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この小さな箱の中で飛んだり跳ねたりしてみます(笑)

包包餃子大会

2004年09月13日 | 家族
「ねぇ、今夜何が食べたい?」
それは日曜の午前中、
買い物に出かける前の嫁さんのいつもの一言で始まった。

普段なら「ん?何でもいいよ~」と
本心なのだけれど気の無い返事だと思われがちな答えを返すのだが
昨日は違っていた。

僕「そうだなぁ…餃子なんてどう?」
嫁「う~ん、餃子ねぇ」
僕「自分達で包んでさ、ホットプレートで焼いて食べようよ」
嫁「うん、そうしよっか」
僕「お義母さんたちも呼んで餃子パーティしよか!」

そうと決まれば話は早い。
義母に餃子パーティにご招待する旨を伝え
買い物の間娘二人を預かっていただく。

まずはいつもの電気屋さんで買い物。
しかし今日は宿敵「テンインサン」との戦いは無し(笑)
目的がPC関連なのでフロアが違うし
下調べしてあったのでささっと買い物終了。

新聞に入ってたクーポンがあったのでマクドで昼食。
この事はマクド好きのチーちゃんには絶対に秘密にしておかねばならない(爆)

その足でドラッグストアでニパちゃんのおしゃぶりを購入
隣の100円ショップで嫁さんが捕まる(爆)
確かにイロイロあって見てるだけでも楽しいけれど
僕はすぐに飽きて車で待つ事に。
あんなに長時間一つの店でうろつけるのは才能だと思う(苦笑)

最後に業務用スーパーへ
「包包餃子大会」前回大会は豚ミンチ餡と鶏ミンチ餡の2種類作ったのだが
今回は鶏ミンチが置いて無かったので(泣)
牛豚合挽き餡とエビ餡(水じゃないよ 笑)に決定。

僕が翌日仕事なのでニラとにんにくは抜き。
前回大会はキャベツだったので今回は白菜に
しいたけとたけのこは今回も入れたい。
ねぎは手抜きで刻んである冷凍物を購入。
おっと最後に忘れちゃいけない「餃子の皮」をちょっと多めに(笑)
前回大会では皮が足りなくて粉だらけのままスーパーまで買いに行ったのだった…

急いで家に返るともう16時すぎ。
嫁実家からチーちゃんを呼び戻して早速調理開始!

ボールにミンチと茹でて水を切った白菜にねぎ、
みじん切りにしたしいたけと食感のたけのこを入れ
ニチャニチャと混ぜ合わせる。

おろしたしょうが、塩、コショウに鶏がらスープの素を加え更に混ぜる。
握った時に指の間からニョロニョロとミンチが逃げて行く感触が楽しい(爆)
粘り気が出てきたら醤油とすりゴマを入れる
最後にラードを加えて混ぜ合わせて「合挽きミンチ餡」の完成。

出来上がった餡のうち1/3程度を別のボールに入れ
そこに細かく切ったエビを入れて混ぜ合わせる。
塩コショウで味を調え「エビ餡」の完成。

餡ができあがったところで本日のメインイベント
「包包」の開始である。

チーちゃんと二人、ボールに向かいまず一礼(アホ 笑)
スプーン片手に皮に餡を乗せ
皮の手前側にちょっと水つけてそのまま包む。
左手中指と親指、右手人差し指、中指、親指でひだをつけて行く。
チーちゃんは前回大会で覚えたはずの技を忘れているらしく
「パパ、どうやってやるん?」と聞いてきた。

猛特訓の開始である。
鬼「そんなことでは王将でバイトできひんで!」鬼コーチjumpの声が飛ぶ!
チ「えー、王将のバイトせえへんもん」チーちゃん弱気
鬼「何言ってるんだ!将来は王将のバイトで稼ぐのだ!」
チ「だって、私看護婦さんになるんだもん」
…ほほぅ、そうだったのか。
ちょっと嬉しい鬼コーチ(笑)
鬼「ならば、手術痕を上手くひだひだに縫い合わせるためにも特訓だ!」
チ「い、いや、手術痕が餃子のカタチはイヤやろ」
的確な突っ込みだ!また一段と腕をあげたな…(笑)

そんなほのぼのとした親子の会話を楽しんでいるうちに
チーちゃんはみるみる上達していく。
たまに茶巾型の変型餃子なども作りながら
120枚ある皮はどんどん減って行く。

片栗粉を振ったお皿とバットはあっという間に餃子で埋まっていく。
10枚ほどの皮を残して両方の餡は終了した。
顔と手を片栗粉と飛び散った餡でべたべたにしながら
僕とチーちゃんは達成感を堪能して笑った。



さぁ!パーティの始まりだ!

義母と義弟もやってきてにぎやかな食卓が嬉しそうなニパちゃん。

ホットプレートを熱々に熱してサラダ油を薄く引き
そこに餃子を並べるとジブジブと皮が焼かれていく。

程よく皮に色がついたところで
やや多めの熱湯を一気に流し込みすかさず蓋をする。

じょわーっ!ぷちぷちっ!ぶつぶつぶつ…

餃子が蒸し焼きにされている間に
小皿にタレを注ぎ、ラー油をちょっと多めにたらす。
もちろんビールも忘れちゃいけない。
蓋の隙間から漏れる香りと蒸気に全員が前かがみになる(笑)

プレート上の水分が無くなったところでいよいよ蓋をあける。
もわっと一気に広がる蒸気に気をつけながら蓋をとると
つやつやと白く輝く餃子の群れが姿を現した。

お皿に取り分けて食べるもよし
プレートからそのままつまんで食べるもよし。

箸で一つつまみ裏返したりしてしばし眺める。
お皿とバットに引いていた片栗粉のおかげで
下側の皮はパリパリと程よいきつね色
たっぷりのお湯で蒸し上げられた上側は透明感があり
中の餡の様子を少しだけ映し出しながらつやつやに光っている。

「いただきます!」

アツアツの餃子を口中に放り込む。

ハフハフと空気を取り込みながらも
まずはパリッときつね色の皮の食感。
同時にもちっとした上側の皮が歯にまとわりつき
さらに上下の歯の距離を縮めて行くと歯ごたえのある餡にたどり着く。
そのまま一気にかむと

熱っ!

