漢字家族BLOG版(漢字の語源)

漢字に関する話題など。漢字の語源・ワードファミリー。 現在、荘子「内篇」を素読しています。

re:俳句の「俳」という字は?

2010年05月19日 05時08分00秒 | 漢字質問箱ログ

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お願いします(俳句の「俳」)
 投稿者:福田 珠代  投稿日:2010年 5月18日(火)13時52分1秒

 今回初めて質問させていただきます。
国語の授業で俳句単元をしております。そこで…
俳句の「俳」という字は、どのような意味があったのか、という話になりました。
「非」という字は、あまりよい意味では使われていないので、そこに人(にんべん)を
いれるところに何かがあるのかな、と疑問に思っています。
ぜひ、その語源(なぜ俳句の「俳」は、この字になったのか、ということ)を教えて
いただきたく、メールさせていただきました。
ご返答、よろしくお願い致します。


Re: 俳句の「俳」  投稿者:Nothing 投稿日:2010年 5月19日(水)05時02分59秒

・・・なぜ俳句の「俳」は、この字になったのか、

というところは文学者に教えてもらいたいところですが、漢字(漢語)的に見てみますと・・・

「俳」

■解字
非は、羽が右と左に逆に開いたさま。
扉(ヒ・左右に開くとびら)と同系。
俳は「人+音符非」で、右と左にわかれてかけあいの芸を演じる人。
■音
【漢音】ハイ、【呉音】ベ、【ピンイン】pai2
■意味
・右と左と並んでかけあいの芸をして見せる人。おもしろい姿をして見せる道化役。
・ざれごと。
・右に左にとコースを踏みはずしてさまよう。
・左右に分かれる。
・(日本)「俳諧」のこと。
■単語家族
非・飛・分・弗・払 ・・・ ふたつに分かれる の家族

「俳諧」とは、おどけこっけいの意。また「俳諧連歌」の略。卑俗・滑稽味を主とする連歌をいい、近世に入っていわゆる連歌から分かれて独自の文学として独立した。(諧謔の諧)

連歌から分かれて・・・というところが、単語家族の意味と合致していますが、ここまでくるとこじつけに近くなります。日本独特の言葉の使い方なので、滑稽味をもった、(正規の)連歌とは違う文学という意味で名付けられたのでしょうか。
いずれにしても、文学者か文学史専門の方にうかがわないと、勝手な解釈になってしまいますね。

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re:「詰」という漢字について

2008年12月20日 23時32分03秒 | 漢字質問箱ログ


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「詰」という漢字について 投稿者:㈱猪野工務店  投稿日:2008年12月19日(金)09時57分4秒

詰という漢字について会意形声文字だと思いますが、
意味など詳しく教えてください。
よろしくお願いいたします。


『漢字語源辞典』(学燈社・藤堂明保)によると、次のとおりです。





■音
 【漢音】キツ 【呉音】ケツ
 【訓読み】つめる, つまる, つむ, なじる, とう, つめ, つまり

■解字
 会意兼形声。
 (キツ)は、口印(容器のくち)の上にかたくふたをしたさまを描いた象形文字で、かたく締めるの意味を含む。(ひもで口をかたくくびる)が吉の原義をあらわしている。
 詰は「言+音符」で、いいのがれする余地を与えないように締めつけながら、問いただすこと。転じて、中にものをいっぱいつめこんで入り口をとじること。
<周礼・大宰>「刑典もて邦国をす」の鄭玄注に「禁なり」とあるように、固く締めて取り締まる意。弁解の余地を与えず相手を鋭く締めつける問い方を詰問という。いわば締めつける言語行為である。

■意味
 (1)なじる。きびしいことばで相手を責めつける。責めなじること。「詰責」「面詰」
 (2)とう(とふ)。といつめる。また、逃げる余地を与えず、といただす。きつくとりしまる。「詰問」
 (3)つめる(つむ)。つまる。ものをつめこむ。いっぱいに満たす。ぎりぎりにおしせまる。

