備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム178.備前美作国境(その1・福渡)

2009-05-22 22:03:37 | Weblog
岡山市は、合併によって同じ市内に一宮が2つあるという稀有な市となった。当然ながら備前備中国境が市内にあるわけだが、備前美作国境も市内にある。建部町の福渡地区(旧福渡町)は、もと久米郡に属し、美作国の南端にあった。旭川の対岸(旧建部町)が備前国で、渡し舟があり、「行こか岡山、戻ろか津山、ここが思案の深渡し」と詠われた。「深渡し」が「福渡」になったわけである。
現在、備前国の中心都市・岡山市と美作国の中心都市・津山市を結ぶ国道53号線(もとの「津山往来」)は県の南北の大動脈だが、明治時代まではむしろ川の水運の方が盛んだった(それも旭川ではなく、吉井川が主)。特に、江戸時代は南北の折り合いが悪く(福渡は天領だった時期もある。)、道路はあまり整備されなかったようだ。
古代山陽道も現赤磐市の日古木峠から南下するのがメインルートで、官道ではないが、そのまま西に向かい、現岡山市北区御津金川で旭川を渡るルートも古くからあったと思われる(そのルート沿いに備前国内神名帳に載る古社が多い。)。
こちらの備前美作国境の氏神は、互いに八幡宮である。「福渡八幡宮」は白鳳6年(655年)に宇佐神宮から勧請したと伝えられる。美作分国が和銅6年(713年)だから、さすがに、これは古すぎてなかなか信じがたいが、この地区の名社であることは間違いないと思われる。

八幡神社(はちまんじんじゃ)。通称:福渡八幡宮。
場所:岡山市北区建部町福渡1103。国道53号線から「福渡病院」と老人ホーム「旭水荘」の間の道に入り(北へ)、ほぼ直進約200m。神社前の道は狭く、駐車場はない。

岡山県神社庁のHP:http://www.okayama-jinjacho.or.jp/cgi-bin/jsearch.cgi?mode=detail&jcode=27068


写真上:福渡八幡宮


写真中:潜水橋(増水すると水に浸かる)「幸福橋」。建部町産業観光物産案内所の裏側あたり。


写真下:高瀬舟(復元)。福渡の少し下流、旭川右岸(西岸)側の「建部町文化センター」(岡山市北区建部町建部上899)にある。

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