じゅわっと大量の肉汁が舌を焼かんとあふれ出す。

ぱりっ、もちっ、じゅわっと餃子の旨みが口に広がる
タレの酸味とラー油のピリ辛がその旨みを一層際立たせる。
口を半開きのまま咀嚼し口いっぱいに餃子を堪能する。

餃子の味が消えないうちにキンキンに冷えたビールの出番だ!
水滴をまとったグラスを手に取り口をつける。
クリーミィな泡をかき分けて喉に向かって一気に流れ込む刺激的な黄金の液体。

ごくっ、ごくっ、ごくっ

喉は鳴るのを止めようとしない。

ぷっはぁぁぁぁぁぁぁ~

人間やってて良かったと思える瞬間である(爆)

こうなるともう誰にも止められない。
僕らは会話も少なく一心不乱にホットプレートをつついた。

熱っ、ぱりっ、もちっ、じゅわっ、ごくっ、ぷはぁ
熱っ、ぱりっ、もちっ、じゅわっ、ぷりっ、ごくっ、ぷはぁ(エビ餡)
熱っ、ぱりっ、もちっ、じゅわっ、ごくっ、ぷはぁ
熱っ、ぱりっ、もちっ、じゅわっ、ぷりっ、ごくっ、ぷはぁ(エビ餡)
熱っ、ぱりっ、もちっ、じゅわっ、ごくっ、ぷはぁ
熱っ、ぱりっ、もちっ、じゅわっ、ごくっ、ぷはぁ

永遠に続いて欲しいような「餃子の幸福ループ」(笑)

ひとしきり餃子を食べた後
嫁さんが残った皮をホットプレートに並べ始めた。
皮の上にピザソースを塗りエビやハムを乗せる。
その上にチーズを乗せて待つこと数分。
「パリパリミニピザ」の完成!
あぁ…
これがまたビールに良く合うんだなぁ…

かくして「包包餃子大会」は大成功のうちに幕を閉じたのだった。

いかがです?
もう我慢できないでしょ?(笑)

明日、明後日の皆様のBLOGは餃子の記事で溢れていることでしょう(爆)


blue_rexさんのとこで見たぐぅブログバーチャル宴会 に参戦します(笑)
…参戦て、まだ「食う軍」のクセが抜けてないわ(爆)

痛いほど透明な川に足を浸す ~1~

2004年09月11日 | 家族
帰省シリーズ第6弾です
…ってまだ続くのかよっ!(爆)

縁側ビールとその後の宴会でぐっすり眠った翌朝
チーちゃんに起こされて重い身体を縦にする。

台所へ行くと弟家族が朝食中だった。
狭いテーブルは甥っ子1.2号と姪っ子の声で溢れている。

すでに朝食を終えていた父は居間でコーヒーを飲んでいる。
「今日はどこ行くん?」父の隣に座りながら聞いた。
「どこ行こうかなぁ」
父はそう答えてコーヒーを一口すすると
「敷物とお弁当持って山でも行くか」と言った。
するといつの間にかそばにいたチーちゃんが
「うん!行く!山行きたい!」と大騒ぎする。
ニパちゃんは今日もキョトンとしてお姉ちゃんを見ている(笑)

早くもお出かけモードのチーちゃんにせかされ
弟家族と交代で朝食の食卓に着いた。

山へ行く前に僕には寄らなければならにところがある。
いつも顔わ出す近所のおじさんのところ。
小さい頃はその家のおじいさんとおばあさんに可愛がってもらった。
おじさんはいつもお米や野菜を僕に送ってくれる。

徒歩1分
訪ねるとおじさんもおばさんも出かけているようで
次女が一人でいた。
仏間に通してもらって線香をあげる。
おじいさんとおばあさんに心の中で語りかける
「今年も無事に帰ってきました。家族はみんな元気です。」
手を合わせて言う事はいつも同じなのだけれど
娘達の成長をしっかりと見てもらえているような気がしている。

次女がお茶を出してくれた。
そこで思わぬお願いをされた。
「あ、そうそうjumpあんちゃ、私な結婚するんな」
あのちっちゃくて丸々した愛らしい女の子が結婚?
目の前のちょっと照れながらもすっかり女っぽくなった次女は続けた。
「それでな、結婚式の招待状に入れる似顔絵描いて欲しいんだけど」
「お安い御用で!」
もちろん喜んで引き受けた。
「彼氏も今きとるで紹介するな」
おおーっ、何か緊張するなぁ!

家主不在の婚約者の家で
どこの誰とも知らない昔近所に住んでたお兄ちゃんという人物に
いきなり引き合わされた彼氏はどんな顔していいのかわからない様子(笑)

とりあえず二人並んだ姿をデジカメに納めて実家に戻った。
もちろん彼氏の笑顔はどれも引きつっていて
後で見返すとそれがとても面白くて
そこから似顔絵を起こさなきゃならない事を忘れて笑った。


ブルーの大きなシート、お茶の水筒、お菓子、子供達の着替え
僕の車と弟の車に積み込んで行く。

それぞれ子供達をチャイルドシートに縛りつけ
僕の車に僕ら夫婦とニパちゃんと両親を乗せ、
チーちゃんは弟家族の車に乗り込みいざ山へ向け出発!

