漢字家族BLOG版(漢字の語源)

漢字に関する話題など。漢字の語源・ワードファミリー。 現在、荘子「内篇」を素読しています。

re:「経」という漢字の由来

2007年09月03日 04時03分56秒 | 漢字質問箱ログ



「経」という漢字の由来 投稿者:普通tの主婦 投稿日:2007-08-31 11:12:04

 という漢字の由来、楽しく読ませてもらいました^^
 先日、子供から経済という言葉について聞かれて困ったことがきっかけで、このHPを探してきました。
 「経」「済」きっと意味のある漢字の由来があるのでは? よろしければ「経」という漢字の由来も是非教えてください。

経:図解
 すみません、さきほど「普通tの主婦」さんのコメントに気づきました。「経」については、漢字質問箱バックナンバー:「経営」の語源はなんなのですか? をご覧いただきたいですが、こちらの方にも転載します。「経済」については、現在は「economy」の意味で使用されていますが、そもそもは「経世済民」の略語。国をおさめ、人民の生活を調整する(世の中を調整して人民の生活のでこぼこをなくする)ことですね。



「経営」の語源はなんなのですか? 投稿者:とみとみ  投稿日:2002年 11月21日(木)00時04分36秒

卒論で「経営」に関することを書かねばなりません。
国語辞典(広辞苑など)や漢字辞典で、いろいろ調べたのですが
おおそういうことだったのか!というようなくわしい答えは見つかりませんした。
ですので、下記のこと、よろしければご教授くださいませんでしょうか?
お願い致します。

質問1
「経」の漢字の成り立ちと語源、
「営」の成り立ちと語源は、どうなっているのか?
質問2
かかる言葉が一番最初にでてくる文献は何か?
その文献は,いつ頃、誰によって書かれたものか?
(いくつもの諸説があるようですが・・・ほんとうはどれなのか?)

よろしくお願いします。



Re:「経営」の語源 投稿者:Nothing  投稿日:2002年 11月21日(木)02時10分31秒

まず、「経」ですが・・・

ご存じのとおり、これは
字形としては :「まっすぐにとおった織物のたていと」のこと。
ことばとしては:(ケイ)(=径。まっすぐな近道)・(ケイ)(=茎。まっすぐなくき)・(ケイ)(まっすぐな首)・(ケイ)(まっすぐなすね)などと同系。
意味は    :
(1)たていと ※ヨコ糸=緯 転じて東西を経・南北を緯という。
(2)時代をたてに貫いて伝わる不変の道理。物事のすじ道。
(3)儒教で、不変のすじ道を説いたとされる書。「経書」「五経」
(4)まっすぐとおりぬける。場所や時間をとおりすぎる。「経過」
(5)おさめる(をさむ)。すじ道やたての線を引く。また、転じて、物事の大すじをたてて処理する。管理する。
「経営」「経之営之=これを経しこれを営す」〔詩経・大雅・霊台〕


つぎに、「営」・・・

字形としては :營の上部は炎が周囲をとり巻くこと。營はそれを音符とし、宮(連なった建物)の略体を加えた字で、周囲をたいまつでとり巻いた陣屋のこと。周囲をぐるりと壁で区切ってとりまき、その中に住むこと。
ことばとしては:(エイ)(とり巻く)・(ケイ)(=蛍。光の輪がまるくとり巻いたほたる)・(=栄。まるくとり巻いて咲く花)などと同系。
意味は    :
(1)ぐるりをとり巻いて守った陣屋。「兵営」「営舎」
(2)周囲をとり巻く。▽直線の区画を切るのを経(ケイ)といい、外がわをとり巻く区画をつけるのを営(エイ)という。あわせて、荒地を開拓して畑をくぎるのを「経営」といい、転じて、仕事を切り盛りするのを「経営」という。
(3)いとなむ。仕事を切り盛りする。
(4)「営営」とは、ぐるぐる周囲を巡るさま。また、せっせと働くさま。


<出典>
(a)事業をはかりいとなむこと。「経営四方=四方を経営す」〔詩経・小雅・北山〕
(b)土地をはかって縦線と外わくの線とを引く。転じて、土台をすえて建設すること。〔書経・召誥〕
(c)苦心して仕事につとめること。「経営無太忙=経営太だ忙しきこと無からんや」〔韓愈・調張籍〕 ★韓愈



