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暗・鮭の成り立ちと参考図書について 投稿者:すう 投稿日:2008年 8月31日(日)11時51分21秒 はじめてまして。質問が3つあります。 1.「暗」は「音」の同系で、はっきりしないの意で暗いとありましたが、なぜ、へんが「日」なんでしょうか。(日があると、逆にはっきりするような気がするのですが。。。) 2.鮭はなぜ魚へんに土が二つなんでしょうか。 3.漢字の好きなドイツ人に日本語を教えていてこの手の質問が多いのですが、ドイツ在住で日本の図書館に通うこともままならず、困っております。参考図書を購入したいのですが、お薦めがあれば教えてください。突然変な質問ばかりで申し訳ありません。よろしくお願いたします。 |
1.「暗」は、なぜ、へんが「日」?
「へん」はその字が何に関係するかを表します。
「つくり」は基本義をあらわします。
基本的な意味は、「うちにこもって、けじめが明白でない」こと。
「暗」と同じ単語家族の、「喑」や「諳」は、「へん」が「口」もしくは「言」ですので、それが言葉に関係していることがわかります。
つまり、口ごもって、「発音のけじめが明白でないこと」。これらは、「音」という字のもともとの意味を表します。
聴覚から視覚へと目を向けると、「暗」は、「日」へんで、日光に関係していることを表します。
(狭い部屋などに閉じこもって)日光が届かず「くらくて物のけじめが見分けられない」状態を表すために「日」へんをつけました。
2.鮭はなぜ魚へんに土が二つなんでしょうか?
「土+土」 ・・・ 「上の鋭く、下の方(しかく)なるを珪(ケイ)という」<荘子・馬蹄>
「圭」(ケイ)は、古代の玉器です。天子が諸候に領地を与えた印として持たせたものですが、その形は、上がとがった三角形をしていました。
どうして玉器が「三角形」をしているのかというと、もともとは「三角形の土盛り」を真似たものです。古代、諸候を封ずる儀式のおり、領有する地域の土を三角の形に盛り、土地の領有を神に告げたので、その象徴的な形を玉器にしたのです。
さて、それでは「鮭」はというと
■解字
「魚+音符圭(ケイ・△型にとがった、形がよい)」
すらりとして形がよいところに着目してつくられた漢字なのでした。
※「鮭」=「魚+圭 すらりとして形がよい魚」
※「佳」=「人+圭 すっきりと目立つ人、すっきりと形よくととのった人」(だらしないことの反対)
※「恚」=「心+圭 心をかどだてておこること」
3.参考図書のお薦めは?
参考図書については、こちらにおいでるみなさんが、それぞれお答えくださることでしょうが、このサイトでお薦めしているのは、
「藤堂明保博士著作データベース」です。
http://1st.geocities.jp/ica7ea/kanji/hakase.xls
(注:Exel用のファイルです)
外国の方に日本語を教えられるということですが、ご苦労も多いと思います。
また、よろしければ、日本語をご教授される過程でお気づきになった点など、このBBSでお知らせいただければ幸いです。
Re^2:暗・鮭の成り立ちと参考図書について 投稿者:すう 投稿日:2008年 8月31日(日)17時15分17秒 早々のお返事ありがとうございました。私自身、大変勉強になりました。生徒がもう少し日本語ができるようになったら、ぜひこちらのサイトにお邪魔するようにと言おうと思います。本当にありがとうございました。 |
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[ブログ内検索] [漢字に関する書籍] [漢字源] [中国古典選] | 「漢」「字」の成立ちと変化について 投稿者:くりまま 投稿日:2008年 8月29日(金)16時23分18秒 こどもが夏休みの宿題で「漢字新聞」を作っています。漢字の「漢」「字」の成立ちと変化を調べているのですが、持っている本にはのっていなくて困っております。 ご存知の方教えていただけましたら助かります。よろしくお願いいたします。 |
ご質問には、「成立ちと、変化について」とありますが、「変化」とは、意味の転化、あるいは派生義のことでしょうか。これについての説明はできておりませんが、ただ、「字」について、少しだけ補足します。
本名のほかにつける名を(もうひとつ名前を増やすので)、字(あざな)といいます。
中国を中心として、東アジアの漢字文化圏では、本名(諱・いみな)を呼ぶことはきわめて無礼なこととされています。したがって、通常は「字(あざな)」で呼びかけます。