…が、その前にもう一箇所寄らねばならないところがある
母の実家であり、僕らの仲人をしてくれた叔父の家だ。

祖父は建具職人で長女の母を筆頭に4人兄弟。
次女は単身アメリカに渡り今もLAで一人で暮らしている。
末っ子の三女は神奈川に住んでいて
僕の初めての旅で行ったのがこの叔母の家だった。

一人息子だった叔父は祖父の跡を継いで店舗内装の会社を経営していた。
その叔父にとって初めての甥っ子だった僕は
小さい頃から無条件に可愛がられた。

多くの少年がそうであるように車好きだった僕をドライブに連れて行ってくれたり
知り合いのダンプの運ちゃんに頼んでダンプカーに乗せてくれたこともあった。
クリスマスに「仮面ライダーのベルトが欲しい!」と言えば
ちゃんとプレゼントを用意してくれた。
包みを開けてみるとそれは「バロムワンのベルト」だったりするのだが(笑)

僕が高校生になると一緒に飲めるのが嬉しいらしく
しょっちゅう家に呼ばれた。
仕事の話や祖父や母の苦労話をしてくれた。
「お前に会社を継いで欲しい」と言われた事もあった。

僕が大阪に出てからも帰省の度に家に呼ばれ朝まで飲んだ。
僕も就職して結婚が決まった。
報告と仲人の依頼に行くとすっかり白髪頭になった叔父は
自分の息子のように喜んでくれた。

形式だけの結納のために大阪まで来てくれた時は
白髪をキレイに黒く染めていたのに驚いた。
「jumpの嫁さんのご両親に会うのに恥ずかしいだろ」
叔父はそう言っていつの間にか深く刻まれた目じりの皺を一層際立たせて笑った。

チーちゃんが生まれて初めての帰省の時は
僕の両親よりも嬉しそうに
飲んでいる間中ずっとチーちゃんを膝の上に抱えていた。

叔父の子供、いとこは3人。
長女、長男、次男といたが男の子人は良く問題を起こした(苦笑)
たくましくやんちゃで奔放に育った。

その長女が結婚し、初孫が生まれ、長男も結婚が近づくと
自然に僕らが叔父の家に顔尾を出す頻度は減っていった。

「叔父さんが倒れた」
早朝や深夜にかかってくる電話はこんな内容の事が多い。
だからできれば出たくないのだ。

慌てて田舎に帰った。
病室の叔父は頬がこけていたがまだ元気そうだった。
早く治して仕事しなきゃと言っていた。
「あと半年だって」看護士だった母は弟の余命を聞いてうろたえていた。
がんだった。

叔父の生命力は医者の診断と病気を凌駕していた。
入退院を繰り返し最初の入院から1年半が経っていた。
なんとしても半年後に迫った長男の結婚式には出るんだと言っていた。

その電話は深夜にかかってきた。
「さっき亡くなったよ」母は落ち着いた声で電話してきた。

東京で単身赴任中だった僕は
とりあえず一人で田舎に帰った。

「まるで眠っているようだ」そんな手垢のついた表現がぴったりだった。
台所では近所のお組合の女性達が通夜の支度であわただしくしている。
静かに横になっている叔父の横で僕は酒を飲んだ。
湯のみ茶碗に酒を注いで叔父の枕元に置いて一緒に飲んだ。
そこだけ時間が止まったようだった。
飲みながら話しかけても
いつものような笑顔と返事が返ってくることはなかった。

通夜も葬式も忙しく感傷に浸る間もなくあっと言う間にすぎて行った。
出棺の時チーちゃんは花とタバコを棺に入れ
嫁さんにしがみつきながら泣いた。
僕は悲しかったけれど不思議なほど涙が出なかった。

火葬場で最後のお別れをした。
その最中はみんな落ち着いたようで
待合室でお茶を飲み談笑していた。

僕はそこを抜け出してロビーに出てタバコに火をつけた。
ふーっと煙を吐き出して窓の外を見る。
煙突からまっすぐ天に向かって煙が立ち昇っていた。

その瞬間堰を切ったように涙が溢れ出した。
親戚や近所の人の目もはばからずに泣いた。
嗚咽を繰り返し声をあげて泣いた。

空は青く高かった。

3ヵ月後
いとこの結婚式は新郎の父は不在だったが
延期はするなと言う強い希望で滞りなく行われた。
最後の新郎の挨拶で会場は泣き声に染まった。
叔母が抱えていた遺影だけが穏やかに微笑んでいた。

その叔父に手を合わせるために
山へ行く前にその家に寄らねばならなかったのだ。
…って前置き長すぎ(笑)

てなわけでまたもや続くのだ(爆)







ある日、夏の縁側で

2004年09月06日 | 家族
世の中はあまりにも色んな事が起こりすぎる。
あれも書きたいこれも書かなきゃって思っているうちに
書きかけてあった記事が埋もれていく…(笑)

さて、今回は「高原へ行きましょう ~3~」の続き
帰宅してからのお話。
まだその翌日の事も書きたいんだけど…
いつになったら帰省話が終わるのか(爆)

まだ外は十分な明るさがあるうちに実家に戻った。

車から荷物を下ろし
畑の横を抜けて階段を上り庭から縁側に荷物を放り込んだ。
縁側に並ぶ鞄の列を退けてニパちゃんを下ろす。

夕暮れの風が抜けるたびに
庭の木が右から左へ「さわさわ」と輪唱を繰り返す。

嫁さんと母は早速晩飯の支度に取り掛かる。
今日は弟家族が来ることになっているので
食事の支度も大人数分用意しなくちゃならない。
父は風呂に水を溜めたあと台所で母の手伝い。
冷たい水道水で手と顔を洗いチーちゃんとニパちゃんは居間で遊んでいる。
居場所のなくなった僕は縁側を歩きながら思いついた。

「そうだ!エビスがあったやん!」(爆)

忙しそうに動き回る母と嫁さんと父の脇をすり抜け
冷蔵庫を開けてエビスを取り出すと
テーブルの上にあった茹でたてのとうもろこしを失敬して
縁側にどっかと腰をすえた(笑)

帰宅してそのままの紙袋から
高原行きのおやつとして買ったポテチが顔を覗かせている。
「そうか、そうか、そうだよな」とポテチを袋から救出してあげた(笑)

ホクホクの甘くてジューシーでちょっと毛の残った
茹でたてとうもろこしにポテチにエビス。
縁側で足をぶらつかせながらプシッ!