■単語家族
 吉・結・詰・拮・頡・髻・壱・肌・臣・堅・緊・虔 ・・・ 固く締まる の家族

 なお、日本語での特別な意味としては・・・

つめる(つむ)。間をせばめる。また、長さなどを縮める。追いこんで身動きがとれないようにする。
つめる(つむ)。出勤して控えている。当直する。「江戸詰め」
つめ。はて。どんづまり。「大詰め」
つまり。とどのつまり。結局。


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「東」に似た部首?(柬)について

2008年09月28日 13時45分18秒 | 漢字質問箱ログ

 [ブログ内検索] [漢字に関する書籍] [漢字源] [中国古典選]
東に似た部首? 投稿者:瀋陽  投稿日:2008年 9月28日(日)12時38分51秒

 諫早 欄干 波瀾万丈などに使われる
 東に似た部分があります。これ単身の漢字は
 なさそうです。これはどのような意味で使われているのでしょうか
 ちなみに東の部首は木のようですが、これは木で引いても
 出てきません。教えていただけないでしょうか。


 瀋陽さんへのお返事です。

 「柬」という字は単独で存在します。
 「諫」と「欄」、「瀾」などは、別の家族に属するようです。

【柬】
 ■解字
  会意。「束(たば)+八印(わける)」。たばねたものをよりわけることを示す。
 ■音
  【漢音】カン 【呉音】ケン
  【訓読み】えらぶ
 ■意味
  えらぶ。えりわけて取り出す。選抜する。

【諫】
 ■解字
  会意兼形声。「言+音符(カン・よしあしをわける、おさえる)」。
 ■意味
  いさめる(いさむ)。いさめ。目上の人の言動をよりわけて、不正をおさえとどめるために意見する。


【欄】
 ■解字
  会意兼形声。「木+音符(ラン・さえぎる)」で、横に連ねて出入りを止める棒のこと。

【瀾】
 ■解字
  会意兼形声。は、出入り口の左右を横につないで出入りをとめること。瀾は「水+音符闌」で横に波頭をつらねたなみ。ずるずるとつながる意味を含む。⇒闌


【東】 の部首は「木」ではありません。
 「東」=「木+日」という説は誤りです。(訂正します)
 これは、本編にありますので、是非こちらをごらんください。
   ↓
10.「東」「同」「通」「衝」「童」「用」 ・・・(つきとおる)の家族

Re: 東に似た部首? 投稿者:nori  投稿日:投稿日:2008年 9月28日(日)14時00分35秒

nothingさん、お久しぶりです。

東の部首の件ですが、次のように考えております。

部首とは辞書編集者が辞書利用の便宜を目的に、楷書なり明朝体なりの、字形上の特徴から(その時の知見をもとにして)漢字を分類したもの。従って、特に、字源研究が進めば、字源とはかけはなれてしまう場合がある。

「東」=「木+日」という説は俗説だと思います。しかし、現在、木に分類している辞書がほとんどなので「東の部首は木である」のはしかたがないと思っています。というか、部首ってそういうものなんだろうな、と。

そこで質問ですが、東の部首を新たに設定するとしたら何でしょうか?
御意見をいただければ幸いです。

Re: 東に似た部首? 投稿者:nothing  投稿日:2008年 9月28日(日)22時42分11秒

noriさんへのお返事です。


> 部首とは辞書編集者が辞書利用の便宜を目的に、楷書なり明朝体なりの、字形上の特徴から(その時の知見をもとにして)漢字を分類したもの。

そのとおりですね。
字源的に「東=木+日」で成り立っているわけではない、とはいえますが、
東の部首は「木」ではない、とはいえないですね。
訂正いたします。

今、説文解字を見てみますと、「従木」とありましたので、多くの辞書ではこれにもとづいて部首を「木」としていると思います。(基本的には「康熙字典」を踏襲しているはずですが)
引く側から見れば、これは自然なことで引きやすいと思います。
すでに何度もコメントしていますが、長澤規矩也著の三省堂の明解漢和辞典では、
もちろん「木」で引けると思いますし、
「勝」という字も語源にかかわらず、「月」で引けるようになっています。

「部首」での分類をはじめた説文にしたがえば当然「木」となりますし、他の辞書でも同様だと思います。
「字源」と「部首」とは別々に考えないといけませんね。
回答をあせると、こういうミスがでます。
ご指摘ありがとうございました。

> そこで質問ですが、東の部首を新たに設定するとしたら何でしょうか?

