備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム184.補陀洛山藤戸寺

2009-06-07 20:00:39 | Weblog
補陀洛山千手院藤戸寺(ふだらくさん せんじゅいん ふじとじ)。高野山真言宗の寺院で、本尊は千手観音。
場所:倉敷市藤戸町藤戸57。天城小学校の南、約300m。県道22号線(倉敷玉野線)沿いにあり、有名寺院なので、自動車ならナビで行けると思う。駐車場あり。
佐々木盛綱の「ついで」の続き。寺伝によれば、慶雲2年(705年)、このあたり一帯がまだ海であった頃、海から千手観音像が浮かび出た。その30余年後の天平年間、行基がこの千手観音を本尊として当寺を創建したという。行基による創建というのは伝説としても、戦功により児島郷を領した佐々木盛綱が再興したというのはあり得ることで、相応の歴史を有していることは確かなようだ。
当寺の目の前には現在、倉敷川が流れている(「盛綱橋」という橋が架けられ、橋上に佐々木盛綱の銅像がある。)が、かつては海だったようで、「経ヶ島」という小島(岩?)があった。佐々木盛綱が戦功を上げるきっかけとなったのは、漁夫が海の浅瀬を教えてくれたからだが、秘密を守るためにこの漁夫を殺してしまったので、後に当寺で大法要を行った。この小島に写経を納めたため「経ヶ島」という名になったという。
藤戸町は、児島が文字通り「島」であった頃の西北端に当たり、直接には古社と関係はないが、ここから(瀬戸中央道に沿って)南下すれば、国内神名帳に載る古社「木華佐久耶比神社」、「天石門別保布羅神社」のほか、「清田八幡宮」、「五流尊瀧院」、「熊野神社」、「福岡神社」、「一等寺」などの寺社がある。

ところで、藤戸寺門前にある「藤戸饅頭本舗」の「藤戸饅頭」は文句無く美味い。お土産に是非どうぞ。


岡山県立図書館のHPから(「藤戸合戦の古戦場をたずねて」(藤戸寺)):http://djv.libnet.pref.okayama.jp/mmhp/kyodo/kento/hujito/genpei-hujito-hujitoji.htm


写真上:藤戸寺


写真中:境内にある石造五重塔(県重要文化財)。花崗岩製で、高さ355cm。寛元元年(1243年)10月18日の銘がある。


写真下:「源平古跡 経ヶ島」。今では地続きとなっているが、丸い敷地の周囲を水路でめぐらせてある。石を積上げた塚の頂上に石灰岩で造られた二基の宝篋印塔が置かれ、小さい方が漁夫の供養塔であるという。なお、手前の小社は弁財天を祀っている。

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