「経」と「営」(言葉の系譜)より 投稿者:Nothing  投稿日:2002年 11月21日(木)02時40分39秒

 紀元前の八世紀、周の国の詩人は祖先文王が「霊台」という祭壇を築いて建国のシンボルとしたことを追想して、

  霊台を経始し、これを経しこれを営す。
  庶民これをおさめ、日ならずして成る。

 と歌っている。土木工事や建築を始めるさい、まずという作業を行ったのである。
 の字の右側は・・・
--- 中略 ---
 そこで、タテに伸びた草木のクキをといい、タテに張った人体のクビをという。屈曲した道路をタテにつなぐ近道はという。・・・
--- 中略 ---
 土木工事や建築にとりかかるさいにも、まずクイを立てて、その間にピンと縄を張り渡し、削る所や掘る部分、支柱の位置などの予定をつける。その作業をというのである。つまり、工事にかかる前の縄張りの作業である。

 はもとと書いた。・・・
--- 中略 ---
 ・・・の火も同様で、やはりおしりを丸い光の輪がとり巻いている。木蓮や桐の花が満開となると、白い花の輪が木全体をとり巻くのでという。ふつうのハナは花・華というが、その木全体を外からとり巻いて、ホタルの光冠のように咲く花はというのだ。繁栄の栄(さかえる)はその派生義である。
 してみると、營もまた建物の周囲に丸い外枠をめぐらすことだ。だから、大将の幕舎の周囲に垣をめぐらしたのを「陣営」といい、外側をヘイでとり巻いた兵舎を「営舎」というのだ。工事の初めに、外枠に縄を張りめぐらしてクイを打ちこみ、全体の大きさ、規模を定める動作がである。

 も、事業の当初に慎重に要所を定め、規模を予定する作業である。
 どちらも、周到な事前の準備のことであって、事が起こってからあわてて手当をすることではない。
孫子の兵法にまねて、ドロ縄式の奇策を弄したり、伊賀の忍法を学んで産業スパイを試みるなどは、経営の本旨に反することはなはだしい。

<言葉の系譜・藤堂明保・1964年7月25日発行(絶版)>




漢字を筆記する場合の「正しい筆順」はあると思いますか?
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(2007年 9月3日 3:55現在)



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「経営」の語源は何ですか?

「済」という漢字の由来について

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re:「済」という漢字の由来

2007年05月04日 05時10分16秒 | 漢字質問箱ログ

 [ブログ内検索] [漢字に関する書籍] [漢字源] [中国古典選]
「済」という漢字の由来 投稿者: 事務員  投稿日:2007-05-03 19:09:28

先日職場で書類に済印を押していた同僚が、『済』という漢字を見ながら、水に関係しないことに使われてるのになぜ「さんずい」? とつぶやいてるのを聞いて、『済』の漢字の形はどういうことから形作られたのか知りたくなりました。教えてください。


【済】 【呉音】サイ 【漢音】セイ 【慣用音】ザイ

斉:図解
 確かに「物事がすんでいること」を「み」と表記しますね。また事務的には丸印で「済」のハンコを押したりします。
国語辞典には「む=物事が終わる。完了する」、「み=物事がすんでいること」という説明がありますが、なぜこの「済」という漢字を当てたのかという説明はありません。
 また、漢和字典には、
日本語での特別な意味 ・・・・ すむ。終わる。また、うまくやりすごす。」
 とあります。

 「済」は、

斉・儕・劑・妻・自・此・姉 ・・・ そろって並ぶ

 の家族で、その親字の「斉」は図解のとおり、ヒシ形のものが三つ並んださまを表しています。「三」「たくさん」の意味ですから、「多くの物が頭をそろえた」状態をあらわします。そこで、きちんと並びそろうことを「然」「如」と形容するそうです。
 したがって、親字の「斉」は「物がでこぼこなくそろったさまをあらわす象形文字」であると定義されています。
 さて、ご質問の「済」の字ですが、これは川の水量を調整して水流の強弱をそろえること。
 不順な状態をほどよく調節してそろえる意味から「度(たすける)」の意味をもつようになりました。
 中国の山東省に「水」という川がありますが、この川の名前は、黄河下流の水流を調整するはたらきに着目して名付けられたものだとされています。

