jump in the box

この小さな箱の中で飛んだり跳ねたりしてみます(笑)

半世紀の呪縛

2006年10月27日 | 野球
「52年の壁に跳ね返された」
落合監督の敗戦の弁だが
この言葉が全てだっただろう。

2年前は力不足だと思った。
完敗だったと実感できた。
だが、今回は負けた気がしないのに終わっていた。

悲願の日本一もこのチームなら勝てる。
ファンも選手もそう信じていたはずだった。
いつもどおりにやろうとして
チーム全体が動けなくなっていた。

一方ファイターズはムードを持っていた。
いや、持っていたと言うより作られた感が強い。

新庄最後の年、北海道で初のシリーズ
確かにストーリーは面白いが
必要以上にマスコミがそれを煽った。
シーズン中から落合監督はマスコミを遠ざけた。
選手の情報、チームの情報を徹底して管理した。
全ては勝負のため、悲願の日本一を勝ち取るためだった。

自分達に無愛想な監督とスター性たっぷりのエンターテイナー
マスコミがどちらを押すかはあきらかだ。

1勝1敗で札幌に舞台を移すと
中継もスポーツニュースもワイドショウも
日本中が北海道を新庄を応援していますと持ち上げた。
派手で感動を呼ぶサクセスストーリー
漫画の様な結末。

ファイターズは素晴らしいチームだ。
新庄も最高のエンターテイナーであるし
稲葉も小笠原もダルビッシュも八木も素晴らしい選手だ。
日本一に値するチームであるのは間違いない。

ドラゴンズもチームの実力では負けていないはず。
だからこそこんなにも悔しいのだ。
2年前には感じなかった悔しさと脱力感。
一体その差はどこにあったのだろう?

マスコミを中心に一気に持っていかれたムード
そして何よりも半世紀という大きなプレッシャーに
選手も監督もそして僕らファンまでもが
ガチガチに縛られてしまったのではないだろうか?

見ている側が辛くなるほど
痺れるゲームを見せてくれた両チームに感謝。
ファイターズ優勝おめでとう!
そして
新庄選手、アンタはホンモノのエンターテイナーだったよ!

一夜明けて
こうして僕もムードに乗せられている(笑)

センス オブ ディフェンス

2006年10月11日 | 野球
明確な方針が選手個々の力を最大限に発揮させた。
中日ドラゴンズの優勝はそれに尽きる。

「投手を中心とした守りの野球」
「高校野球のような野球」
「1点を奪い取り勝つための野球」

シーズン中テレビのインタビューで落合監督はこんな事を語っていた。
「チームのために野球をするな。自分のために野球をやれと言っている。」
「選手の才能、役割を最大限発揮できるようにするのが監督の仕事」

ドラゴンズの各選手がチームプレーに徹していたのは
誰の指示でもなく、自らができる事をやったその結果なのだ。

正直タイガースの追い上げは驚異だったけれど
1度も「タイガース負けろ」と思った事はない。
それはこのチームが勝つ事を知っているチームであり
打線、投手に波はあっても堅実な守備と犠打、走塁にスランプは無いからだ。
一つ先の塁を狙うプレー、一つ先の塁を許さない守備
これが徹底している以上は大きな連敗は考えにくかったからだ。

1位、2位共に80勝以上という非常にハイレベルで厳しい優勝争いで
苦しくとも揺らぐ事の無かった信念は
練習に裏打ちされたそういう一つ一つのプレーにあったに他ならない。

勝利のためには冷酷とも思える采配を振るった落合監督。
だがシーズン中一度も選手の事を責める発言をしなかった。
選手は自分のために自分のできる精一杯のプレーをしろ
その場を与え、勝敗の責任は全て監督が負う。
明確なメッセージは語らずとも選手にはわかっていたに違いない。

新庄剛志からの挑戦状

2006年04月19日 | 野球
いやぁ、ビックリしました(笑)
いかにも新庄らしいパフォーマンスに拍手喝采です。
マスコミは相変わらずセンセーショナルに取り上げ
まんまと新庄の術中にハマっている。

僕はこの時期の引退発表は「新庄からの挑戦状」だと思った。

もちろん故障や年齢など自分のプレーに納得できなくなったというのは引退の理由なのだろうし
ボロボロになる前に自分の意思で引退するというのも彼の流儀なのだろう。
しかし、それだけなら何もこの時期に発表する必要はない。
目立ちたいから?もちろんそれもあるだろうが
本当の狙いは別のところにあるような気がしてならない。

