手づくり漆器 ~うるし うるおい うるわし~

鳥取の漆職人がお届けします。

漆の勉強

2011-02-28 09:27:24 | Weblog
漆塗りを始めて5年になった。

それまでは、全国の漆を販売することに専念していた。

きっかけは、蒔絵師 田中稲月さんとの交流からだ。

田中さんは、鳥取生まれ鳥取育ち 鳥取で一生を終えた。

87歳だった。



田中さんが元気な時から、弟子になって勉強すればよかったのだが、そんな時は往々にして
その気にならないものだ。

田中さんが亡くなって3年になるが、その道具を引き継いだ立場として、その仕事をしてみたいと思った。



漆塗りには、大きく2つの分野に分かれる。

木地を塗りあげる 塗師 そして、その上に金や絵漆で加飾する蒔絵師である。

もともと、私は塗師の分野なので、蒔絵は得意としない。

が、田中さんは蒔絵師だったので蒔絵の勉強をしないといけなくなった。



いろいろな道具がある。

命は、当然 筆・。 そして、それに伴うさまざまな道具。



今京都 福知山市に通っている。往復4時間だ。(車で) 月に一回のペースである。
もう3年目に入った。

漆を専門に教えてくれる、福知山市が管理する漆の館である。

漆専門学校を出られた3人の先生がいる。厳しく教えられる。

朝から晩まで、集中製作である。作品製作を通してその技術を教えていただける。

今やっと、金蒔絵が浮かび上がってきた。わくわくする・・。



伝統技術を教える施設の存在は大事だ。

一人の人間がそれを維持し存続させようとしても無理な話だ。



漆は、鳥取県でもかつては職人もいたし、学校もあった。

それも過去のこと・・。

それすらも忘れかけられ、風化している。


気高郡立徒弟学校は、明治42年に創立し大正3年に閉校となった。(場所は吉岡温泉町)

職人養成学校で、県外からも習いに来ていた学生がいた。先生も、高松や東京美術学校(現東京芸術大学)から招いて教えていたようだ。

その後、鳥取市内に青年学校が出き、そこでも職人の養成をしていた。戦前の話である。

その後は、聞いたことがない。

時代の流れに技術も変わってきた。それに伴い、昔のものは消えていった。


ここ京都府福知山市夜久野の漆の館は、その貴重な技を県外の人にも教えている。

姫路 大阪 京都 明石などからも通っている。鳥取からは私一人である。

こうして、日本の伝統文化を守り通している京都府と福知山市の価値観に対して、改めて敬意を表したい。





















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