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シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

オペラハウスを支えるのは

2013年11月14日 | 音楽界よもやま話
07年9月19日シャンテサラ2投稿分__

メトについて、最後に数字の話しを紹介します。
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ジョゼフ・ヴォルピー著「史上最強のオペラ The Toughest Show on Earth」から … メトの06年度会計予算は $211 Million で、その額は全米の歌劇場の経費の三割を占める。 メトの最大経費は1シーズン33週の上演費用で $143 M、その他ツアー コンサート 公園サマーコンサート 放送 などがある。

それを賄う興行収入は経費の 46% だけで、他は (企業などから?) 寄付金 $18M 自治体からの援助 $37.5M (経費の 1% 以下) 個人寄付が $80M ある。 105人の理事会のうち、37人が常務取締役で年間最低 $250K の寄付が義務というから、理事は報酬を受け取るのではなく、カネを注ぐのが仕事のようなものです。 早くいうと名誉職かも。

メトのサブスクライバー (定期購買者) は、現在全チケット購入者の半分を切っている。 チケットの平均価格は $100 で、一番安い学生割引は $25、最高価格は桟敷席の $320 だ。
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理事会のメンバーの4割は、毎シーズン少なくとも $25K をチケットに費やしているほどオペラ好きだ。 彼らが欧州へ行くときは、スカラ座 ザルツブルク バイロイト ミュンヘン コヴェントガーデンを訪れるのが目的だ。

理事の一人がヴォルピーに電話してきて、「ここに素晴しい若い米ソプラノがいる」といえば、ヴォルピーは「感謝します」と答える。 その歌手の話しはメトのスタッフが3年前にしていたとはいわない。

新上演の初日の後、理事が「配役は最高だが、演出は良くなかった」といえば、ヴォルピーは「申し訳ありません」といって立ち去る … 要するに 支配人は理事会に気を使い、決して逆らわず、質を維持するために常にオーディションの話しをいつでも受け入れ、スタッフも支えるという、我慢することも多い 胃が痛くなるような、表面は華やかだけの役回りじゃない、ともいいたいのでしょう。
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メトは、年30以上の演目と240もの公演を上演する。 人材は、大工 裏方 画家 デザイナー 電気技師 演奏家 歌手 歌の先生 ダンサー 振付師 舞台監督 指揮者 美術監督 営業 広報など 2,000人 以上のスタッフが支える。

ヴォルピーがメトで最初に勤めた大道具係は、朝8時から真夜中まで仕事がある。 スタッフには食事時間が与えられているが、仕事をしながら食べるものもいる__いつも4分で立って食べるんだと。
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150人のコーラスについても、言及している__多くはソロになりたいと思った。 彼らは音楽学校でトレーニングを受け、発声の勉強をして、地元か欧州のオペラハウスで前途悠々スタートを切った。 しかし あるところまでで彼らはプライドを飲み込み、現実を見つめ、ソロになれないと自ら判断し、家族を養うために定職についたのだ (殆どのソロ志望歌手が行き着く道だ)。

「ローエングリン Lohengrin 」は過酷な作品だ。 男性コーラスはステージに出ずっぱりで、彼らは「ローエングリン」を「長くて狂暴 long and grim 」と呼んでいる。 でもワグナーの音楽に乗っていくと、そんなことは全て忘れてしまう …。
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メトは、欧州の多くのオペラハウスとは違って、公的な援助は多くありません。 個人寄付が4割近くもあり、それだけオペラ好きの裾野が広いというか、お金持ちが多いといえます (米国の税制が後押ししているともいえます)。

メトのスタッフも結局はオペラが好きなのでしょう。 好きなものに一生、或いは一日の殆どを投じる、そんな多くの人達でオペラハウスが支えられ、スター歌手、スター指揮者だけで歌劇場が成り立っている訳ではないことが読み取れます。
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日本にも新国立劇場ができ、アジアでも初めての常設オペラハウスです。 その評判は? それはこれからスタッフやコーラス、歌手、オーケストラ、指揮者が築き上げていくもので、既に出来上がったものではないのでしょう。 勿論 財務面で国のバックアップは欠かせません。 元々 オペラはチケット収入だけでは成り立たないほど莫大な経費がかかる、いってみれば 人類の “カネ食い道楽” のようなものでしょう。 活躍を祈りたいものです。

以上

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