新庄は気使いの人だ。
昨夜のインタビューでも答えているが
球団は多少調子が悪くても人気選手である新庄を使う。
何故ならそれだけの集客力があるからだ。
そうなるとどうしても次に続く若手選手の出番は少なくなる。
もちろん自分の成績が良ければ何も気にすることは無いのだろうが。

この時期の引退宣言はそんな若手選手への挑戦状ではないだろうか?
あと1年しかない、早くここまで上がって来いというメッセージなのではないだろうか?
レギュラーを奪う、スターになるチャンスだと。

そしてもう一つ
ファンに対する挑戦状でもあると思うのだ。
インタビューでもユニフォーム姿は今シーズン限りだから球場に見に来いと言っている。
新庄が日ハムに入団した瞬間から彼はパ・リーグの顔となり
広告塔となることで明らかにマスコミへの露出が増えた。
日ハムやパ・リーグ全体が得た利益はどれほどのものだったろう。
今年WBCの追い風もあり野球人気、パ・リーグ人気が上昇しているのは間違いない。
一過性で終わらせるな、もっと球場へ足を運べ。
そう言っているのではないだろうか。

彼の自分自身への挑戦状という一面もあるだろう。
例えば
これがシーズンオフであったり
シーズン後半の発表であったなら
話題性も若手やファンへのアピールも一過性のもので終わってしまうだろう。
もちろんこの時期に発表したからには
話題を持続させるだけのパフォーマンスが必要になる。
それはエンターテイナーとしてのものだけでなく
プロ野球選手としての成績も残さなければならない。
こうして彼は自分を追い込んだのではないだろうか?

もちろん
これは僕の勝手な推測だし
本当のところは新庄自身にしかわからないのだけれど
ファンやチームメイトや球団やリーグや野球界全体を考えて
彼だからこそ出来るアピール方法として
この時期の引退発表を選択したのではないかと思うのだ。

一方で
少し違った意味で期待してしまう部分もある。
楽天野村監督の気味悪いほどベタ誉めのコメント…
シーズン終了後
「急転直下!新庄楽天入り!」
てなことにならないかと密かに期待してしまうのも
新庄が新庄たる所以なのだ(笑)

素直になれなくて

2004年10月25日 | 野球
残念ながら
ドラゴンズは日本一を逃しました。

戦いが終わればノーサイド
本来ならライオンズの選手やファンに祝福と拍手を送るのだが

コテンパンにやられたり
あきらかに実力差があったなら
素直に「おめでとう」と言えるのだろうけど
どうも負けた気がしないから
悔しくて悔しくて仕方がないのだ(笑)

確かに松坂や和田、カブレラなど素晴らしい選手もいるし
彼らに圧倒されたのは仕方ない、素直に負けを認めるし
心からの祝福を送ろう。

それでも納得いかないのは
ドラゴンズの普段どおりの野球が負けたことなのかもしれない。
それはあきらかにミスもあってのことだから
仕方ないことなんだけどね。

今日の負け方もドラゴンズらしい負け方だったのかもしれない。
そういう意味では普段どおりの野球で負けたってことなんだろうな。

これをバネにぜひドラゴンズにはセリーグを連覇してもらいたい。
そしてライオンズも日本シリーズ出場を勝ち取ってほしい。
来年の日本シリーズも同じカードでリベンジしたい。

本当に悔しい。

敗戦は帰宅中のカーラジオで聞いた。
伊東監督の泣かせるインタビューもあったが
その前からフロントグラスは涙で滲んだ。

駐車場に車を止め
ライトを消して少し泣いた。

4番打者はエンタテイナー

2004年10月21日 | 野球
彼の活躍についてはワールドシリーズで書こうと思っていたのですが
残念ながらそれはかなわなかった。

アメリカの象徴でもあるメジャーで
そのメジャーリーグを代表するNYヤンキースの堂々たる4番打者。

イチローが職人ならば松井は最高のエンタテイナー
野茂や中田もそうだが海外で活躍する日本人スポーツ選手は
どちらかというと職人肌タイプが多かった。
寡黙でストイックで道を極める事に関して決して妥協を許さないタイプ。

もちろん松井だってストイックに道を極める男なのだろうが
それ以上に彼には楽しませる素質がある。
新庄は最高のエンタテイナーではあるがヤンキースで4番を張る器ではない。
もっと他に役割があるからね(笑)

日本にもようやくスポーツをエンタテインメントに高められる選手が出てきたように思う。
水泳の北島なんかもそういうタイプだろう。

職人もエンタテイナーもどちらも同じように
僕らを興奮と快楽の泉に導いてくれる。
あぁ、もうどれだけ僕らに泉の水を飲ませてくれるのだろう!

今年は残念だったけれど
これで来季は最初から4番松井だぜ!