新たに設定する必要性はないと思います。

Re: 東に似た部首? 投稿者:瀋陽  投稿日:2008年 9月28日(日)18時09分55秒

nori様へ、nothing様へ
ご丁寧なご回答まことに恐縮です。

nothing様の
>「柬」という字は単独で存在します。

でもう一度よくみましたら
木の部の5画目にありました。
失礼いたしました。

漢字に理解不足な私にとって音も意もわから
ないもののとき、漢和辞典(漢辞海)を持ち出して
もいつも苦労しています。音がわかれば国語辞典で
引いてしまい、漢和辞典は敬遠しがちで、なかなか
慣れません。

大変助かりました。どうもありがとうございました。


以上


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暗・鮭の成り立ちと参考図書について

2008年08月31日 13時49分33秒 | 漢字質問箱ログ

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暗・鮭の成り立ちと参考図書について 投稿者:すう  投稿日:2008年 8月31日(日)11時51分21秒

 はじめてまして。質問が3つあります。

 1.「暗」は「音」の同系で、はっきりしないの意で暗いとありましたが、なぜ、へんが「日」なんでしょうか。(日があると、逆にはっきりするような気がするのですが。。。)

 2.鮭はなぜ魚へんに土が二つなんでしょうか。

 3.漢字の好きなドイツ人に日本語を教えていてこの手の質問が多いのですが、ドイツ在住で日本の図書館に通うこともままならず、困っております。参考図書を購入したいのですが、お薦めがあれば教えてください。突然変な質問ばかりで申し訳ありません。よろしくお願いたします。

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1.「暗」は、なぜ、へんが「日」?

 「へん」はその字が何に関係するかを表します。
 「つくり」基本義をあらわします。

 基本的な意味は、「うちにこもって、けじめが明白でない」こと。

 「暗」と同じ単語家族の、「喑」「諳」は、「へん」が「口」もしくは「言」ですので、それが言葉に関係していることがわかります。
 つまり、口ごもって、「発音のけじめが明白でないこと」。これらは、「音」という字のもともとの意味を表します。

 聴覚から視覚へと目を向けると、「暗」は、「日」へんで、日光に関係していることを表します。

 (狭い部屋などに閉じこもって)日光が届かず「くらくて物のけじめが見分けられない」状態を表すために「日」へんをつけました。


2.鮭はなぜ魚へんに土が二つなんでしょうか?

 「土+土」 ・・・ 「上の鋭く、下の方(しかく)なるを珪(ケイ)という」<荘子・馬蹄>
 「圭」(ケイ)は、古代の玉器です。天子が諸候に領地を与えた印として持たせたものですが、その形は、上がとがった三角形をしていました。
 どうして玉器が「三角形」をしているのかというと、もともとは「三角形の土盛り」を真似たものです。古代、諸候を封ずる儀式のおり、領有する地域の土を三角の形に盛り、土地の領有を神に告げたので、その象徴的な形を玉器にしたのです。

 さて、それでは「鮭」はというと

■解字
 「魚+音符圭(ケイ・△型にとがった、形がよい)

 すらりとして形がよいところに着目してつくられた漢字なのでした。

 「鮭」=「魚+圭 すらりとして形がよい魚」
 「佳」=「人+圭 すっきりと目立つ人、すっきりと形よくととのった人」(だらしないことの反対)
 「恚」=「心+圭 心をかどだてておこること」


3.参考図書のお薦めは?

