晩=車を停めて坐に愛す楓林の晩」〔杜牧・山行〕
(3)おしむ(をしむ)。いとおしむ(いとほしむ)。おしくてせつない。もったいないと思う。「愛惜」
「百姓皆以王為愛也=百姓皆王を以て愛めりと為す」〔孟子・梁上〕
(4)かわいがる気持ち。いとしさ。また、キリスト教で、神が人々を救ってくれる恵みの心のこと。



ありがとうございました! 投稿者:菊池 投稿日:2003年 3月26日(水)23時11分02秒

 自分の解釈だけでは、ずいぶんと間違っていることが多かったです。ありがとうございました。





数年前に漢字質問箱に掲載したものを、このブログに再掲載しました。

漢字家族-漢字の語源・ワードファミリー・解説

re^2:「愛」と「恋」の語源、成り立ちを教えてください!!

2006年01月10日 02時23分48秒 | 漢字質問箱ログ


re:「愛」と「恋」(1)re:「愛」と「恋」(3)

re:「愛」と「恋」(2) 投稿者:nothing 投稿日:2003年 3月24日(月)03時29分44秒


つぎに、「愛」。


「胸いっぱいの切なさ」

== 引用はじめ ==

 は「喜び」よりも「悲しみ」を与えるものだそうだ。およそ愛とは、異常な心の高まりだから、愛の心は必ず「切なさ」を伴うものだ。そして「切なさ」は、むしろ悲しみに近い。
 という字は、昔は「旡+心+久」と書いた。今日のという字の下半部は原型のままだが、その上部は旡(カイ・アイ)のひどく変形したものである。このという部分は、アイという発音を示す大切な個所でもある。そこで、旡-既-慨-漑-概など、およそを含むコトバを並べて考えてみる必要があろう。

 とは、人間が腹をいっぱいにつまらせて、ウーンと後ろにのけぞった姿である。の字は、お盆に盛ったごちそうを前にして、たら腹食べ終わった人間が、ウーンとのけぞっているさまを表す会意文字である。の字の左側は付図のように、盆上に盛った丸いオマンジュウである。今日でも「いっぱい」になった状態を既(キ)という。たとえば日食や月食のとき、黒い蝕(ショク)の部分が、太陽や月の表面をいっぱいに食い尽くしたのを「皆既食」という。「し尽くした」のは「すでに終えて余白がない」ことだから、には「すでに」という副詞の意味も生じてくる。
 水をドクドク注いで田の面もいっぱいに満たすのを灌漑という。この漑(ガイ)とは、水を「いっぱい」にすることである。また、四角いマスでお米をすくい上げると、どうしても凹凸が生じてマスの隅々には米が行き渡らない。その時「マス掻き棒」を使ってサッと表面をならすと、お米はマスの隅々まで届いて、マスはいっぱいになる。「いっぱいに」ならす棒のことを概(ガイ)という。ならすという意味に傾くと、「大概」(ならす→おおよそ)とか「概略」(ならしたあらまし)という意味となるが、の字の本義はマスを「いっぱいにする」棒のことである。最後に、心がいっぱいにつまるのを慨(ガイ)という。怒って胸がいっぱいになるのは憤慨、感動して胸いっぱいにつまるのは感慨という。そして、胸いっぱいの切なさ-それをというのである。それは心の姿だから、の字をそえ、また切なさに足を引きずり、歩みも滞(とどこお)りがちとなるので、足ずりの形をそえた。それは憂(ユウ)の字の場合に、「心+夂」をそえたのと同じ意味である。

 もっとも「切ない」のは恋しい場合だけとは限らない。「ああ、もったいない」という場合にも胸がいっぱいにつまる。だから愛情の「おしむ」と訓じるのである。
 斉国は偏小なりといえども、吾なんぞ一牛を(お)しまんや!<孟子>
 ケチンボじじいが「ああ惜しい」と十円玉を哀惜する心と「あの子恋しや」と切ながる気持ちとを同一視されては、叱られるかもしれない。しかしどちらの「胸いっぱいの切なさ」という点では同じなのである。


== 引用おわり ==

数年前に漢字質問箱に掲載したものを、このブログに再掲載しました。

re^1:「愛」と「恋」の語源、成り立ちを教えてください!!