■意味
(1)すくう(すくふ)。
不足を補って、平等にならす
困っている者に当てがって、水準の線までそろえてやる。
「救済」「経世済民(ケイセイサイミン)(世の中を調整して人民の生活のでこぼこをなくする)」
(2)なす。
でこぼこや過不足を調整する。ととのえてまとめあげる。
「済美=美を済す」
(3)わたる。わたす。
川や難路を無事に通り切る。また、通す。
(4)セイす。
障害を除いてうまく調整する
「鑿河八十里以済不通=河を鑿つこと八十里以て不通を済す」
(5)やりくり。

 してみると、仕事を「済ませた」ということは、「でこぼこや過不足を調整して、ものごとを処理し、ととのえてまとめあげた」ということですから、そこで処理みを意味する「済」の字の太鼓判を押すことにしたのでしょう。
 事務関係では、実務の他にも、報告書の字句を整えたり、いくつもの文書のつじつまをあわせたり、必要なものをきちんとそろえて書類をきちんとととのえなければ「済」の決はもらえませんよね。
 そういうことで、「すみ」の意に「済」の漢字を当てたのではないでしょうか。


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re:「飴」という漢字の由来

2006年02月16日 05時03分50秒 | 漢字質問箱ログ

 [ブログ内検索] [漢字に関する書籍] [漢字源] [中国古典選]
「飴」という漢字の由来 投稿者:飴職人 投稿日: 2月15日(水)08時30分43秒

飴の製造販売会社の営業をしております。得意先様より「飴」という漢字はなぜ「食」と「台」と書くのですかと聞かれ、恥ずかしながらわからなかったのです。
どうか教えて下さい。


【飴】

■解字
会意兼形声。
「食+音符台(人工を加えて調整する)」。
穀物に人工を加えて、柔らかく甘くした食物。

《台の家族》
人工をくわえる・はじめる ・・・・ タイ・イ・チ・ジ(ヂ)・シ

─ 台 ─ 怡 ─ 詒 ─ 治 ─ 怠 ─ 飴 ─ 笞 ─ 始 ─ 胎


【始】
始:図解
■解字
会意兼形声。
厶印はすきの形。曲がった棒の形で、工具を用いて人工を加えること。
台は「口+音符ム(=以)」の会意兼形声文字で、ものをいったり、工作をするなど作為を加えること。
台は以と同系で、人間がすきを手に持ち、口でものをいい、行為をおこす意を含む。
始は「女+音符台(イ)・(タイ)」で、女性としての行為のおこり、つまりはじめて胎児をはらむこと。
胎と最も近い。
転じて、広く物事のはじめの意に用いる。


【治】

■解字
会意兼形声。
古人は曲がった棒を耕作のすきとして用いた。
以の原字はその曲がった棒の形で、工具を用いて人工を加えること。
台は「口+音符ム(=以)」の会意兼形声文字で、ものをいったり、工作をするなど作為を加えること。
治は「水+音符台」で、河川に人工を加えて流れを調整すること。
以・台・治などはすべて人工で調整する意を含む。

re:仁・菜について -- 漢字家族

2006年02月05日 00時47分10秒 | 漢字質問箱ログ

 [ブログ内検索] [漢字に関する書籍] [漢字源] [中国古典選]
仁について (子供の名前について)  2006-02-04 00:33:18

こんばんわ。
子供の名前を図書館で借りた本に照らし合わせて一生懸命に考えたのですが、メモを取り忘れていた為、詳しい意味を忘れてしまいました。
子供が大きくなって悲しい思いをしないように
漢字の意味と由来をご教授下さい。
「菜」「仁」の名前の由来を教えて下さい。
どうぞよろしくお願い申し上げます。