本名をさけるということは、とくに身分の高い人に対しては徹底していて、たとえば、先日中国の「嫦娥1号」が「今年2回目の月蝕試練を順調にパスした」ということがニュースになっていましたが、この「嫦娥」(不老不死の薬を盗み出し、月へ逃げ去った美女 ─『小説十八史略』を参照!)は、本来「姮娥」と表記されていました。
*注:姮娥・嫦娥
ところが、漢の時代になって、文帝の諱(いみな)が「恒」であったため、おなじ「旁(つくり)」をもつ「姮」の字をさけ、同様の意味を表すために「嫦」と書くようになったのです。
また、結婚の「婚」という字の旁(つくり)の部分は、「氏+民」で表記しましたが、唐の太宗(李世民)の諱(いみな)に含まれる「民」の字をさけ、「昏」という字を使うようになりました。
こういう例は枚挙にいとまがありません。
今の日本でも、「御名御璽」という表現をしますが、一般人を呼ぶ場合でも、上司に対しては「社長さん」「部長さん」と呼びかけ、決して「太郎さん」とは呼びませんし、「鈴木さん」と姓で呼ぶことすら遠慮しますよね。、西洋ではお兄さんやお姉さんを呼ぶときに名前を呼び捨てにしますが、日本では通常は「お兄さん」とか「兄ちゃん」「姉ちゃん」ですよね。
このように口にするのをはばかる名前なので、本名のことを「諱(いみな)」といい、通常使用するのを「字(あざな)」といいます。
よく時代劇で家臣が「信長さま・・・」などと言ってますが、これはありえないことですよね。現代社会の上司にさえ「鈴木さん」などと言えないのに、どうして「信長さまはねえ・・・」だとか「家康さまに・・・」などと気軽に言えるでしょうか。
まあ、余談がすぎましたが、本名のほかに、もうひとつ名前を増やしたので、「あざな」のことを「字」と書くのだと思います。

*姮娥・嫦娥 ・・・・ 月の中に住むという美人
「娥」 「女+音符我(刃のきわだったほこ)」で、くっきりときわだつ意。きわだった(目鼻だちがくっきりした)顔の美人。
「姮」 「女+(音符)亘(コウ)(=亙)」、亙(コウ)は「月」のこと。月の上下を二つの線ではさんで、月の両端を示した字。
「嫦」 「女+音符常」で、不死長生の女性のこと。
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[ブログ内検索] [漢字に関する書籍] [漢字源] [中国古典選] | 「漢」「字」の成立ちと変化について 投稿者:くりまま 投稿日:2008年 8月29日(金)16時23分18秒 こどもが夏休みの宿題で「漢字新聞」を作っています。漢字の「漢」「字」の成立ちと変化を調べているのですが、持っている本にはのっていなくて困っております。 ご存知の方教えていただけましたら助かります。よろしくお願いいたします。 |
まず、「字」については、「漢字の種類」でふれているとおりです。
■解字
会意兼形声。子は、孳(ジ)と同系で、子をうみ繁殖する意を含む。字は「宀(やね)+音符子」で、やねの下で、たいせつに子を育てふやすことをあらわす。
「漢」については、字源としては・・・
■解字
会意兼形声。右側の字(音カン)、動物のあぶらを火でもやすさま。かわくことを示す。漢はそれを音符とし、水を加えた字で、元来、水のない銀河をいったが、古くから、湖北省漢水の名となった。
ということで、「漢字」とは直接の関係はありません。
漢の高祖皇帝(劉邦)が秦を滅ぼしたのち、「漢中」の王に封ぜられ、のちに項羽に勝って、天下を統一したとき、国号を「漢」と名付けました。
その後、「漢」王朝は国力を充実し、西漢(紀元前206年 - 8年)・東漢(25年 - 220年)の両漢をあわせると、およそ400年つづきました。有史時代に入って以後はじめて長期安定政権がつづき、また、この時代に古代中国文化が完成したとされ、そのことから、中国の民族のなかで主流をなす人たちを「漢民族」その人たちを中心として使用されている文字を、とくに「漢字」と呼ぶようになりました。のちに発明された蒙古(モウコ)文字や満州文字に対して「漢字」(漢民族の文字)という呼称を使うようになりましたが、本来は「文字」ということばは「漢字」のことをさします。「文字」=「漢字」
夏休みももう終わりですね。急ピッチで宿題を仕上げないといけないので大変です。少しでもご参考になればうれしいです。時間がかかってはいけないので、要点のみで失礼します。
◆「字」(あざな)について ─ 漢字質問箱BBS