よく冷えた琥珀色の液体は
程よくスパークしながらゆっくり僕の喉を通過していった。
「ぷはぁ~っ!」

日は傾いたけれどまだ青空の残る夏の日の夕方。
台所の喧騒を背後に庭の木々を眺めつつもう一口。

「チーちゃん、ニパちゃんおいでー!」
娘達を縁側に呼び寄せる。
チーちゃんは麦茶をグラスに入れて持ってきた。
膝の上のニパちゃんはビールの缶を掴もうと必死だ(笑)
静かな縁側で小さな宴会が始まった。

僕とチーちゃんはポテチを一枚づつ袋から取り出し
「どっちが大きいか?」なんて遊びをしている。
ニパちゃんはとうもろこしに夢中だ。

そうこうしているうちに弟家族が到着した。
「しばらくだねぇ」なんて挨拶をかわすと
弟夫婦は座敷で宴会の準備に取り掛かった。
女(6歳)、男(4歳)、男(2歳)の甥っ子姪っ子を
縁側の宴会場に呼び寄せる。
チーちゃんはお姉さんぶってジュースやらお菓子を調達してきた(笑)

一気に縁側がにぎやかになった。
左の膝にニパちゃん右には2歳の甥っ子を抱えてビールを口に運ぶ。
他の子たちは持ってきたおもちゃ自慢をしている。

庭木の向こうに見える空が
水色から紫、濃紺へと変化を遂げていく。
風はますます冷たさをまし
縁側からたらした足先の体温を奪って行く。

「さ、ご飯にしよう!」台所から父の声が聞こえた。
続けてバタバタと座敷に料理や皿を運ぶ足音が聞こえる。
とその時背後から大きな声…

「あんたたち!またご飯の前にお菓子なんか食べて!」
弟の嫁さんだった(笑)

キャーキャー言って逃げ回る子供達

「お義兄さんすみません、迷惑かけて」と謝る弟嫁に
「いや、僕が誘っちゃったから…」と頭ポリポリ(笑)

「さ、ご飯にしよか」
残ったエビスをグイッと喉に流し込み
ニパちゃんを抱いて本当の宴会場に向かう。

「さぁ!飲むぞー!」

チーちゃんのツッコミと笑い声が響く
辺りはすっかり暗くなっていて
座敷の明かりだけが庭をぼうっと照らし出していた。




また来た!

2004年09月06日 | 家族
もうすぐ日付が変わろうかという夜
今日買った「くるくる鮨」を嫁さんと見ていた
娘二人は2階で就寝中。

グラリ…
「来たっ!」

二人同時に立ち上がり
今までに見たこともないスピードで階段を駆け上がった。

寝室を見る
「チーちゃんがいない!」
ニパちゃんの布団の上には毛布。

まだグラグラ揺れている。
枕元の家具を左手で押さえながら毛布をめくると
チーちゃんがニパちゃんを抱きかかえるように覆いかぶさっていた。
「とにかくニパちゃん守らなきゃと思って…」
チーちゃんはまた泣き出した。

震度は4、さっきの地震と同じように
揺れは長く続いた。

嫁さんは窓を開けて退路の確保。

揺れが治まっても
チーちゃんはニパちゃんの上から動こうとしない。
「もう大丈夫かなぁ?」

僕は大丈夫だと言って
チーちゃんを抱きしめた。
責任感でいっぱいの細くて小さな肩が震えていた。

ぎゅっと力いっぱい抱きしめ
「大丈夫だよ。ありがとう」と何度も繰り返し
溢れそうになる涙をこらえながら
チーちゃんの頭を何度も何度も撫でた。

尾道の友人からメールが届いた。
「こちらは大丈夫だよ」と返信を終えると
また涙がこみあげてきた。

ゆ…揺れたぁ…(怖)

2004年09月05日 | 家族
いやはや思い出しちゃったよ…
さきほど近畿地方で起こった地震は
僕の住んでいる地域は震度4。

最初ガクンときたと思うとガタガタと家具や引き戸のガラスが鳴いた。
しばらくゆるやかな揺れが続き治まったかと思った瞬間
やや大きめの揺れが再び襲う。
部屋の真ん中でニパちゃんとチーちゃんに覆いかぶさるようにしながら
周囲を見渡し危険な場所でない事を確認。
嫁さんは玄関のドアを開け逃げ道を確保していた。

こういうときはやっぱり女性が強い(笑)
僕は恐怖で動けなくてニパちゃんとチーちゃんを引き寄せるのが精一杯だった。

都合1分近く続いただろうか
ようやく窓ガラスも食器棚も鳴くのを止めた。

幸い何事もなかったけれど
心臓はドキドキしてチーちゃんはわんわん泣いた。

10年前のあの日
チーちゃんはまだ嫁さんのお腹の中にいて
今までに経験した事ない揺れに
嫁さんに覆いかぶさり片手でテレビを押さえるのが精一杯だった。

怖かった。
本当に怖かった。

高原へ行きましょう ~3~

2004年08月28日 | 家族
湖の上の人口密度はまだ高いままでボートは全部出払っていた。

チケットを買おうと販売機に並び順番が来たところで
財布を開くと中には1万円札が1枚しかなかった。
20分1000円のスワンボートのチケット代には十分なのだけれど
その販売機には1万円を受け付ける資格がなかった。
まるで1万円札に過剰反応するファストフードのアルバイトみたいだ(笑)

仕方がないので一度列を離れてロッジで両替してもらうために
坂道を上りかけると父がこちらに向かって歩いてきた。
まさに助け舟(笑)