※松井ってマンガが似合うと思ってこんな絵にしてみました(笑)
 いかがですか?


普段通り

2004年10月18日 | 野球
日本シリーズ第2戦
11-6でドラゴンズが一矢を報い1勝1敗となった。

「普段通りの野球をすれば勝てる」と言う落合監督。
初戦はシリーズ独特の雰囲気や試合から離れていたこともあってか
守り勝ちしてきたチームにはあり得ないエラーが出たりした。
しかし、シーズン中でもエース川上で星を落とした事は何度もあるし
ライオンズの強力打線を失点を2で抑えたわけだし
もともと打てないチームなのだから2安打完封だってまったくありうる話で
そういう意味では初戦も2戦目もドラゴンズらしいゲームだったのではなかろうか。

ライオンズは松坂で2連勝といきたかったのだろうが
またしても松坂は日本シリーズで勝てなかった。
松坂に勝ち星をつけたかったのならばやはり初戦に行くべきではなかったか?

お互いエースが負けて1勝1敗の5分という見方があるがどうだろうか?
豊富で信頼できるリリーフ陣を抱えるドラゴンズにとって
先発はゲームさえ作ればいいのであって終盤の粘りとリリーフ陣で勝ちを拾う事ができる。
対してライオンズにおける松坂はまさに大黒柱であり
松坂でゲームを落とす事はチームの士気にも関わるのではないか?

…なんて言ってみましたが
単に個人的に川上VS松坂の投げ合いが見たかっただけなんですけどね(笑)


いよいよです。

2004年10月16日 | 野球
ここで4つ勝たねば今までやってきた意味がありません。
というような覚悟でですね応援したいわけです。

何たって50年ぶりですからね。
相手はここに来て話題沸騰のライオンズ(笑)
やりにくいですねぇ…

しかし

今季自分達がしてきた事をそのままやれば
間違いなく日本一の栄冠はドラゴンズに輝くはず。

はぁ
ドキドキしてきたなぁ

ガンバレドラゴンズ!

イチロー選手と落合監督

2004年10月04日 | 野球
「1点相手より多く取って守って勝つ」
そんな野球がつまらないと本気で思うなら野球を見るのをやめた方がいいかもしれない。

ホームラン連発で華々しく勝つ野球は見ていて爽快だが
1点差を守りきる野球のスリリングな魅力も捨てがたい。

1点リードで迎えた終盤、
ランナーを背負った状態で対するはホームランバッター
マウンドの若手投手に監督が一声かける。

勝負だ。

若い投手の投じる一球に
待ち構える強打者に
全身守備の内野陣が
今にも走り出さんとする外野陣が
ベンチに座る選手や監督が
ざわつくでもない静まり返るでもないスタンドが
しびれるような時間を共有する。

「地味な野球」「つまらない野球」「古い野球」
オレ竜監督の言葉を捕らえて新聞は一斉に落合監督論を報じる。
シーズン前まったく蚊帳の外だったその手腕を褒め称える。


「262本のうち59本が内野安打」
それはヒットの記録じゃないと本気でそう思うなら
やっぱり野球を見るのをやめた方がいいかもしれない。

90フィート(27.43m)は絶妙な距離だと言わねばならない。
カキンと乾いた音がすると同時に走者に変貌した打者は猛然と1塁に向かって走り出す。
白いボールはグラウンドを跳ね回り飛び込んでくる内野手のグラブに収まると
一瞬のうちに取り出され振り回されビュンと1塁に向かって弾丸のように放たれる。
足を目いっぱい伸ばしボールを迎えに行く一塁手
ボールと競うように無心に1塁を駆け抜けんとする走者。

早いのはどっちだ!

幾度となくそれこそ星の数ほど繰り返されたプレイ。
イチローはその白いボールとの競争にあっさり勝ってしまう。
内野ゴロなのにアウトに出来ない!
塁間は90フィートでいいのか?
イチローの内野安打を封じ込めたいなら
野球の歴史を変えなくちゃならない。

マスコミに何と煽られようと
わがままだ生意気だと言われようと
自分の道を貫いてきた落合監督とイチロー選手。

新記録達成の夜、イチローはこう語った
「原点にあるのは、野球が好きだということ。」
落合監督は今季を振り返って
「監督って楽しい。だって選手のすごいプレーを間近で見られるんだぜ。」と言った。

なんだ、一皮むけば僕らと同じ
落合博満と鈴木一朗というただの野球好きだったんだ。
そしてそれは松井選手も野茂投手も古田選手も新庄選手もみんなただの野球好きに違いない。

だから僕らは応援したくなるんだ。