手づくり漆器 ~うるし うるおい うるわし~

鳥取の漆職人がお届けします。

漆聖 松田権六のことば

2011-01-27 08:18:23 | Weblog
芸術の世界は広い。 今話題のスポーツも芸術だ。

それだけではなく、生きること全てが芸術に思える。

漆聖松田権六についてひとこと・・・。

松田権六は、漆の神様といわれている。

松田権六(1896~1986)は、蒔絵で人間国宝第一号を認定された。

有名な言葉に、「人に学ぶ 物に学ぶ 自然に学ぶ」がある。

今まで伝承として受け継がれてきた蒔絵技法を体験を織り交ぜながらまとめて、将来に残された。

その事が、「うるしの話」という一冊の本に記述されている。

その中には、時代とともに消えかけていく世界に誇る日本の漆芸を憂いておられる場面がある。

明治時代から大正時代は、西欧の文化の影響で今までの伝統文化が激しく変化していった。

昭和に入って、技術軽視の傾向が出てきたという。こうした時代変遷の中で、松田権六は漆器の優秀さを引き出し、将来に向けて漆器が生活の中で受け入れられるようなものを作らねばならないと提唱してこられた。 にせものはいけないと・・。

ただ、古典的な漆器を作るだけではなく、漆器が日本人にいかに受け入れられる物になっていくか考え実行された。

日本の漆器が、こうして世界の漆器に君臨しているのも、松田権六氏の功績によるものが大きい。

私は、「松田権六の世界」が2007年東京国立近代美術館で開催された時、鳥取から見に行った。時間が余りにも足らなかったことを悔いている。

 壮大な自然に触れ 一流の人に会い 一流のものを見ないと感性は育たない・・。


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