 参考図書については、こちらにおいでるみなさんが、それぞれお答えくださることでしょうが、このサイトでお薦めしているのは、

 「藤堂明保博士著作データベース」です。
 http://1st.geocities.jp/ica7ea/kanji/hakase.xls
 (:Exel用のファイルです)


 外国の方に日本語を教えられるということですが、ご苦労も多いと思います。
 また、よろしければ、日本語をご教授される過程でお気づきになった点など、このBBSでお知らせいただければ幸いです。

Re^2:暗・鮭の成り立ちと参考図書について  投稿者:すう  投稿日:2008年 8月31日(日)17時15分17秒

 早々のお返事ありがとうございました。私自身、大変勉強になりました。生徒がもう少し日本語ができるようになったら、ぜひこちらのサイトにお邪魔するようにと言おうと思います。本当にありがとうございました。


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「漢」「字」の成り立ちと変化について(2)

2008年08月31日 03時52分40秒 | 漢字質問箱ログ

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「漢」「字」の成立ちと変化について 投稿者:くりまま  投稿日:2008年 8月29日(金)16時23分18秒

 こどもが夏休みの宿題で「漢字新聞」を作っています。漢字の「漢」「字」の成立ちと変化を調べているのですが、持っている本にはのっていなくて困っております。
 ご存知の方教えていただけましたら助かります。よろしくお願いいたします。


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 ご質問には、「成立ちと、変化について」とありますが、「変化」とは、意味の転化、あるいは派生義のことでしょうか。これについての説明はできておりませんが、ただ、「字」について、少しだけ補足します。

 本名のほかにつける名を(もうひとつ名前を増やすので)、(あざな)といいます。

 中国を中心として、東アジアの漢字文化圏では、本名(諱・いみな)を呼ぶことはきわめて無礼なこととされています。したがって、通常は「字(あざな)」で呼びかけます。

 本名をさけるということは、とくに身分の高い人に対しては徹底していて、たとえば、先日中国の「嫦娥1号」「今年2回目の月蝕試練を順調にパスした」ということがニュースになっていましたが、この「嫦娥」(不老不死の薬を盗み出し、月へ逃げ去った美女 ─『小説十八史略』を参照!)は、本来「姮娥」と表記されていました。
*注姮娥・嫦娥 

 ところが、の時代になって、文帝の諱(いみな)が「恒」であったため、おなじ「旁(つくり)」をもつ「姮」の字をさけ、同様の意味を表すために「嫦」と書くようになったのです。

 また、結婚の「婚」という字の旁(つくり)の部分は、「氏+民」で表記しましたが、唐の太宗(李世民)の諱(いみな)に含まれる「民」の字をさけ、「昏」という字を使うようになりました。

 こういう例は枚挙にいとまがありません。

 今の日本でも、「御名御璽」という表現をしますが、一般人を呼ぶ場合でも、上司に対しては「社長さん」「部長さん」と呼びかけ、決して「太郎さん」とは呼びませんし、「鈴木さん」と姓で呼ぶことすら遠慮しますよね。、西洋ではお兄さんやお姉さんを呼ぶときに名前を呼び捨てにしますが、日本では通常は「お兄さん」とか「兄ちゃん」「姉ちゃん」ですよね。

 このように口にするのをはばかる名前なので、本名のことを「(いみな)」といい、通常使用するのを「(あざな)」といいます。

 よく時代劇で家臣が「信長さま・・・」などと言ってますが、これはありえないことですよね。現代社会の上司にさえ「鈴木さん」などと言えないのに、どうして「信長さまはねえ・・・」だとか「家康さまに・・・」などと気軽に言えるでしょうか。

 まあ、余談がすぎましたが、本名のほかに、もうひとつ名前を増やしたので、「あざな」のことを「字」と書くのだと思います。

line

*姮娥・嫦娥 ・・・・ 月の中に住むという美人

 「娥」 「女+音符我(刃のきわだったほこ)」で、くっきりときわだつ意。きわだった(目鼻だちがくっきりした)顔の美人。
 「姮」 「女+(音符)亘(コウ)(=亙)」、亙(コウ)は「月」のこと。月の上下を二つの線ではさんで、月の両端を示した字。
 「嫦」 「女+音符常」で、不死長生の女性のこと。