父から1000円を奪うと急いでお釣りの出ない販売機に向かった。
ようやくチケットを買ってボート乗り場に向かう。
チーちゃんの提案で父も一緒にボートに乗ることになった。
昔あれほど怖かった父もいまや孫の言いなりである(笑)

まだボートは全て湖面に浮かんでいたが
乗り場に並ぶと5分ほどで順番が回ってきた。

3人乗りの大きな白鳥は奥から漕ぎ手、舵取り、漕ぎ手という作りになっている
僕と父が漕ぐんだろうと思っていたら
真っ先にチーちゃんが乗り込み奥のペダルに足をかけていた(笑)
僕がその後に続いたので舵取り役になり
もう62になる父が漕ぎ手2の座を射止めた(笑)

スワンボートの推進力は恐ろしく弱い。
9歳のチーちゃんと還暦越えた父が必死になってペダルを踏むが
勢いがいいのはバタバタと水をかく音だけで
スワンは本物同様優雅にゆっくりとしか湖面を進まない。

大きな八の字を描くように進路を取る。
バタバタハァハァと中の人とは正反対にスワンはゆっくり進む。

さっきまで僕とニパちゃんがいた石を見つけた。
そこには熟年のカップルが腰を下ろし
水筒のお茶を飲みながら湖面を眺めていた。
「チーちゃん、手を振ってみたら?」僕が耳打ちする。
「うん!」ペダルを漕ぎハァハァ言いながらチーちゃんが岸に向かって手を振る
その石にいた熟年カップルが気づいて手を振り返してくれた。

あの時の僕らはボートからこんな風に見えていたんだ。
漕ぐのに必死なのに手を振ってくれていたんだ(笑)

対岸に嫁さんの姿を発見した。
僕は取り舵いっぱいに切り嫁さんの方向にスワンの首を向けると
左右のエンジンに向かってこう言った
「全速前進!」
「アイアイサー!」
二人同時にこの返事…
まったくノリのいい祖父と孫である(爆)

スピードを緩め嫁さんに何枚か写真を撮ってもらって
僕らは再び航海に出ようとしたのだがそこで時間切れ。
そのまま港に帰ることになった。

スワンから下りるとチーちゃんは嫁さんに向かって走っていった
興奮気味にスワンの感想をまくし立ているようだ。
嫁さんの苦笑いの表情と生返事がチーちゃんの興奮度を物語っていた(爆)

再びロッジへの坂道を上る。
やや坂道が辛そうな
ペダルを漕ぎ続けた還暦すぎたエンジンの背後に回り背中を押す(笑)
あの大きかった背中が僕の両手に納まってしまいそうだった。
「コラ!年寄り扱いするな」と笑う父の背中からそっと手を離した。

まだ陽は高かったが
遅くなって渋滞に巻き込まれたくなかったのと
今夜は弟家族が来ることになっていたので
早めに高原を後にすることにした。
チーちゃんは名残惜しそうだったけれど…

熱がこもりきった車の窓を全開しすると
高原の風が一気に熱気を奪っていった。

駐車場を出てしばらく走ると車内が静まり返っていることに気づいた。
チャイルドシートのニパちゃんもその隣のチーちゃんも
助手席の嫁さんまでもが眠っていた(笑)

来た時とは別の道の途中の峠にある展望台で休憩をする。
手前の緑の山々が幾層にも重なって奥行きを演出し
もっと遠くにある赤石の青い山並みの高さを際立たせる。
「あぁ、僕はここで育ったんだ」
思いもかけず帰省したことをあらためて実感させられた
その風景の前に寝起きでちょっと機嫌の悪いチーちゃんを立たせて写真に収めた。

窓を全開にして峠を下っていると民家が増えてきた。
高原の空気を持って帰ろうと窓を閉めた。

車は村役場の上を抜けて実家に向けアクセルを少し余分に踏んだ。




高原へ行きましょう ~2~

2004年08月28日 | 家族
しっずかなこっはんのもっりのかげっから
         しっずかなこっはんのもっりのかげっから
                   しっずかなこっはんのもっりのかげっから

まるでそんな輪唱が聞こえてきそうな湖のほとりに僕は立っていた。

みんなの乗ったリフトが見分けがつかなくなるまで見送って
僕はベビーカーにニパちゃんを乗せて歩き出した。
水のほとりなら涼しくて木陰もあるだろうと
坂を下って湖に向かった。

湖というよりは池に近いかもしれないその湖を
歩いて15分ほどで一周ぐるっと回る散策路があったはずなのだ。

この高原には中学のキャンプ行事で来たことがある。
中一だった僕らは家を離れて友達と一夜を過ごす事に異様に興奮していたし
班ごとにテントで寝ることも楽しみでしかたがなかった。

カレーを作って食べ、夜は肝だめしに花火。
興奮でいつまで経っても眠れなくて
テントを抜け出して焚き火の残り火の回りで友達とずっとしゃべっていたっけ。

そんなことを思い出しながら
陽射しのさけられる湖の向こう側へ行こうとベビーカーを押す。

ボート乗り場は親子やカップルが並んでいて大賑わいの様子。
足こぎ式のスワンボートが何艘も湖面をバタバタと進んでいる。

右手に石垣が見えた。
車の走る道路が一段上にある。

ここは肝だめしの要所だったんだっけ。
こんなに明るいと怖くも何ともないが
当時理科の教師だった隣のクラスの担任がその石垣に腰掛け
僕らが散策路を通過すると
石垣の上から僕らの頭を超えて「ドボン!」と石を湖に投げ込むのだ。
僕らはみな悲鳴を上げてそこを走り抜けたのだった。

その石垣も苔むして足元は雑草に覆われていた。
ニヤニヤする僕をニパちゃんが不思議そうに見上げた。

にぎやかなボート乗り場の反対側に回りこむと
今まで強い陽射しにさらされていた散策路は急に表情を変える。
山側はうっそうとした林になっていて散策路に黒い日陰を作っている。