 こんばんは。

「仁」の由来については・・・
「人と民 -- 漢字家族」

 をご覧くださいね。

【仁】

■解字
会意兼形声。「人+二」で、二人が対等に相親しむことを示す。
相手を人として扱うこと。また、柔らかいこと。
人(ジン)・(ニン)と二(ジ)・(ニ)と、どちらを音符と考えてもよい。
■音
【漢音】ジン 【呉音】ニ, ニン
■訓
ひと
■名付
きみ, きん, さと, さね, しのぶ, ただし, と, とよ, にん, のぶ, のり, ひさし, ひと, ひとし, ひろし, まさ, まさし, み, めぐみ, めぐむ, やすし, よし
■意味
(1)ひと。人間。《同義語》⇒人。
 「井有仁焉=井に仁有り」〔論語・雍也〕
(2)(ジンナリ)自分と同じ仲間として、すべての人に接する心。
 隣人愛や同情の気持ち。また、そのような気持ちをもつさま。
 「仁者愛人=仁なる者は人を愛す」〔孟子・離下〕
(3)「仁(2)」の心をそなえた人。仁徳をそなえた人。「仁者」
 「観過、斯知仁矣=過ちを観れば、斯に仁を知る」〔論語・里仁〕
(4)柔らかい果物のたね。「杏仁(キョウニン)(あんずのたね)」
(5)「不仁(フジン)」とは、手足の動かない病気のこと。

儒家--漢字家族 ←クリック!
【資料】儒家と墨家 ←クリック!
【資料】「人と民」(「仁」の解説) ←クリック!

ライン


【菜】

■解字
会意兼形声。「艸+音符采(サイ)(=採。つみとる)」。つみなのこと。
■単語家族
才・栽・災・采・宰・在・賊 ・・・・ せき止める、たち切る才:図解才:図解

「災」の字の上部は、川がせき止められた姿を示す。
この堰(せき)の形だけをとったのが「才」の字の原形。途中で中断すること。
の原字は、甲骨文字ではで代用されることも多い。金文では「土」を加えて、土でせきとめる意を表す。つまりの原義は、せきとめて停滞すること。「在某所」のような使い方は、行進を中絶して、某所に滞留する意味であった。
「せき止める」という意味は、他方では伸びたものを中断して、切り止める意ともなる。
とは切った木であり、とは衣を切ること。とはむやみに伸びた植物の枝を切って止めること。の右側の字形は「戈(ほこ)+才声」から成り、刃物で中絶する意を示したもの。
伸びた枝葉を切りとるには、刃物を用いるとは限らない。爪先で茶の葉や若芽をつみとるのも、やはり「中絶する」ことにほかならない。
の原字で、「爪(てさき)+木の会意」から成っている。のち採取の採に用いられるが、本来は(枝を切り取る)や(切った木)と同系であった。
【采】伸びた枝葉だけを手でつみ切って取ること。中途から絶ち切る
【菜】伸びた若芽だけを手で中途から絶ち切る
*** 以上、『漢字語源辞典』(藤堂明保・学燈社)p.107 参照 ***

■音
【呉音・漢音】サイ
■訓

■名付

■意味
(1)な。葉・くきを食用とする草本類の総称。つみな。なっぱ。「野菜」「蔬菜(ソサイ)」
(2)な。草の名。種から菜種油をとる。あぶらな。「菜子(なたね)」
(3)副食物。おかず。また、料理。「菜館」「惣菜(ソウザイ)」

re:「縁」の由来 -- 漢字家族

2006年01月25日 01時38分13秒 | 漢字質問箱ログ

 [ブログ内検索] [漢字に関する書籍] [漢字源] [中国古典選]
漢字の由来 投稿者:横内 知子 投稿日: 2006-01-20 22:38:52

  縁という字の由来を教えてください。
  ○の円と関係はありますか?
  どなたか、御教えていただければ、
  大変ありがたく思います。


【縁】

■解字
 会意兼形声。
 彖(タン)は、豕(シ)(ぶた)の字の上に特に頭を描いた象形文字で、腹の垂れ下がったぶた。
 豚(トン)と同系のことば。
 縁は「糸+音符彖」で、布のはしに垂れ下がったふち。⇒彖
彖:図解
※彖
 象形。頭の大きいぶたを描いたもの。字形の上では豕(シ)とほとんど同じ。

