漢字家族BLOG版(漢字の語源)

漢字に関する話題など。漢字の語源・ワードファミリー。 現在、荘子「内篇」を素読しています。

re:どっちの機?&器?

2005年12月31日 04時20分34秒 | 漢字質問箱ログ


 うん? 久しぶりにブログに書き込んで、「あなたのブログを見る」で眺めていると・・・、なんと質問が入っているではないか。いけない、まだブログになれていなかった!!
 書き込まれた方、ごめんなさい。m(_._)m
 今後は、忙しくても必ず確認することにします。

 まずは、「どっちの機?&器?」のちょっちーさん。ごめんなさい。私もよく迷います。m(^^;y

 こういう時の神頼み「教えてgoo」を検索すると・・・
ありましたー。 なるほどなるほど、「新聞協会で一定の基準を設けて」いるそうです。

 こちらのURLを参照してくださいね。(でも、回答が遅すぎて全く役に立ちませんね)

 http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=795630

犬 狗 戌(いぬ)干支(えと) ─ 漢字家族

2005年12月31日 02時51分07秒 | Weblog


【犬】ケン(呉・漢)/いぬ
【狗】ク(呉)コウ(漢)/いぬ
【戌】ジュツ(慣用)シュチ(呉) シュツ(漢)/いぬ


【犬】quan3

 <引用はじめ>
  ニワトリはケーケーと鳴くので(ケイ・唐代には kei)といい、カラスはアーアーと鳴くので(ア・唐代には a1)という。トラはおそろしい声でホーホーとほえるので(コ・唐代には ho)と呼ぶし、キツネはクワクワと叫ぶので(コ・漢代には hua)という。してみると、イヌを(ケン)と称するのは、いうまでもなくそれがケンケン(k'uen)と鳴くからだ、と考えてよい。犬(ケン)ということばは、いわゆる擬声語なのである。
  『漢字の話Ⅰ』(藤堂明保・朝日新聞社)
 <引用おわり>

■解字
 象形。いぬを描いたもの。
 犬:字形
■意味
(1)いぬ。獣の名。家畜。猟犬・番犬・愛玩用、さらに食用として古くから飼われた。
(2)いぬ。牛・馬・ぶたなどとともに、つまらぬもののたとえ。
  ▽自分を卑下し、他人に使役されるものという意を含めていう。「犬馬之労」
 ※動物のうち、もっとも早くから人間の生活の中にとけこんだのがイヌであった。だから犬という字が変形して?(けものへん)となり、それは猫、狸、猿など、およそ小型の動物一般を表す記号となった。
  そのかわりに、身近なだけに人間の生活の犠牲とされたのもイヌである。
  今から三千数百年前の商(殷)の時代の建物の下には、必ず地鎮祭のためにイヌを犠牲として埋めてある。
  また、今から二千年前の漢の時代には、風よけのまじないとして、犬の皮を風に面して張るという習慣があった。
 ※「戌の神は風伯である」『風俗通儀』
 ※「犬×3+風」の「飆」(ヒョウ)は、つむじ風のこと


【狗】gou3

 現在の北京語では、イヌのことを(コウ・gou3)という。イヌの肉は「狗肉(gou3・rou4)といって、たいていのレストランのメニューにある。年末に河南省で少々味見することになったが、おいしい部類に入るだろう。ただし、「羊頭狗肉」というように、おいしさは羊が筆頭。ただ、河南省で有名な「ロバのスープ」は珍味で、フカヒレや燕の巣のスープなどとは比較にならないほどおいしい。以上は余談。
 「狗」で思い出すのは、秦の始皇帝暗殺を依頼されたあの荊軻。その友人の一人が高漸離であるが、もう一人は名前が記載されず「狗屠(クト)」(イヌをあつかう肉屋さん)と記されている。
 この三人は、心底わかりあえる友達で、市中で酒を飲んだりすると、高漸離が筑をうち、荊軻がこれに和して高らかに歌い、感情が高ぶると三人で大声で泣いた。このような状況を「傍若無人」(かたわらに人なきがごとし)といった。あまりに心が通い合うので、自分たちの周囲の人々の目を気にする余裕もなく、感情を自然に吐露したのである。ただし他人に迷惑をかけたわけではない。荊軻なきあとの高漸離の行動は・・・。ぜひ、『中国任侠伝』「荊軻、一片の心」(陳舜臣・文春文庫)をご覧ください。
 他にも、この「狗」ということばは、
 ※「狡兔死、走狗烹=狡兔死して、走狗烹らる」という人口に膾炙した成語があるが、あの韓信のことばは「狡兎死、良狗亨。高鳥尽、良弓蔵。敵国破、謀臣亡。」
  狡兎(こうと)死して 良狗(りょうく)亨(に)られ
  高鳥(こうちょう)尽きて 良弓(りょうきゅう)蔵(おさ)められ
  敵国破(やぶ)れて 謀臣(ぼうしん)亡(ほろ)ぶ

 ただし、こう気づいたときはもう遅かった。

 この「狗」という字は、ろくな熟語に使われない。「鶏鳴狗盗」のように、こそ泥のことを「狗盗」といい、悪者の手下を「走狗」という。あげくのはてには「狗種!」という罵りことばも生み出され、「狗屁!」「狗屎!」というのも使われるそうだ。

■解字
 会意兼形声。「犬+音符句(小さくかがむ)」。
■意味
 いぬ。愛玩用のこいぬ。
 ▽後世には、いぬの総称となった。いやしいもののたとえとして用いることがある。
※およそ小さく曲がったもの「句」と称する。「句」は、口じるしをかぎ型で「」のように区切ったことを表している。言葉や文章を句切るかぎかっこを「句」といい、小さく曲がった釣針を「鉤」という。だから「狗」とは、もとせまく区切った小屋に入れられて、丸く体を曲げた小犬のことである。それがかわいい飼い犬という意味となり、やがて広くイヌ一般を意味することとなり現代の北京語で使用されるにいたった。ちなみに文章を句切る小さく丸い点句点という。

 久しぶりに書込をすると、例によって「なぐりがき」をしただけなのに、疲れてしまった。「戌」については、次回にまわします。できれば下記のURLも参照してくださいね。

十干十二支 -- 干支(えと・かんし)
鳥 隹 酉(とり)干支(えと) ─ 漢字家族
子(ね)-- 干支(えと)漢字家族
牛 丑 うし ウシ
虎・寅・とら・トラ