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「漢」「字」の成り立ちと変化について

2008年08月30日 02時33分11秒 | 漢字質問箱ログ

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「漢」「字」の成立ちと変化について 投稿者:くりまま  投稿日:2008年 8月29日(金)16時23分18秒

 こどもが夏休みの宿題で「漢字新聞」を作っています。漢字の「漢」「字」の成立ちと変化を調べているのですが、持っている本にはのっていなくて困っております。
 ご存知の方教えていただけましたら助かります。よろしくお願いいたします。


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 まず、「字」については、「漢字の種類」でふれているとおりです。


■解字
 会意兼形声。子は、孳(ジ)と同系で、子をうみ繁殖する意を含む。字は「宀(やね)+音符子」で、やねの下で、たいせつに子を育てふやすことをあらわす。


 「漢」については、字源としては・・・


■解字
 会意兼形声。右側の字(音カン)、動物のあぶらを火でもやすさま。かわくことを示す。漢はそれを音符とし、水を加えた字で、元来、水のない銀河をいったが、古くから、湖北省漢水の名となった。


 ということで、「漢字」とは直接の関係はありません。

 漢の高祖皇帝(劉邦)が秦を滅ぼしたのち、「漢中」の王に封ぜられ、のちに項羽に勝って、天下を統一したとき、国号を「漢」と名付けました。

 その後、「漢」王朝は国力を充実し、西漢(紀元前206年 - 8年)・東漢(25年 - 220年)の両漢をあわせると、およそ400年つづきました。有史時代に入って以後はじめて長期安定政権がつづき、また、この時代に古代中国文化が完成したとされ、そのことから、中国の民族のなかで主流をなす人たちを「漢民族」その人たちを中心として使用されている文字を、とくに「漢字」と呼ぶようになりました。のちに発明された蒙古(モウコ)文字満州文字に対して「漢字」(漢民族の文字)という呼称を使うようになりましたが、本来は「文字」ということばは「漢字」のことをさします。「文字」=「漢字」

 夏休みももう終わりですね。急ピッチで宿題を仕上げないといけないので大変です。少しでもご参考になればうれしいです。時間がかかってはいけないので、要点のみで失礼します。

 「字」(あざな)について ─ 漢字質問箱BBS




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「慎」の成り立ちについて(2) 夏休みの宿題

2008年08月18日 00時06分50秒 | 漢字質問箱ログ

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「慎」の成り立ちについて 投稿者:チャッピー  投稿日:2008年 8月17日(日)10時52分43秒

 子供が漢字の成り立ちについて自由研究をしているんですが、名前の『慎』という漢字の成り立ちが調べられなく困っています。またこの漢字は形声文字に当てはまるのでしょうか。
 宜しくお願いします。
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 >この漢字は形声文字に当てはまるのでしょうか。
 そうです。形声文字(会意兼形声文字)です。



【慎(愼)】

 すでに、漢字質問箱(投稿用)でお答えしたとおりですが、

 「慎」は、「いっぱいつまる・充実する」の家族で、「充実して間隙(すきま)のない心」を表します。

 間隙(すきま)のない心とは・・・

  隅々まで行き届いた心
  詐り(いつわり)のない心
慎(字形)

■解字
 会意兼形声。
 「心+音符(欠けめなく充実したこと)
 充実して間隙(すきま)のない心
字形「眞」は、匙(さじ)で容器に物をみたすさま。空虚な穴に物をつめこみ埋めると、中は充実する。

■単語家族
 「いっぱいつまる・充実する」の家族
   穴を埋めて充実させる
    「充填」「補填」の「填(?)」(テン)
   目の枠をいっぱに充実させる → カッと見張る
   小さな玉を耳の穴に入れて塞ぎ、雑音が入らないようにする。
   隅々まで手ぬかりなく視て判断すること。
   組織の充実してコッテリした肉のこと。
 