 に酷似しているのが、の系列に属するコトバである。この字自体は、頭の大きいブタ(豕)の象形であるが、ブタを t'uan と称したのは、その腹が上から下に垂れ下がっている点に着目した命名であろう。

 ※(シ)は、イノシシの直進する習性をとらえたもの。
 ※(チョ)は、ブタの太って充実し、群居する性質に注目した命名である。

   『漢字語源辞典』(藤堂明保・学燈社)p.541 より


■単語家族
 垂・朶・妥・堕・段・端・断 ・・・・ 上から下へおちる(おす)、
  彖 ─ 縁 ─ 椽 ─ 掾 ─ 篆 ─ ?
■音
 【呉音・漢音】エン
■訓
 ふち, へり, よる, よって, えにし, えん
■意味
 (1)ふち。へり。布や飾りなどのわきに垂れたはし。物のへり。
    ▽去声に読む。《類義語》⇒端・辺。「辺縁(へり)」
 (2)よる。へりからもとへたどる。手がかりによって何かをさぐる。手づるにそって進む。
    ▽以下、平声に読む。《類義語》⇒因(よる)・沿(そう)。
    「縁渓行=渓に縁りて行く」
    「猶縁木而求魚也=なほ木に縁りて魚を求むるがごとし」〔孟子・梁上〕
(3)よって。それがきっかけで。原因となって。《類義語》⇒因。
    「縁愁似箇長=愁ひに縁つて箇くの似く長し」〔李白・秋浦歌〕
(4)えにし。手づる。つながり。「人縁(人どうしのつながり)」「姻縁(インエン)(結婚によるつながり)」「由縁(ユエン)(いわれ)」
(5)《仏教》ある原因、ある条件からある結果を生じる外的条件。
    ▽内的原因を因という。「因縁(インネン)」
    [例] 「花が咲くための因縁」
    【因】直接的な原因 ・・・・ 種をまく
    【縁】間接的な原因 ・・・・ 水をやる、雨が降る、日光が当たる、土を掘り返されなかったetc.
      上記の因と縁がそろってはじめて草木が生育し、花を咲かせることができる。
 《日本語での特別な意味》えん。家のはしに出たえんがわ。


ライン


【円】

■解字
 会意兼形声。
 員(イン)・(ウン)は「〇印+鼎(かなえ)」の会意文字で、まるい形の容器を示す。
 圓は「囗(かこい)+音符員」で、まるいかこい。⇒員
■単語家族
 圏(ケン)(まるくとり巻く)・園(周囲をとり巻いた庭)・宛(エン)(まるくかがむ)・丸・環(カン)(まるい輪)などと同系。また圜(エン)・(カン)(まるく囲む)とも縁が近い


※なお、ピンインは、「縁」「円」ともに、「yuan2」です。
「人民元」のことを、「ジンミンゲン」と読む人がいるが、「ジンミンエン」と読むのが正しい。 
 日本語の「円」は、中国語表記では「元」であり、とくに区別するときは「日元」(日本円)と書き、発音の方もともに「yuan2」で、つまりは「元=円」なのだ。(「百元」を日本語に翻訳すると「百円」となる)
 ただし、両方とも「エン」と呼んでいたら紛らわしいので中国元(チュウゴクエン)の方を「ゲン」と呼ぶことが多い。いちいち「ちゅうごくえん」「にほんえん」と呼んで区別するのは面倒くさいですものね。

re:「旭」の由来 -- 漢字質問箱(漢字家族)

2006年01月13日 01時18分33秒 | 漢字質問箱ログ

 [ブログ内検索] [漢字に関する書籍] [漢字源] [中国古典選]
「旭」の由来 投稿者:tomotomo 投稿日: 1月11日(水)18時02分30秒

  「旭」という字の由来を教えていただけますか?
  命名の候補なのですが、あまり良い由来や意味じゃないと
  付けるのかわいそうなので・・・


tomotomoさん、こん○○は、

 文字に「よい字」とか「悪い字」とか、あまり関係ないのではないかと思います。

 ただ、例えば「悪魔」などという文字を名前にすると、(友達にからかわれたりして)その子どもが無用なことに神経をすり減らすことになるでしょう。自分の名前に誇りをもって正々堂々と生きていけるといいのですが、上記のような名前をつけられると、そういう生き方ができるようになるまでに、つまらないことで試練が与えられそうです。

