独り合点(ひとりがてん)

きもの業界をステージとした、ビジネスと生活スタイル、および近況。

紅板締め(2)

2011-07-22 | きもの

紅板締めは、布を屏風畳みにし、両側から模様を彫った型板を当てて、かたく縛って防染し、染液に浸し、紋様を染め出すもので、正倉院に伝えられる夾纈の1種で、奈良時代には隆盛を極めましたが、徐々に衰退し、江戸時代後期に入り、京都を主産地として高価な紅と絹を使った「紅染」と出雲では藍を使った木綿の「藍染」の板締めが人気を博しました。紅板締めが流行した背景には、度重なる幕府の贅沢禁止令の影響があり、表着はあくまでも地味に、しかし見えないところは思い切って贅を尽くし、おしゃれをする、と言う江戸っ子の美意識「底至り」がありました。しかし、明治、大正となり、型染が発明され、更に化学染料が使われるようになると、手間のかかる紅板締めは衰退してしまい、ついに世から姿を消してしまいました。

また紅板締めは、長襦袢、裾よけなど女性の下着や間着に多く使われたことから、広く目に触れる機会も、現存品が少なく、高野染工所が廃業してからわずか6年ですが、急速に私たちの記憶から消えようとしています。またすでに技法にも不明な点が多く、「幻の染め」とも言われています。

 

襟元や袖口、裾から覗く鮮やかな紅染の下着、また襟や帯はひときわ鮮やかに赤く、華やかに装う女性達を魅了したのが、「紅板締め」。幻の染めといわれる「紅板締め」の染色工程やいまも色鮮やかな紅花で染められた長襦袢など、江戸から明治期の普段余り目にすることのない下着を一堂に集め、「紅板締め 江戸から明治のランジェリー」と題し、特別展を開催します。

 

紅板締め 江戸から明治のランジェリー

 

開催期間 7月26日(火)~9月4日(日)

       *平日9時30分~16時 土日祝9時30分~17時

       *入館はそれぞれ30分前まで

会場    国立歴史民族博物館 企画展示室

      千葉県佐倉市城内町117 電話043(486)0123

 


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