備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム175.仏住山蓮昌寺

2009-05-18 20:32:47 | Weblog
仏住山蓮昌寺(ぶつじゅうざん れんじょうじ)。主院を「龍華樹院」(りゅうげじゅいん)といい、道路を隔てた向かい側に塔頭「覚善院」(かくぜんいん)がある(外見はビルのようだが。)。日蓮宗の寺院で、本尊は大曼荼羅(開基日像上人が「南無妙法蓮華経」と大書したもの。高さ7m×幅4m)。
場所:岡山市北区田町1-4-12。岡山市の中心市街地にあり、柳川筋(国道53号線)の岡山中央郵便局の向かい側、柳川筋の1本西側の道路に面している。この辺りは一方通行の道路が多く、自動車だと迷いやすい。駐車場あり(有料)。
前項の「笠井薬師」のついで。寺伝によれば、「蓮昌寺」は富山城主(のち金川城主)松田左近将監元喬により正慶年間(1332~1333年)に創建された(なお、松田元喬の法名から「蓮昌寺」と名づけられたという。)。当時は松田氏の支城が「石山」にあり、当寺は「岡山」にあった。その後、宇喜田直家が進出し、「岡山」に築城を始めると、「榎の馬場」(現・県立図書館付近)にあった当寺は旭川の対岸である森下に移された。更に慶長6年(1601年)、小早川秀秋が岡山城下に寺町を形成したことにより現在地に再移転した。
「備前法華」といわれる日蓮宗の巨刹で、戦前まで旧国宝の本堂・三重塔があったが、昭和20年(1945年)の空襲により焼失した。現在の本堂は昭和43年(1968年)落成の鉄筋コンクリート製であるが、その隣に大仏殿釈迦堂があり、笠井山大仏殿にあった「ビルマ仏」が安置されている(写真中)。
更に、その隣に「一丸稲荷」を祀る「一丸堂」がある(写真下)。寺伝では、当寺創建時に「水宝(または水穂)大善神」という稲荷大明神を寺の守護神として祠ったのが始まりで、明治期に「最尊一丸大明王」と改称された。一説に、鳥取城の「一の丸」にあったのでこの名があるとされるが、眷属に月丸明王・星丸明王とあるところから、「一丸」とは太陽のことであり、天の三光(太陽と月と星)を名とした稲荷神である、とする。この説明では、なぜ「稲荷神」であるのか、よくわからないのだが(因みに、「一丸堂」を守っているのは狐ではなく、狛犬である。)、稲荷神と星信仰が関係があるなら、それは(天台宗がベースであるとしても)日蓮宗の発想だろう。日蓮宗では、妙見菩薩を尊重し、妙見とは日天子・月天子・明星天子の三光天子である、と説く。そもそも「日蓮」という名は、日月蓮華から取ったという。宗教学の専門家でも何でもないので、これ以上の詮索はしないが、興味は尽きない。


蓮昌寺のHP:http://www.renjyoji.com/

s-minagaさんの「がらくた置場」HPから(備前蓮昌寺):http://www.d1.dion.ne.jp/~s_minaga/n_renzyoji.htm


写真上:蓮昌寺本堂


写真中:大仏殿釈迦堂のビルマ大仏。平成12年に笠井山大仏殿から遷座。


写真下:一丸稲荷(一丸堂)

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