 と、まあそのような奇抜な発想をのぞけば、親が真剣に考えてつける名前ですから、将来、お子さんに「君に○○○のように育ってほしくて、この名前をつけたのだよ」と説明できることでしょう。

 そうすれば、親の願いを受けて、お子さんは高々と晴れやかな志をもって生きていけることでしょう。私には「旭」は、誇り高くかがやけるよい名付に思えます。

 ただし、真剣に考えることと、画数占いなどを気にしたり、必要以上に神経質になることとは同じではないと思います。

【旭】

■音
 【漢音】キョク 【呉音】コク
■訓
 あさひ, あきらか
■名付
 あき, あきら, あさ, あさひ, てる
■解字
 会意兼形声
■意味
 あさひ。「旭日(キョクジツ)」
 (1)あさひ
 (2)あきらか。きらきら輝いて明るい。

※「九」は語源的にいうと、考・宮・窮などと同系で「つかえてまがる」の家族です。
ものごとが最高の状態にまで達して、ターニングポイントを見つけ、新しい価値を見いだすタイミングのことだと考えてはどうでしょうか?「九の言たる究なり」<白虎通>。「九」は十進数の分岐点で、最後の引き締めにあたる数であり、位取りしてあたらしい展開を生み出す数字ですよね。「九+日」で、前途も輝いています。

re^2:「旭」の由来 投稿者:tomotomo  投稿日: 1月13日(金)19時09分1秒

 nothingさん。ご回答、ありがとうございます。
 旭という字、息子に是非付けて、将来名前の由来を聞かれた時に、
 胸を張って答えてあげられそうです。
 日の出と共に産声をあげた旭。冬の澄み切ってキラキラした朝の光のような、
 そんな子に育って欲しい・・・
 思いを込めて、名づけたいとおもいます!!

 本当にありがとうございました。



re^3:「旭」の由来 投稿者:nothing 投稿日: 1月14日(土)05時23分9秒

tomotomoさん

>日の出と共に産声をあげた旭。
>冬の澄み切ってキラキラした朝の光のような、
>そんな子に育って欲しい・・・

m(^_^)v
「旭」ちゃんの健やかなご成長をお祈り申しあげます。


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漢字質問箱(バックナンバー)語源 -- 漢字家族
秀ノ富士(ひでのふじ)星取表 全勝
影丸(かげまる)星取表 ガンバレ! 影丸

re^3:「愛」と「恋」の語源、成り立ちを教えてください!!

2006年01月10日 02時38分56秒 | 漢字質問箱ログ


re:「愛」と「恋」(1)re:「愛」と「恋」(2)

re:「愛」と「恋」(3)  投稿者:Nothing 投稿日:2003年 3月24日(月)11時14分24秒

<恋>

■解字
会意兼形声。戀の上部(音レン)は「絲+言(ことばでけじめをつける)」からなり、もつれた糸にけじめをつけようとしても容易に分けられないこと。乱(もつれる)と同系のことば。戀はそれを音符とし、心を加えた字で、心がさまざまに乱れて思いわび、思い切りがつかないこと。
■単語家族
乱・巒(ラン)(きりがなく連なって続く山々)・「戀-心+子」(ラン)・(レン)(もつれ連なってうまれる双生児)などと同系。
■音
レン【呉音・漢音】
■訓
こう, こい, こいしい
■意味
(1)こう(こふ)。こいしい(こひし)。断ち切れずに心が引かれる。思いわびる。いつまでも慕わしく心が乱れるさま。「留恋」「恋桟(レンサン)(職をほしがって執着する)」
「羈鳥恋旧林=羈鳥は旧林を恋ふ」〔陶潜・帰園田居〕
(2)こい(こひ)。男女が慕い合って思い乱れる気持ち。「悲恋」



re:「愛」と「恋」(1)re:「愛」と「恋」(2)