■音
 【漢音】シン 【呉音】ジン 【ピンイン】shen4

■訓
 つつしむ, つつしみ

■名付
 ちか, のり, まこと, みつ, よし

■意味
 (1)つつしむ。念を入れる。欠けめなく気を配る。
 (2)つつしみ。つつしみ深いこと。念入りな心。

 楽しく自由研究ができるといいですね。 v(^^)y


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「慎」の成り立ちについて 夏休みの宿題

2008年08月17日 12時13分10秒 | 漢字質問箱ログ

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『慎』の成り立ちについて  投稿者:チャッピー  投稿日:2008年 8月17日(日)10時52分43秒

子供が漢字の成り立ちについて自由研究をしているんですが、名前の『慎』という漢字の成り立ちが調べられなく困っています。またこの漢字は形声文字に当てはまるのでしょうか。
宜しくお願いします。

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 夏休みの「自由研究」大変ですね。かつて、親戚の子どもの宿題を見たときのことを思い出します。

 当時はこどもの宿題として「夏休みの友」というのがありました。子どもにとっては、あまり「友」にはしたくないものかもしれません。

 夏休みの最初に、「夏休みをゆったりと過ごすために、さっさと”友”をやりあげてしまおう!」と、子どもにはっぱをかけ、さて、一緒にやりはじめてみると・・・

 最初のウチはよかたたのです。どんどんドリル(計算・漢字の書き取りetc.)をこなせばよいのですから。
 「これは楽勝!」と思いきや、


 「毎日絵日記をつけましょう」
 「毎日朝顔に水をやり、観察記録をつけましょう」
 「毎日、気温を測り、ノートに書き込み、グラフを完成させましょう」
 「課題図書を読み、読書感想文を書きましょう」
 「手作りの作品(工作)を仕上げましょう」
 「毎朝ラジオ体操をしましょう」(出席印が必要)
 「テーマを決めて、自由研究をしましょう」
 「プールで、○○ができるようになりましょう」(段階がいくつかある)
 「○○、××をしましょう!」


 際限もなく これでもか、これでもか と、注文が殺到し、その他にも各教科のプリントが山積。(これらを全部仕上げられるのは、きっと超人だ)

 せめて、ドリルはドリルとして首尾一貫していればいいのだが、
 つまり「夏休みの友」はドリル集としてまとまり、その他の課題は別枠にして、すべて最後に掲載するとか、別冊にするとか、そういう工夫を凝らしてくれていたら、一気にドリルを仕上げた時点で、ひとくぎりとなり、子どもは一度は「成就感」を満足させることができたのに・・・

 順調よく計算をこなし、漢字の書き取りをし、その他の問題を解いて、気力が充実してきたところで「毎日気温を測り・・・」などと、すぐにその場ではできない課題がさしはさまれ、水をさされる。

 上り坂を、思いっきり勢いをつけてこぎ出した自転車が、ようやくリズムよく動き出した時、横合いから然に、犬が飛び出してきて、急ブレーキをかけなくてはならなくなった時の気分。(「突然」の「突」「穴+犬」ですね)

 ドリルの合間を縫って、ことあるごとに、こういう課題がさしはさまれるから、非常に健康に悪い。子どもとしては全然スッキリしないのである。すぐにこなせる問題だけをやり上げたとしても「夏休みの友」は恒常的に「虫食い」状態、夏休みの間じゅう、スカッとさわやかな時間を過ごせない。いつも、もやもやもやもや、イライライライラしたままで精神衛生によくない。とくにまじめな子どもほど「罪悪感」のようなものを持ち続けることになる。

 子どもにはっぱをかけたはずが、こちらのほうがギブアップしてしまいました。

 それにしても、小学生(それも中学年)にとって、たとえば、毎日絵日記をつけるということだけでも、大変な作業であることは明白であるにもかかわらず、上記のように、これでもかこれでもかと、大人でも一人で仕上げることができそうもない「宿題」を出す感覚というのはどんなものなのでしょうか。
(まさに「宿題」となりそう。たかがホームワークのことを宿題などという大げさな言葉で表現するからこういうことになるのかも)