その木陰のトンネルに進むとすっと額の汗がひくように感じた。
ビニールシートを広げてくつろぐ家族連れを横目に
腰を下ろして休憩できる場所を探す。
湖側に少し突き出した場所にころあいのいい石を見つけ
その脇にベビーカーを停めた。

ベビーカーからニパちゃんを引きずり出すと
よっぽど嬉しかったのか「あぅ~あぅ~」とご機嫌の様子。
お茶をあげるとチュウチュウコクコクとよく飲む
す…すまん…そんなにのど乾いてたんか(爆)

石の上に腰を下ろし湖を眺める。
湖面は相変わらずスワン達でにぎわっている。
ニパちゃんを抱っこして覚えたばかりのバイバイをさせる。

ちょこまかと手を振るニパちゃんに気づいた
スワンボートのカップルが手を振り返してくれる。
その向こうの家族連れのスワンもこちらに寄ってきて手を振ってくれる。
ニパちゃんご満悦♪

もうどれくらいそこにいただろうか
今が何時なのか忘れてしまうくらいにのんびりと
ときおり二パちゃんと一方的な会話をしながら
ただただぼんやり湖を眺めていた。

木立の間を抜けてくる日陰の風で時計が再び動き出した。
涼しいのを通り越して寒さを感じるほどになっていたので
すっかり重くなった腰を上げる事にした。
ニパちゃんは再びベビーカーに縛り付けられ
ちょっぴり不機嫌そうな顔をしたような気がした。

木立を抜け元のボート乗り場側に向かう
再び日なたに出るとまだ夏と主張するような陽光が背中を射した。
首と背中に懐かしい熱をいっぱいにうけてゆっくり歩いた。

「ロッジの2階に休憩するとこがあったに」母の言葉を思い出し
湖を一周し終えると元来た坂道を上ってロッジを目指した。

甘い「五平餅」や「焼きとうもろこし」の匂いが漂うロッジ横の売店は
やたらと人でごったがえしている。
ロッジ2階の休憩室には
冬はゲレンデになる芝生の丘の途中にある連絡通路から入るようで
ロッジ横の売店を通り過ぎてそこまで上らねばならない。
「五平餅」の匂いに後ろ髪を引かれながらもえっちらおっちらベビーカーを押す。

芝生の上をゴロゴロと転がる少年や
カッコイイ犬がフリスビーをジャンピングキャッチしているのを横目に
連絡通路を通って休憩室に入った。

休憩室の存在を知らない人が多いのか
売店の喧騒が嘘のようにひんやりと静まり返って人影もまばらだった。
椅子とテーブルを1セット確保してリフト組の帰りを待つ事にした。
ニパちゃんは再びベビーカーから解放されてホッとしているようだ(笑)

お茶を飲んで一息ついていると嫁さんからメール
「今から下りるよ」
休憩室を出てロッジ2階のベランダに出て待っていると
リフト組みご一行様がこちらに向かってくるのが見えた。
手を振り大声で走ってくるチーちゃんの姿を見つけると
ニパちゃんは抱いている僕の手を振りほどきそうな勢いで前のめりになった(笑)

家族再会の感動の余韻を楽しむ間もなく(笑)
チーちゃんは「パパ!ボートに乗ろうよ!」と誘ってきた。
また湖かい!と思ったが口には出さず
「よっしゃ!行くか!」と引きつった笑顔で答えた(爆)

チーちゃんの手を引いて僕は再び湖への坂道を下った。


つづく


高原へ行きましょう ~1~

2004年08月24日 | 家族
8月13日 帰省2日目

ドタバタと廊下を行き交う足音で目が覚めた。

前夜の焼肉とビールが胃と頭に残っている。
文字にならない声をあげながら時計を見る
時刻は午前8時をすこしまわったところだった。

もう少し寝ようと毛布をかぶろうとすると
部屋の襖が開け放たれ
まぶしい朝の光を背にチーちゃんが入ってきた
「パパ!起きや!」

のっそりと起き上がって台所に行く。
嫁さんとは違う懐かしい味噌汁の匂いが鼻腔をくすぐる。
前夜の残り物や食べかけのたらこやが広がるテーブルにつくと
不思議と食欲が湧いてくる。
ご飯2杯をペロリとたいらげた(笑)

嫁さんと母は出かける準備にとりかかっていた。
僕は父に聞く「今日はどこ行くん?」
「どこ行こうかなぁ」まだ決めてないんかい(笑)

とりあえず僕は父の車の後をついて行くだけ。
父と母2人、僕ら家族4人それぞれの車に乗って出発。
いつものことだが思った以上に準備に時間がかかった
車が動き出したのは太陽が真上にさしかかろうという時刻だった。

エアコンより窓を開けて走る方が心地よい。
村役場を下に見ながら車は愛知県方面に向かう。
高校時代、バイクで走った峠道を上り
冬はスキーヤーでにぎわう緑のゲレンデを左手に過ごすと車は峠を下る。
その道はかつて中嶋悟が深夜走りこんだ道
当時は狭くて舗装も悪かった道
今は車線も広がり快適に走ることができる。
道の駅もできている。

もう18年も経つんだ。
過疎の村だからといって
いつまでも都会に出た者の郷愁のために存在してはいられない。

父の車は途中旧道に入り小さな沢に沿って山道を上っていく
僕は今まで来たことのない道だった。
「どこに行くんだろう?」そう思っていると
父は車を道路わきに停めた。

車を降りてきた父が言う
「ごめん、道間違えた(笑)」
後部座席で眠っていたチーちゃんも一緒になって車内は笑いに包まれた。
ニパちゃんだけが状況を掴めないままちょこんとチャイルドシートに座っていた。