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[ブログ内検索] [漢字に関する書籍] [漢字源] [中国古典選] | 「慎」の成り立ちについて 投稿者:チャッピー 投稿日:2008年 8月17日(日)10時52分43秒 子供が漢字の成り立ちについて自由研究をしているんですが、名前の『慎』という漢字の成り立ちが調べられなく困っています。またこの漢字は形声文字に当てはまるのでしょうか。 宜しくお願いします。 |
>この漢字は形声文字に当てはまるのでしょうか。
そうです。形声文字(会意兼形声文字)です。
【慎(愼)】
すでに、漢字質問箱(投稿用)でお答えしたとおりですが、
「慎」は、「いっぱいつまる・充実する」の家族で、「充実して間隙(すきま)のない心」を表します。
間隙(すきま)のない心とは・・・
◆隅々まで行き届いた心
◆詐り(いつわり)のない心

■解字
会意兼形声。
「心+音符眞(欠けめなく充実したこと)」
充実して間隙(すきま)のない心
※字形「眞」は、匙(さじ)で容器に物をみたすさま。空虚な穴に物をつめこみ埋めると、中は充実する。
■単語家族
「いっぱいつまる・充実する」の家族
※填 穴を埋めて充実させる
「充填」「補填」の「填(?)」(テン)
※瞋 目の枠をいっぱに充実させる → カッと見張る
※瑱 小さな玉を耳の穴に入れて塞ぎ、雑音が入らないようにする。
※診 隅々まで手ぬかりなく視て判断すること。
※脂 組織の充実してコッテリした肉のこと。
■音
【漢音】シン 【呉音】ジン 【ピンイン】shen4
■訓
つつしむ, つつしみ
■名付
ちか, のり, まこと, みつ, よし
■意味
(1)つつしむ。念を入れる。欠けめなく気を配る。
(2)つつしみ。つつしみ深いこと。念入りな心。
楽しく自由研究ができるといいですね。 v(^^)y
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[ブログ内検索] [漢字に関する書籍] [漢字源] [中国古典選] | 『慎』の成り立ちについて 投稿者:チャッピー 投稿日:2008年 8月17日(日)10時52分43秒 子供が漢字の成り立ちについて自由研究をしているんですが、名前の『慎』という漢字の成り立ちが調べられなく困っています。またこの漢字は形声文字に当てはまるのでしょうか。 宜しくお願いします。 |
夏休みの「自由研究」大変ですね。かつて、親戚の子どもの宿題を見たときのことを思い出します。
当時はこどもの宿題として「夏休みの友」というのがありました。子どもにとっては、あまり「友」にはしたくないものかもしれません。
夏休みの最初に、「夏休みをゆったりと過ごすために、さっさと”友”をやりあげてしまおう!」と、子どもにはっぱをかけ、さて、一緒にやりはじめてみると・・・
最初のウチはよかたたのです。どんどんドリル(計算・漢字の書き取りetc.)をこなせばよいのですから。
「これは楽勝!」と思いきや、
「毎日絵日記をつけましょう」
「毎日朝顔に水をやり、観察記録をつけましょう」
「毎日、気温を測り、ノートに書き込み、グラフを完成させましょう」
「課題図書を読み、読書感想文を書きましょう」
「手作りの作品(工作)を仕上げましょう」
「毎朝ラジオ体操をしましょう」(出席印が必要)
「テーマを決めて、自由研究をしましょう」
「プールで、○○ができるようになりましょう」(段階がいくつかある)
「○○、××をしましょう!」
際限もなく これでもか、これでもか と、注文が殺到し、その他にも各教科のプリントが山積。(これらを全部仕上げられるのは、きっと超人だ)
せめて、ドリルはドリルとして首尾一貫していればいいのだが、
つまり「夏休みの友」はドリル集としてまとまり、その他の課題は別枠にして、すべて最後に掲載するとか、別冊にするとか、そういう工夫を凝らしてくれていたら、一気にドリルを仕上げた時点で、ひとくぎりとなり、子どもは一度は「成就感」を満足させることができたのに・・・
順調よく計算をこなし、漢字の書き取りをし、その他の問題を解いて、気力が充実してきたところで「毎日気温を測り・・・」などと、すぐにその場ではできない課題がさしはさまれ、水をさされる。
上り坂を、思いっきり勢いをつけてこぎ出した自転車が、ようやくリズムよく動き出した時、横合いから突然に、犬が飛び出してきて、急ブレーキをかけなくてはならなくなった時の気分。(「突然」の「突」は「穴+犬」ですね)
ドリルの合間を縫って、ことあるごとに、こういう課題がさしはさまれるから、非常に健康に悪い。子どもとしては全然スッキリしないのである。すぐにこなせる問題だけをやり上げたとしても「夏休みの友」は恒常的に「虫食い」状態、夏休みの間じゅう、スカッとさわやかな時間を過ごせない。いつも、もやもやもやもや、イライライライラしたままで精神衛生によくない。とくにまじめな子どもほど「罪悪感」のようなものを持ち続けることになる。
