独り合点(ひとりがてん)

きもの業界をステージとした、ビジネスと生活スタイル、および近況。

主婦がビーズを作る本当の理由

2011-07-23 | 広告

私の周りにもビーズにはまっている方が多くいらっしゃいます。定期的に浅草橋の問屋街まで材料を買いにきて、それは熱心です。光文社の発行する月刊誌「Mart」は、「創刊前に港北や浦安の30代の主婦達に話を聞いたら、当時ビーズが流行っていました。ところが、その中に『本当は好きじゃないけど、やっている』という人たちがいたんです」と編集長の大給氏。「ビーズ作りに興味はないが、ビーズ作りをすればコミュニティの一員になれるし、交流できるのが愉しいという。つまりビーズはホビーではなく、コミュニケーションツールだった。なるほどと思って詳しく話を聞くと、ル・クルーゼやダウニーを見せ合ったり、使い方を伝え合ったり、ビーズ以外にもコミュニケーションツールが幾つもあったんです」。女性誌でフォーカスされがちな麻布や成城で暮らす優雅なセレブはほんの少数派。かといって節約ばかりに勤しむ倹約主婦像も極端。大多数は色々な意味で「そこそこ」の普通の主婦で、2万数千円のル・クルーゼなら買えるし、その金額に見合う価値があると考えている。港北や浦安に住む30代、40代の主婦は当時すでにこうした価値観を共有しつつあった。そこで大給氏は、毎日の生活を彩るコミュニケーションツールを通し「そこそこの主婦たち」のコミュニティの場として「マート」を位置づけることにしたそうです。以来マートの取り上げる商品やショップ、イケア、コストコ、食べるラー油、クルーゼ、柔軟剤のダウニー、シリコン製調理器具のルクエハイアールの冷凍庫…は大ヒット。スーホルムカフェのトートバックは4,000個の販売目標が17万個以上。ハイアールの冷凍庫は雑誌掲載後1週間で6,000台も売れたという。こうしたヒットは偶然の産物ではなく「マートは人と人をつなぐコミュニケーションの最新情報と“場”を提供する雑誌です」と2004年の創刊以来、雑誌を「コミュニティ」「コミュニケーションツール」と位置づけているユニークな編集方針が当たり、商品開発担当者などにも注目されています。