2006年01月10日 02時20分22秒 | 漢字質問箱ログ

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投稿者:菊池 投稿日:2003年 3月19日(水)22時34分23秒

「愛」と「恋」の語源、成り立ちを教えてください!!

re:「愛」と「恋」(2)re:「愛」と「恋」(3)

re:「愛」と「恋」(1) 投稿者:nothing 投稿日:2003年 3月24日(月)02時50分59秒


菊池さん。大変お待たせいたしました。
「愛」と「恋」について、まずは、絶版となった『言葉の系譜』(藤堂明保)から引用します。
それでは、「恋」から、

== 引用はじめ ==

 ところで「もの思う」とは、どういう心理なのであろうか、いま戀(恋)の字の上部をみると、それは左右にを書き、中央にの字を配してある。とはズバリと裁断する明白なコトバである。糸が左と右にあって、容易に裁ち切れぬさまをにおわせたのが、この「戀-心」という部分である。してみるととは、まさしく糸が乱れて千々に乱れる、そのような心を表すコトバであろう。いったい今日の楷書は、秦の始皇帝が統一して定めた小篆の字体を継承したものだ。ところで、秦の統一のさい、採用されなかった古代文字、俗に「古文」と称する字体があるが、の字の古文は、ほとんど亂(乱)の字の左側と同じである。してみると、恋-乱は、きわめて近いコトバだということが判明する。

 そこでとは何かを考えてみよう。その左側は、上と下とから手が差し出されており、その中間に糸巻きにもつれた糸が描かれている。つまり、糸がもつれて、ズルズルと結末がつかず、二本の手でさばきかねているさまである。右側の乙印は、後に加わったもので、軋(アツ)の右側と同じく、おさえて処理する意味をそえたものだ。乱 luanの語尾のntに転じると、埒:図解luat(ラツ)という語形となり、寽・「寽+手」・埒などの字で表される。もまた、上と下とに手があり、中央に一印が描かれた会意文字だ。そこで「寽+手」は、両方から物を取ろうとして引っぱり合い、容易にケリのつかぬさまを表している。日本語で「ラチがあかない」というそのラチは、この寽・「寽+手」を音訳した借用語なのである。乱-「寽+手」は同系の語で、もつれ合ってケリのつかぬこと、つまり「ラチのあかない」さまを意味する。

 恋(レン)と近いのは、ケイレン(痙攣)のである。ケイレンとは、筋肉が上下から引っぱってもつれ合い、ラチのあかぬ状態である。二人以上の赤ちゃんが、もつれ合って生まれるのを攣生(レンセイ)という。これも(もつれ乱れた心)と同系である。そこで恋する者の心理は明らかとなった。恋(レン)とはつまり「乱(ラン)した心」、ちぢにもつれて収拾がつかず、ラチのあかない心理なのである。ああも思い、こうも思い、ケイレンしたようにズルズルとつながってケリがつかない、「あい見ての後」の、「もの思う」心とは、そうしたものらしい。


== 引用おわり ==

数年前に漢字質問箱に掲載したものを、このブログに再掲載しました。

re:「弔」という漢字の語源について

2006年01月07日 02時55分33秒 | 漢字質問箱ログ

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投稿者: もも  投稿日:12月23日(金)23時54分40秒

弔の漢字について由来が知りたいです.
私は弓道をしていたんで弔の字に弓が入ってるのが気になります.
予想では昔死んだひとを埋めたところに弓をたてたとかそんな感じかな~と思ってます
お願いします


【弔】

弔:図解
 ももさん、「弔」という字は、確かに「弓」を含んでいますね。でもこれは「ゆみ」ではなく、「棒きれ」を表します。

 「弔」は、

鳥・弔・吊・督 ・・・ 細長く垂れ下がる

 の家族で、天が恵みをたれるというのが原義です。

棒につるが巻きついてたれたさまを描いたもので、上から下にたれる意を含み、天の神が下界に恩恵をたれること。転じて他人に同情をたれること。

 古典では、「不弔昊天」<詩経・節南山>とか、「昊天不弔」<左伝・哀公16年>など、天を怨む場合に用いる慣用句があるそうです。これは「天が恵みをたれたまわぬ」という意味で使われています。

 藤堂明保博士は、「弔問(とむらう)の意に用いるのは、恵みをたれる(なさけをかける)という所から生じた派生義であろう」と書かれています。(漢字語源辞典・学燈社)

 ということですので、字形については上の「図解」をご覧ください。

犬・狗・戌(いぬ)干支 -- 漢字家族

re:「闇」という漢字

2006年01月07日 01時42分02秒 | 漢字質問箱ログ

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投稿者: あああ  投稿日:12月19日(月)09時51分14秒

闇という漢字はどうして音が門に閉じ込められてるんですか?

