備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム27.室山満願寺(慈眼院)、馬路山明王寺

2008-08-09 11:41:45 | Weblog
①室山満願寺(むろさん まんがんじ)。少なくとも江戸時代には3坊あったが、現在では「慈眼院」(じがんいん)のみが現存し、単に「慈眼院」のみで通用している。高野山真言宗の寺院で、本尊は十一面観世音菩薩。寺伝によれば鑑真の開創といい、備前48ヶ寺の1つとされているが、室町時代には金陵山西大寺の末寺となっていたらしい。「西大寺会陽」で宝木を授与するようにしたとされる「忠阿上人」の墓という石造五輪塔がある。
②馬路山明王寺(まじさん みょうおうじ)。天台宗の寺院で、本尊は毘沙門天。報恩大師開基の備前48ヶ寺の1つであるが、その後荒廃し、本来の本尊千手観音も失われたが、その後、山中に光明を放つ毘沙門天像(千手観音の化身という。)が現れ、これをもとに鞍馬山の「峰延」という僧が再興したといい、鞍馬山にちなんで山号を馬路山としたという。当時(中世?)は1山17坊を数えたというが、現在は本坊である「現成院」(げんじょういん)しか残っておらず、単に「明王寺」で通用している。
場所:①慈眼院;岡山市東区古都南方1200。②明王寺;岡山市東区竹原185。慈眼院は「雨乞山」(193m)の北東麓の谷、明王寺は「岩倉山」(153m)の北東の向かい側の山にある。どちらも県道83号線(飯井宿線)沿いで、芥子山系の北側になる。この県道は旧長船町南部と東岡山(駅)を結び、国道250号線の抜け道としても便利だが、このあたりには国内神名帳所載の古社はない。
両寺とも、天平年間の開創というのは疑問としても、室町時代くらいの歴史はある。なぜ、このあたりには古社がないのか、疑問に思ったので、あえて書いてみた。


写真上:慈眼院


写真中:明王寺本堂


写真下:明王寺猿塚(痔の神様だそうです。)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