子どもにはっぱをかけたはずが、こちらのほうがギブアップしてしまいました。
それにしても、小学生(それも中学年)にとって、たとえば、毎日絵日記をつけるということだけでも、大変な作業であることは明白であるにもかかわらず、上記のように、これでもかこれでもかと、大人でも一人で仕上げることができそうもない「宿題」を出す感覚というのはどんなものなのでしょうか。
(まさに「宿題」となりそう。たかがホームワークのことを宿題などという大げさな言葉で表現するからこういうことになるのかも)
あるところで愚痴をもらすと、「そんなもん、子どもにできますかいな。大人数人が必死にがんばらんと。夏休みの宿題は、親の力を試されとるのよお。先生に、子どもをよく見てもらおうと思ったら親ががんばるのはあたりまえですわな」
だそうだ。ごくろうさま。 (*_*)
だが、私は投げ出してしまった。そこまで粘着力はない。
夏休みは子どもたちにとって、かけがえのない時間だ。宿題は、簡単なドリルとその他の課題をひとつだけ(自由作文とか、絵日記とか)、というふうにして、かけがえのない時間をゆったりと有意義に過ごさせてやりたいものです。
現在は、改善されていることを祈ります。子どもたちのために。
思いつくところを、イッキになぐり書きしていたら、長文になってしまったので、今回の宿題は次回にまわします。(やっぱり後回しかいな)
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[ブログ内検索] [漢字に関する書籍] [漢字源] [中国古典選] | 「奈」という漢字の由来について 投稿者:イタリアン 投稿日:2008-05-30 11:48:56 (奈) と言う漢字の由来が知りたいのです。会社の後輩から聞かれて気になりました。 私の子供の名前は(奈央)と言うのです。できましたら(央)もお願いします。 ちなみに後輩の名前は(奈緒)です。(緒)もできましたらおねがいします。 |
「奈」については、学研漢和大字典によると「からなし」とよませています。野生のりんごのことだそうです。
[花梨(かりん)の実のことを「からなし」と呼ぶ場合もある]
この字は、「木+示(祭礼)」の会意文字で、祭りの供物として供える「からなし」の木のことを表現したもの。

(押さえられて)くぼんだ中心部のことを表します。
上の字形は、大の字にたった人間の真ん中である、首の部分をかせで押さえこみ、人間の頭の真ん中を、押し下げた姿。真ん中、真ん中を押さえつけるなどの意味を表現。
「たんぽぽ」のことを「蒲公英」と書きますが、最後の「英」にもこの字形が含まれます。
たんぽぽの花は、中央がおさえられたようにくぼんだ形になっているので「英」という文字を使います。
「緒」の字は、「糸+音符者(シャ)(集まる、つめこむ)」の会意兼形声文字で、「糸巻きにたくわえた糸のはみ出たはし」のこと。
日本では、「お」と訓じて、「鼻緒」(はなお)のように「細長いひも」の意味を表します。
以上、要点だけですが、詳しいことはご自分でも調べてみると楽しいですよ。
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[ブログ内検索] [漢字に関する書籍] [漢字源] [中国古典選] | 協について 投稿者: Take 投稿日:2008年 7月31日(木)05時15分48秒 協力ということばは力がいっぱいあってたとえに使いやすいのですが 十はなにを意味するものなのでしょうかおしえてください |
【協】
Takeさん、おまたせしました。
さて、「協」ですが、漢字語源辞典(藤堂明保)によると、右側はご存じのように、「力×3」(会意文字)で、多くの力を集めて一本に合わせることを示しているようです。
おたずねの左側の「十」印は、「多くのものを集める」意味を表し、この記号を加えて集結する意味を明示したものだそうです。
字形「十」は、甲骨文字では「|」印で表していますが、金文では「|」印の中間がふくれて、篆書になると「十」の形になっています。
10進法では「9」が奇数の最後であり、「10」まで進むと、指10本または算木10本が一つのまとまった単位として合体し、そこから新たな計算が再開される。そこで「10」という数を「10本を重ね合わせて一つにまとめた数」と認識した、
ということだそうです。
詳しくは漢字語源辞典(藤堂明保)を参照してくださいね。

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