独り合点(ひとりがてん)

きもの業界をステージとした、ビジネスと生活スタイル、および近況。

実際に体験する!

2011-07-16 | 自学自習塾

多種多様な染や織のきものと帯、、更に小物まで加えるとざっと数えても最低500~600種類の商品知識がなければ呉服屋さんは務まらない。しかも下駄や草履屋さん、小間物屋さんなどきもの生活者に必要不可欠な小物を扱っていたお店が閉店しているので、その分も引き受け、取り込んで行かないと―とにかく基本は、商品の目利きにならないと呉服屋さんは始まらない。で、後継者の勉強会・自学自習塾では、商品の出来るまではじめ、様々なことを現場に学んでいる。今回も簡単な引き染め実際に1人1人にやってもらったが、生地の張り方、伸子張りの使い方、さらに身幅に刷毛を一方方向に引き染め、繰り返してゆく。しかも素早くやらないと染料がどんどん乾いてゆくので、むらになってしまう。実際にやってみると張った生地がゆらゆらと揺れ、案外と手こずる。百聞は一見にしかず、といいますが、実際に1つ1つの行程を目で学び、身体で学び、さらに自ら調べて学ぶのですが、主催者としては、場所探しが案外と難しい。つい10年前までは、東京でも多くの染工所や蒸し屋さんなどがあったのですが、この1,2年で一気に廃業してしまったので、現場を探すのが至難になってきています。理想の店作りをするために、多くを学びたい、特に現場を学びたい呉服屋さんにとって、中々厳しい環境ですが、今も続けている現場の人々や職人さんは、きもの熱の高い人たちなので、”学ぶ人”にとても親切で、永年の技術や経験と共にきものの魅力を余すことなく、様々に伝えてくれる。このレアな体験はその人の生き方からつたわるものは、本当に稀少で、呉服屋さんを一生の仕事にしようと学び、行動している人たちを、大いに勇気づけます。