【闇】

 「暗」(アン)と全く同形で、入口をとじて中を暗くふさいだこと。「禁」(とじてふさぐ)とも縁が深い。
音:図解
「音」の字形の下部は、「甘」で、口の中に印を含んで、モグモグと口ごもりつつ味わっていることを表す。(「甘」は「含」ときわめて近い)

 してみると、「音」とは、口に何かを含んだように、モグモグしてことばの態をなさず、ノドから声だけが「ウーウー」と出るような言い方である。この「音」の原義は、「諳誦」の「諳」(アン)の字に保存されている。

 文章を諳誦するには、いちいちの単語を明白には発音せず、「ウンウン」と口ごもって低い声だけを出すのが普通である。

 このように、発音のけじめが明白でないのをというが、くらくて物のけじめが見分けられない場合には、という。

■解字
会意兼形声。「門+音符音(オン)・(アン)(口をとじて声だけ出す。ふさぐ)」で、入り口をとじて、中をくらくふさぐこと。
暗とまったく同じことば。
■単語家族
吸・合・邑・今・念・禁・陰・緘・音・暗 -- 中に入れてふさぐ
■音
アン(アム)【漢音】 オン(オム)【呉音】
■訓
くらい, くらくする, やみ
■意味
(1)とじる。門をしめる。
(2)(アンナリ)くらい。(クラシ)はっきり見えない。道理がわからない。くらがり。
  《同義語》⇒暗。「闇夜(アンヤ)(=暗夜)」「闇昧(アンマイ)(=暗昧)」
(3)(アンニス)くらくする(くらくす)。よく見えないようにする。物事がわからないようにする。
  「闇人主=人主を闇にす」
(4)(アンニ)目につかぬところで。黙って。暗黙のうちに。
  《同義語》⇒暗。
  「闇合(アンゴウ)」
  「闇与山僧別=闇に山僧と別る」〔李白・秋浦歌〕
(5)「諒闇(リョウアン)」とは、天子が喪に服するためにとじこもる建物。また、とじこもる期間。
  ▽平声に読む。《同義語》⇒諒陰。
《日本語での特別な意味》
 ①やみ。月の出ていない夜。くらがり。
 ②やみ。正規の手続きによらない取り引き。「闇取引」「闇相場(ヤミソウバ)」

犬・狗・戌(いぬ)干支 -- 漢字家族

re:大丈夫という字はなぜ夫という字を使うのですか?

2006年01月05日 04時18分32秒 | 漢字質問箱ログ


 ブログを操作しているうちに、大晦日に書いた上記の表題の記事を削除してしまった。(^^;
ボーゼンとして浩然の気が湧いてこないが、駑馬にむち打ち、無理矢理にでも気合いを入れて再度入力しよう。

【大丈夫】ダイジョウフ・ダイジョウブ

『孟子・滕文公下』

居天下之廣居,立天下之正位,行天下之大道 得志與民由之,不得志獨行其道

・広大な天下で、仁という住居に住み
・礼という天下の正しい位置に立ち
・義という天下の大道をおこない
・志すところを得て政権をとるときは、民とともにこれを行い
・志を得ない場合は退いて独りでその道を守る


富貴不能淫,貧賤不能移,威武不能屈 此之謂大丈夫

・地位や金で誘惑されても、心を動かされることがない
・貧しい状況に追い込まれても、守っている行いは変えない
・権力や武力で責められても、志が揺らぐことはない
・これこそが「大丈夫」というべき人である

 このように、堂々として、りっぱな男こそ「大丈夫(ダイジョウフ)」といえるのだ、と孟子は言いました。
 「夫」とは、「成年に達したおとこ」の意で、(自分より世代が一段上である男子)・伯(長老の男)と同系。そのコトバをあらわす字形は、象形文字で、大の字にたった人の頭に、まげ、または冠のしるしをつけた姿を描いたもの。

 日本語の用法では、「もう心配しなくても大丈夫」などという使い方をしますが、これは本来の意味とはかなりズレた使い方。中国人の先生がおもしろがって本国の人に紹介していたほどです。
 ではどうしてこのように意味がズレたのかというと、

 「大丈夫(りっぱな男)がそばにいてくれたら、もう安心」

 ということで、「もう大丈夫(ダイジョウブ)!」というようになったと想像されます。それがさらに用途が広がり、今では「不要緊・没関係 bu3 yao4 jin3 ・ mei2 guan1 xi4 かまわない、心配いらない、気にしないで)」の意味で「大丈夫」を使用するようになったので、本来の意味を類推できなくなりました。表題のような疑問が生ずるのもしかたがないことでしょう。
 ということで、「なぜという字を使用するか」というよりも、もともと「大丈夫」という熟語なのです。「ダイジョウブ」ということばに当て字をしたわけではありません。

 フーっと一息。またまた走り書きをしてしまった。

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