漢字家族BLOG版(漢字の語源)

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鳥 隹 酉(とり)干支(えと) ─ 漢字家族

2004年11月30日 00時07分02秒 | Weblog


「鳥」・「隹」・「酉」(とり)


【鳥】 【呉音・漢音】チョウ(テウ) 【訓】とり 鳥


 トリの姿を描いた象形文字。図解のとおり、尾のたれさがったとりのことである。のち広くとりの総称に用いる。

 この字が表すチョウというコトバは、長々と垂れさがるという意味である。その証拠に、あの甲子園球場を(長々と垂れさがって)すっぽりと覆うツタ蔦(チョウ)という。長々と垂れる植物だから、草かんむりをつけて「草+鳥」という字形で表したのである。

 吊(チョウ)・・・・長々とぶらさがる と同系。は「口+巾(ぬの)」で、布切れで何かをぶらさげるさまを示す。昔の穴あき銭にひもを通して百文をつなぎ、ぶらりと腰にぶらさげたのを一吊銭・両吊銭とかぞえた。

■単語家族
鳥・弔・吊・督 ・・・・ 細長く垂れ下がる


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【隹】 【呉音・漢音】スイ 【訓】とり 隹


 同じくトリの姿を描いた象形文字であるが、尾の短いとりを描いたもの。尾が短くて、小柄でずんぐりと太ったトリのこと。

 ずんぐりと太いの意を含み、雀(すずめ)・隼(はやぶさ)・雉(きじ)などの字に含まれるが、鳥とともに、広く、トリを意味することばになった。

 このの字に「土」をつけると、堆積(たいせき)のの字となる。ずんぐりと土を盛った状態を表し、下太りにしまった土盛りのことである。

 また、ずんぐりと重い石で作ったウスや重しの石を、「石+隹」→「碓」(タイ)と書き表し、ずっしりしたツチを、「木+隹」→「椎」(ツイ)と書く。

 このように、およそ「隹」を含む字はすべて、ずんぐりして、小太りにしまった形をしているという意味を含んでいる。

 ということで、トリのうちでも、(すずめ)・(ガン・かり)・(ひな)のように、全体として小太りでひきしまった形をしているトリの名には「隹」が含まれている。

 しかし、この使い方の原則は、後年になって乱れてしまい、ニワトリのことをとも「鶏-鳥+隹」とも書くようになった。また、(うずら)のような、尾が短くてずんぐりと小太りな姿をしているトリにも「鳥」を含む例が出てきた。長い年月の間に「乱れ」が習慣となったものである。


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【酉】 【漢音】ユウ(イウ) 【呉音】ユ 【訓】とり 隹


 トリ。十二支の十番め。もともと動物のトリとは関係がない。

参照:「十二支と動物」
参照:十干十二支--干支(カンシ・えと)

  酒をしぼるツボの象形。(シュウ・しぼり酒) ─ (シュ・シュウ) ─ 「手+酋」(シュウ・引きしぼる) ─ 「手+秋」(引きしぼる)は、(シュウ・引きしめる → 収穫する)と同系である。とは、収穫した穀物で新酒を作る時と考えてもよいし、広く「引きしめてひと所に収穫する」意と解してもよい。『説文』「就(ひと所に引きしめてまとめる)」と考え、『漢書律暦志』「留熟(新酒を熟させる」)」と考えている。
 ※申堅於申,留熟於酉,畢入於戌,該「門+亥」於亥。『漢書律暦志』

【 鳥 隹 酉(とり)干支(えと) ─ 漢字家族 】
【犬 狗 戌(いぬ)干支(えと) ─ 漢字家族】
【子(ね)-- 干支(えと)漢字家族】