せっかくなので下りて休憩することにした。
僕らの車以外にワンボックスカーが停まっていた
沢に下りてみると
先客がちょっと広くなって流れが緩やかな部分で川遊びをしていた。

海パン一丁のお父さんがビデオカメラを構えている。
その先にはチーちゃんと同じくらいの年ごろの兄弟が
盛んに水しぶきをあげていた。

キラキラ光る水滴と木々の緑がまぶしい。
先客の邪魔をしないように車に戻って来た道をひきかえした。

今度は間違えないよう慎重に交差点を曲がる。
後は山の一本道。
右に左に何度もカーブを重ねて少しづつ高度を上げて行く。
山はどんどん深くなりアスファルトに木陰が作るコントラストも
次第に黒い部分が多くなる。
窓から吹き込む風がひんやりと湿り気を帯びている。

再び寝ていたチーちゃんが目を覚ます。
「ねぇ、まだぁ?」お得意の質問攻撃が出てきた頃
一つ大きなカーブを抜けると一気に視界が広がった。

青い空と緑の山肌のコントラストに思わず目を細める。
「わぁ~」嫁さんとチーちゃんが同時に声をあげた。
ニパちゃんは相変わらずちょこんと座っている(笑)

やや平坦になった道はゆるいカーブを描いている
愛車のインプワゴンも一息ついた感じ。
山肌を一つ越えるごとにだんだんと高原が近づいてくる。



駐車場の近くまでくると人の気配が高くなってくる。
すると頭上にリフトが現れた。
道路をまたいで高原の更に上まで人を運ぶ。
高所恐怖症の僕は思わず「ひぇ~っ」と声をあげた(笑)
再び車内は大きな笑いに包まれた。

さすがにお昼すぎの駐車場はほぼ満車状態。
何とかスペースを見つけて車を停めた。
トランクから荷物を降ろしてニパちゃんはベビーカーに
かなりの人数でごったがえすロッジの隣にはレストランがある
並ぶの覚悟で昼食を取りに入ると以外にも空席が多い。
カレーライス3つとうどん2つを注文。
ニパちゃんにはうどんを細かく切って食べさせた。

外は相変わらずの快晴で
ちょっと歩くと汗はかくものの吹き抜ける風ですぐに乾く。
まずはリフトで山頂に行く事になった。

僕はニパちゃんと二人で下に残る事にした。
リフト乗り場の下まで歩いて行く途中でチーちゃんが言う
「パパ、怖いから下におるって言うんちゃうん?」
…ギク!(爆)
「ち、ち、違うよ~。ホラ、ニパちゃんおるしベビーカーも荷物もあるし(汗)」
「えー?だってさっき来る途中でリフト見て悲鳴あげてたやん!」
その場にいた全員で大爆笑。
勝ち誇ったようなチーちゃんの顔が
少し秋色の太陽に反射して憎らしいほどまぶしかった(笑)

僕はニパちゃんを抱いたまま目を細めてリフトで上っていく一行を見上げた。

つづく

帰省した夜の決まりごと

2004年08月19日 | 家族
「早く寝なきゃなぁ…」
トロトロとA6の用紙を飲み込み
体を左右に揺さぶって物語を綴って吐き出す。
ンガッ、ガー、カシャン、ガガッ、ガッ、ガッ…

日付は8月11日から12日に変わろうとしている。
「BLOG FRIENDS #1」の印刷作業は深夜まで続いた。
気づいたらアテネ五輪の女子サッカー予選 日本-スウェーデン戦が始まっていた。

なでしこジャパンの劇的な勝利と同時に
予定より1部少ない部数を刷り上げ
そのA6用紙を旅行鞄に詰め込んだ。

睡眠時間は2時間ほど取れただろうか
午前4時すぎに何とか布団を抜け出して
無理やり歯を磨き顔を洗った。

嫁さんはもう化粧を済ませていて
荷物の最後のチェックをしていた。
旅行鞄が3つ、お土産の紙袋が2つ
嫁さんの実家から預かったお中元は「エビスビール」♪

全てを車に詰め込んで
最後にニパちゃんをチャイルドシートにくくりつけて(笑)
出発したのは午前5時だった。

いつもより遅く出たからなのか
西名阪も名阪国道もペースが上がらない。
夏休みの一般車も多く
不意の動きに気を使いながらのアクセルワークにストレスが溜まる。

ニパちゃんはずっと眠っていてくれるのがせめてもの救い(笑)

鈴鹿を過ぎて東名阪に入るとますます車が増えている。
やっとの思いで高速を下りて国道19号に。
こちらは打って変わって快適なドライブ。
途中でUターンして対向車線側のデニーズで朝食。

嫁さんは雑炊を、僕はスクランブルエッグとトーストを
それぞれ少しづつニパちゃんに食べさせる。
よく寝たからなのかニパちゃんの食欲は旺盛で
満腹になると周囲のテーブルにもほどよく愛想を振りまく(笑)

一杯だけお代わりしたコーヒーを飲み終えて
再び車中の人となる。
いやに静かだと思ったらチーちゃんがいなかったから。
今頃田舎でクビを長くして待っているに違いない(笑)

19号から東名乗り再び高速ドライブ。
小牧JCから中央道へ
山が深くなるとなんとなく落ち着く(笑)
山間を縫うように走るその道路は
走行車線と追い越し車線の速度差が激しい。
細心の注意を払いながら前の車をクリアしていく。

嫁さんの携帯が鳴った。
チーちゃんからのメールだった
「いまどこ?」
やはり待ちきれないらしい(笑)

中央道にしては珍しく2箇所ほど渋滞があった。
田舎が近くなって気が緩んだのか眠気が襲ってくる。
このままトンネルに入るのは怖いので(笑)
PAで休憩。
嫁さんは気を利かせてコーヒーとガムを買ってきてくれた。
その間にもチーちゃんからのメールは頻繁に入ってくる
「あとどれくらい?」
「もうすぐつく?」
「いまどこにおるん?」
5分おきにそんなこと聞かれてもねぇ(笑)