re:「愛」と「恋」(4) 投稿者:Nothing 投稿日:2003年 3月24日(月)11時20分45秒

<愛>

■解字
会意兼形声。旡(カイ)・(キ)とは、人が胸を詰まらせて後ろにのけぞったさま。愛は「心+夂(足をひきずる)+音符旡」で、心がせつなく詰まって、足もそぞろに進まないさま。
■単語家族
既(キ)(いっぱいである)・漑(カイ)(水をいっぱいに満たす)と同系。また、哀(アイ)(胸が詰まってせつない)ときわめて近いことば。
■音
アイ【漢音】 オ, アイ【呉音】
■訓
いとおしむ, いとしむ, めでる, おしむ
■意味
(1)いとおしむ(いとほしむ)。いとしむ。かわいくてせつなくなる。「恋愛」「可愛=愛すべし」
「愛厥妃=厥の妃を愛す」〔孟子・梁下〕
(2)めでる(めづ)。好きでたまらなく思う。また、よいと思って、楽しむ。「愛好」
「停車坐愛楓林晩=車を停めて坐に愛す楓林の晩」〔杜牧・山行〕
(3)おしむ(をしむ)。いとおしむ(いとほしむ)。おしくてせつない。もったいないと思う。「愛惜」
「百姓皆以王為愛也=百姓皆王を以て愛めりと為す」〔孟子・梁上〕
(4)かわいがる気持ち。いとしさ。また、キリスト教で、神が人々を救ってくれる恵みの心のこと。



ありがとうございました! 投稿者:菊池 投稿日:2003年 3月26日(水)23時11分02秒

 自分の解釈だけでは、ずいぶんと間違っていることが多かったです。ありがとうございました。





数年前に漢字質問箱に掲載したものを、このブログに再掲載しました。

漢字家族-漢字の語源・ワードファミリー・解説

re^2:「愛」と「恋」の語源、成り立ちを教えてください!!

2006年01月10日 02時23分48秒 | 漢字質問箱ログ


re:「愛」と「恋」(1)re:「愛」と「恋」(3)

re:「愛」と「恋」(2) 投稿者:nothing 投稿日:2003年 3月24日(月)03時29分44秒


つぎに、「愛」。


「胸いっぱいの切なさ」

== 引用はじめ ==

 は「喜び」よりも「悲しみ」を与えるものだそうだ。およそ愛とは、異常な心の高まりだから、愛の心は必ず「切なさ」を伴うものだ。そして「切なさ」は、むしろ悲しみに近い。
 という字は、昔は「旡+心+久」と書いた。今日のという字の下半部は原型のままだが、その上部は旡(カイ・アイ)のひどく変形したものである。このという部分は、アイという発音を示す大切な個所でもある。そこで、旡-既-慨-漑-概など、およそを含むコトバを並べて考えてみる必要があろう。

 とは、人間が腹をいっぱいにつまらせて、ウーンと後ろにのけぞった姿である。の字は、お盆に盛ったごちそうを前にして、たら腹食べ終わった人間が、ウーンとのけぞっているさまを表す会意文字である。の字の左側は付図のように、盆上に盛った丸いオマンジュウである。今日でも「いっぱい」になった状態を既(キ)という。たとえば日食や月食のとき、黒い蝕(ショク)の部分が、太陽や月の表面をいっぱいに食い尽くしたのを「皆既食」という。「し尽くした」のは「すでに終えて余白がない」ことだから、には「すでに」という副詞の意味も生じてくる。
 水をドクドク注いで田の面もいっぱいに満たすのを灌漑という。この漑(ガイ)とは、水を「いっぱい」にすることである。また、四角いマスでお米をすくい上げると、どうしても凹凸が生じてマスの隅々には米が行き渡らない。その時「マス掻き棒」を使ってサッと表面をならすと、お米はマスの隅々まで届いて、マスはいっぱいになる。「いっぱいに」ならす棒のことを概(ガイ)という。ならすという意味に傾くと、「大概」(ならす→おおよそ)とか「概略」(ならしたあらまし)という意味となるが、の字の本義はマスを「いっぱいにする」棒のことである。最後に、心がいっぱいにつまるのを慨(ガイ)という。怒って胸がいっぱいになるのは憤慨、感動して胸いっぱいにつまるのは感慨という。そして、胸いっぱいの切なさ-それをというのである。それは心の姿だから、の字をそえ、また切なさに足を引きずり、歩みも滞(とどこお)りがちとなるので、足ずりの形をそえた。それは憂(ユウ)の字の場合に、「心+夂」をそえたのと同じ意味である。

