城台山日記

 城台山の麓で生まれ、毎日この山に登り、野菜・花づくり、読書、山登りをこよなく愛する年寄りの感動と失敗の生活日記です。

中村哲医師の受難 19.12.7

2019-12-07 19:36:43 | 面白い本はないか
 日本の寄付文化(19.4.22)で書いたとおり、海外と国内向けに少額の寄付をしている。海外向けの一つは、ペシャワール会への寄付で、寄付を始めて15年くらいになる。その会の現地代表の中村哲医師が銃撃され、亡くなった。アメリカ、ソ連など大国の干渉と不干渉により、内戦、戦禍が絶えない国になったアフガニスタン。もともとはハンセン病の患者を支援するためパキスタンのペシャワールを中心に活動していた。しかし、医師では救えない戦禍と貧しさがパキスタン、その隣のアフガニスタンには充満していた。そこで中村医師は、住民の生活を改善するため、干ばつなどの影響を受けて不毛の地になっていたアフガニスタンでまず井戸を掘り、そして水路建設にまで乗り出した。聴診器の代わりに建設重機を駆使しながら、水路を建設。そして地域の住民を雇用し、建設を進めた。そうした努力により、荒れ地は緑の大地に再生されていった。

 アフガニスタンは麻薬の原料となるケシ栽培で悪名が高い。ケシは農業作物よりも収益性が高く、普通の農業に絶望した農民が栽培する。これをテロ組織が最大の資金源とする。この流れを断ち切り、平和を同国にもたらすことが中村氏の夢であったと思う。しかし、10年前には農業の支援に携わっていた青年が拉致、殺害され、現地は中村氏だけが駐在する状態となっていた。そしてついに、ご本人まで銃撃されて亡くなったという悲報に接することになった。

 日本のODA政府開発援助は、比較的支援される国の評価が高いと聞く。しかし、カルザイ政権の時も言われたが、現地では汚職が蔓延し、なかなか住民のレベルまでその恩恵が行き届かない。そうした中で、NGOの中村医師=ペシャワール会の果たしてきた役割は、直接住民の生活の向上に役立ってきた。それでも殺されてしまう現地の複雑な状況は私たちの想像を遙かに超える。私たちは、時代が進むにつれて貧困がなくなり、その貧困が原因の戦争が収ると学校や本で習ってきた。しかし、どこを見てもそんな状況にないことは、ニュースを見ているだけで容易に理解できる。 
 
コメント
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