 あるところで愚痴をもらすと、「そんなもん、子どもにできますかいな。大人数人が必死にがんばらんと。夏休みの宿題は、親の力を試されとるのよお。先生に、子どもをよく見てもらおうと思ったら親ががんばるのはあたりまえですわな」

 だそうだ。ごくろうさま。 (*_*)

 だが、私は投げ出してしまった。そこまで粘着力はない。

 夏休みは子どもたちにとって、かけがえのない時間だ。宿題は、簡単なドリルとその他の課題をひとつだけ(自由作文とか、絵日記とか)、というふうにして、かけがえのない時間をゆったりと有意義に過ごさせてやりたいものです。

 現在は、改善されていることを祈ります。子どもたちのために。

 思いつくところを、イッキになぐり書きしていたら、長文になってしまったので、今回の宿題は次回にまわします。(やっぱり後回しかいな)



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「奈」という漢字の由来について

2008年08月16日 08時34分43秒 | 漢字質問箱ログ

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「奈」という漢字の由来について 投稿者:イタリアン  投稿日:2008-05-30 11:48:56

 (奈) と言う漢字の由来が知りたいのです。会社の後輩から聞かれて気になりました。
私の子供の名前は(奈央)と言うのです。できましたら(央)もお願いします。
 ちなみに後輩の名前は(奈緒)です。(緒)もできましたらおねがいします。



 「奈」については、学研漢和大字典によると「からなし」とよませています。野生のりんごのことだそうです。
  [花梨(かりん)の実のことを「からなし」と呼ぶ場合もある]

 この字は、「木+示(祭礼)」会意文字で、祭りの供物として供える「からなし」の木のことを表現したもの。



字形:央 の字は、いずれ漢字家族(本編)で整理しなければいけない字ですね。

 (押さえられて)くぼんだ中心部のことを表します。

 上の字形は、大の字にたった人間の真ん中である、首の部分をかせで押さえこみ、人間の頭の真ん中を、押し下げた姿。真ん中、真ん中を押さえつけるなどの意味を表現。

 「たんぽぽ」のことを「蒲公」と書きますが、最後の「英」にもこの字形が含まれます。
たんぽぽの花は、中央がおさえられたようにくぼんだ形になっているので「英」という文字を使います。



 「緒」の字は、「糸+音符者(シャ)(集まる、つめこむ)」の会意兼形声文字で、「糸巻きにたくわえた糸のはみ出たはし」のこと。

 日本では、「お」と訓じて、「鼻緒」(はなお)のように「細長いひも」の意味を表します。

 以上、要点だけですが、詳しいことはご自分でも調べてみると楽しいですよ。



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「協」の字の左側「十」印の意味について

2008年08月10日 21時15分02秒 | 漢字質問箱ログ

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協について  投稿者: Take  投稿日:2008年 7月31日(木)05時15分48秒

協力ということばは力がいっぱいあってたとえに使いやすいのですが 十はなにを意味するものなのでしょうかおしえてください


【協】

Takeさん、おまたせしました。

 さて、「協」ですが、漢字語源辞典(藤堂明保)によると、右側はご存じのように、「力×3」(会意文字)で、多くの力を集めて一本に合わせることを示しているようです。

 おたずねの左側の「十」印は、「多くのものを集める」意味を表し、この記号を加えて集結する意味を明示したものだそうです。

 字形「十」は、甲骨文字では「|」印で表していますが、金文では「|」印の中間がふくれて、篆書になると「十」の形になっています。

 10進法では「9」が奇数の最後であり、「10」まで進むと、指10本または算木10本が一つのまとまった単位として合体し、そこから新たな計算が再開される。そこで「10」という数を「10本を重ね合わせて一つにまとめた数」と認識した

 ということだそうです。

 詳しくは漢字語源辞典(藤堂明保)を参照してくださいね。


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