休憩後は一気に実家まで。
到着は10時前、休憩や朝食の時間はあるものの5時間もかかってしまった。
いつも午前4時に家を出れば7時半には着く。
スタートが1時間遅れるとこんなにもしんどいものなのか…

ヘトヘトになって実家に到着。
チーちゃんは家の前で待っていた。
荷物を運び込む、鞄に土産にエビスビール(笑)

母も待ちくたびれたように出迎えてくれた。
湿気の多いちょっとカビくさいような実家のニオイ。
アホ犬ヒロもちぎれんばかりに尻尾を振って
「はじめまして」のニパちゃんを歓迎してくれている。

お茶と漬物で一服したあと横になると
そのまま眠ってしまった。

目覚めたのは午後2時。
母は用があるらしく出かけていて
実家には僕ら家族だけが残っていた。
チーちゃんはニパちゃんと並んでお昼寝している。
開け放った窓から入り込む夏の風が涼しい。

そこで僕は思い出した!
「やば!ちょっとセブンイレブン行ってくるわ」
二瓶さんに印刷したブツを送らねばならないのだった。
慌てて車に乗り込みコンビニに向かった(笑)

夕方になると熱を持った空気はすっかりその勢いを失い
涼しく心地よい風が辺りを支配している。

帰省した日には決まりごとがある。
一つは温泉に行く事。
もう一つは焼肉をする事(笑)

父が仕事から帰るまでに温泉を済ませる事にした。
車で5分、露天風呂や洞窟風呂のある温泉施設には池があって鯉が泳いでいる。
風呂から出た僕とチーちゃんはその鯉にエサをあげる。
ものすごい勢いでエサに向かってくる
上から見るとちょっと卑猥な鯉の口が十数個もパクパクとうごめく
うろこが擦れる音がする。
「パパ…気持ち悪いね」
「う…うん」
残ったエサを遠くに投げて早々に温泉を後にした(笑)

カビくさい(笑)実家に戻ると父も帰宅しており
焼肉の準備も万端だった。

まずは乾杯。
エビスはまだ冷えてなかったので発泡酒で(笑)

僕は待ちきれなくて肉の山に手をつける。

何故そんなに焼肉にこだわるのかって?
僕の生まれ育った地域では焼肉といえばマトン。
そう、牛さんではなく羊さんのお肉が当たり前なのだ。

小さい頃から食べなれたマトンの焼肉の味は
どんなに高い牛のカルビやロースもかなわないのだ。
流石に大阪育ちの嫁さんはニオイがダメみたいだけれど
僕にしてみればあのニオイがたまらなく美味しい。

ラムはやわらかくてニオイも少ないから少しは食べられるようだが
僕はマトンの方が好き。
それも生マトンじゃなくて冷凍のロールマトン!(笑)
それを唐辛子味噌と醤油で食べる。
あぁ~たまらない。

幸せで、懐かしくて、あたたかい味。

僕はひざにニパちゃん抱えて父と酒を酌み交わし
母と嫁さんとチーちゃんは女同士で盛り上がる。
ジュウジュウと肉の焼ける音とニオイに包まれて
家族6人の笑い声はだんだんと大きくなっていった。

しかしその幸せそうな家族に困った問題が一つだけ。
ニパちゃんはおじいちゃんとおばあちゃんに抱かれると泣くのだ…(苦笑)
泣きじゃくるニパちゃんをちょっと寂しそうに僕に返す父の髪は去年よりちょっと白さを増していた。

ただいま~

2004年08月16日 | 家族
その高原には湖を周回する散歩道があって
ロッジやキャンプ場や貸しボートのあるにぎやかな岸から
ぐるりと半周ほど歩くと森の中のようで
自然の作るトンネルは汗ばんだ肌に心地よく
湖の静かな側のほとりの木陰にある大きな石は
昼の2時だというのにひんやりとしていて
湖からロッジに向かう小道の脇のススキと一緒に
吹き抜ける風に秋の匂いを与えていた。

と、そんな避暑地気分満載で帰ってきたのですけれども
その間にも世間はいろいろ動いていて
こちらこちらこちらなんかは大変な事になってたようですし(笑)

野球界ではこんなことがあったり、
それでも我がドラゴンズはこんな感じでがっちり首位固めだったり、
実家は中日新聞だったのにちゃんと見てなかったり(笑)

五輪も開幕してたりして
こんな素敵な開会式見逃したり…
それでもサッカーだけはと
両親に顰蹙買いながらも夜中にパラグアイ戦見て凹み…
昨日の朝大阪に戻ってからもちゃんと野球から柔道、水泳など見て
卓球の愛ちゃんの対戦相手だったミャオミャオちゃんに捕まり
アナウンサーが冷静に「ミャオミャオ」を連呼するのが妙にツボで
すっかりミャオミャオちゃん萌えだったりしながら

「おっとすっかり忘れてたぜ!今夜はF1ハンガロリンク」とチャンネル変えたら
何と琢磨予選3番手!
でも優勝はカバリーノ・ランパンテ!
1-2フィニッシュでコンストラクターズ決めちゃったりして
面白いのに跳ね馬独走の今シーズン。

明日は仕事だから寝なきゃ…と思いつつも
やっぱり見ずにいられなかった五輪男子サッカー予選。
日本-イタリア戦。
睡眠時間2時間覚悟の甲斐なく敗戦。
もうね、自分で記事書く気力もないから
こちらこちらこちらこちらにお邪魔したりして
コメント残したりなんかしたんですが
良く見たらそのコメントの量で十分自分の記事かけるんじゃないかと…
高原の湖面と風を思い出しながら
眠い目擦り事務所で睡魔と闘う2児の父。

夏バテと寝不足でヘロヘロになっていても
8月はようやく折り返したばかり。
残暑はまだまだこれからなのだった。