 もっとも「切ない」のは恋しい場合だけとは限らない。「ああ、もったいない」という場合にも胸がいっぱいにつまる。だから愛情の「おしむ」と訓じるのである。
 斉国は偏小なりといえども、吾なんぞ一牛を(お)しまんや!<孟子>
 ケチンボじじいが「ああ惜しい」と十円玉を哀惜する心と「あの子恋しや」と切ながる気持ちとを同一視されては、叱られるかもしれない。しかしどちらの「胸いっぱいの切なさ」という点では同じなのである。


== 引用おわり ==

数年前に漢字質問箱に掲載したものを、このブログに再掲載しました。

re^1:「愛」と「恋」の語源、成り立ちを教えてください!!

2006年01月10日 02時20分22秒 | 漢字質問箱ログ

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投稿者:菊池 投稿日:2003年 3月19日(水)22時34分23秒

「愛」と「恋」の語源、成り立ちを教えてください!!

re:「愛」と「恋」(2)re:「愛」と「恋」(3)

re:「愛」と「恋」(1) 投稿者:nothing 投稿日:2003年 3月24日(月)02時50分59秒


菊池さん。大変お待たせいたしました。
「愛」と「恋」について、まずは、絶版となった『言葉の系譜』(藤堂明保)から引用します。
それでは、「恋」から、

== 引用はじめ ==

 ところで「もの思う」とは、どういう心理なのであろうか、いま戀(恋)の字の上部をみると、それは左右にを書き、中央にの字を配してある。とはズバリと裁断する明白なコトバである。糸が左と右にあって、容易に裁ち切れぬさまをにおわせたのが、この「戀-心」という部分である。してみるととは、まさしく糸が乱れて千々に乱れる、そのような心を表すコトバであろう。いったい今日の楷書は、秦の始皇帝が統一して定めた小篆の字体を継承したものだ。ところで、秦の統一のさい、採用されなかった古代文字、俗に「古文」と称する字体があるが、の字の古文は、ほとんど亂(乱)の字の左側と同じである。してみると、恋-乱は、きわめて近いコトバだということが判明する。

 そこでとは何かを考えてみよう。その左側は、上と下とから手が差し出されており、その中間に糸巻きにもつれた糸が描かれている。つまり、糸がもつれて、ズルズルと結末がつかず、二本の手でさばきかねているさまである。右側の乙印は、後に加わったもので、軋(アツ)の右側と同じく、おさえて処理する意味をそえたものだ。乱 luanの語尾のntに転じると、埒:図解luat(ラツ)という語形となり、寽・「寽+手」・埒などの字で表される。もまた、上と下とに手があり、中央に一印が描かれた会意文字だ。そこで「寽+手」は、両方から物を取ろうとして引っぱり合い、容易にケリのつかぬさまを表している。日本語で「ラチがあかない」というそのラチは、この寽・「寽+手」を音訳した借用語なのである。乱-「寽+手」は同系の語で、もつれ合ってケリのつかぬこと、つまり「ラチのあかない」さまを意味する。

 恋(レン)と近いのは、ケイレン(痙攣)のである。ケイレンとは、筋肉が上下から引っぱってもつれ合い、ラチのあかぬ状態である。二人以上の赤ちゃんが、もつれ合って生まれるのを攣生(レンセイ)という。これも(もつれ乱れた心)と同系である。そこで恋する者の心理は明らかとなった。恋(レン)とはつまり「乱(ラン)した心」、ちぢにもつれて収拾がつかず、ラチのあかない心理なのである。ああも思い、こうも思い、ケイレンしたようにズルズルとつながってケリがつかない、「あい見ての後」の、「もの思う」心とは、そうしたものらしい。


== 引用おわり ==

数年前に漢字質問箱に掲載したものを、このブログに再掲載しました。