小学校高学年の頃、定規で字を書く友だちがいた。
定規を添えるというそんなもんではなく、横画を全部、定規をあてて書くという徹底ぶりだった。
器用に書くのでおもしろく、なんかスゴ技を見ているような感覚だった。
カレの家に遊びに行った記憶がある。
カレは母子家庭で、母一人子一人だった。
お母さんは確か学校の先生だった。
なんでカレを思い出したかと言うと、1年生になった孫が点と点を結ぶのに、わざわざ定規を使って器用に線を引いていたからだ。
離れた二つの点を定規でつなぎ、定規をあてたまま斜め線を引く。
これは難しいだろうにと思った。
ムスコ嫁に聞いたら誰も教えていないという。
自分で勝手に使い始めたらしい。
そんな人もいるんだなと思った瞬間、カレを思い出した。
カレはその後、進学校に進み、東大に落ちて、早稲田の政経に入った。
退職後、河川敷の場外放送でカレと同姓同名の名前を聞くことがあった。
その時も定規で線を引くカレのことを思い出した。
あれ?
カレはこっちに帰って来ているのだろうか?
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