備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム214.瑜伽大権現(その1・由加山蓮台寺)

2009-10-03 22:08:02 | Weblog
由加山蓮台寺(ゆがさん れんだいじ)。真言宗御室派の寺院(別格本山)で、本尊は十一面観世音菩薩。
場所:倉敷市児島由加2855。岡山市街地からは県道21号線(岡山児島線)を倉敷市水島方面に向かい、「郷内」交差点(この近くに「熊野神社」や「清田八幡神社」などがある。)から県道62号線(玉野福田線)に入り、東南に進めば約8kmで到着。駐車場あり。
寺伝によれば、創建は天平5年(733年)。行基の開山になり、本尊の十一面観音は行基作という。このとき、瑜伽の行を行い、阿弥陀如来・薬師如来を本地仏とする「瑜伽大権現」を感得した。「瑜伽」はサンスクリット語のヨーガで、日本では一般に健康体操のように思われているが、瞑想などの修行もあるらしい。
この開山伝承によれば、児島で最初の寺院であるということだそうだが、真偽は不明(やや疑わしい?)。なお、「権現」(仏が仮に神の姿で現れたもの)というのは本地垂迹説によるもので、多分、平安後期頃の成立だろう。また、瑜伽山(由加山)の北麓にある「熊野神社」(倉敷市林)の寺伝によれば、役行者の5人の高弟が紀州熊野から児島にやってきて「新熊野」を開いた際、「那智宮」としたところであるという。
いずれにせよ、神仏混淆色が強かったわけだが、明治維新の神仏分離令で寺院と神社に分けられた。神社側である「由加神社本宮」の本殿の右手に「観音堂」があり(写真中)、更にその右手の少し高いところに「恵比寿大黒岩」という2つの岩を祀ったところがある(写真下)。これが寺院側の「磐座」だろうか、と思われる。神社側の「磐座」は次項で。


由加山蓮台寺のHP:http://www.yugasan.jp/top.html


写真上:奥の院「権現堂」。神仏分離令にもめげず、「権現」を祀るため明治になって建てられたものという。


写真中:「観音堂」。本尊が十一面観音なのだから、本来はこちらが本堂だろうが、今ここに本尊はない。


写真下:「恵比寿大黒石」。「観音堂」の右手の少し高いところにある。

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