
左写真は DC-10 のコクピット、右手前に着席しているのが航空機関士。 右は 747 の航空機関士席の計器盤。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
以下記事のタイトルだけを読んで、そういえば ここ最近 なくなった仕事が幾つかあることを思い出しました。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
『AI の進歩で必要になる人、いらなくなる人』(10月6日 伊東 乾/JB Press)
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
まず 飛行機乗務員の航空機関士です。 つい最近まで 飛行操縦士の機長・副操縦士の他に操縦室内に座る 第3の乗務員 “航空機関士” が存在していました。
なぜ3人もコックピットにいるかというと、フライト前のチェックが膨大な数で、しかもフライト中に常時点検する項目が多過ぎて、とても正副操縦士の2名だけでは やりきれなかったからです。
………………………………………………
まあ そうでしょうね。 自動車みたく、キーを回せばエンジンが始動し、サイドブレーキを外してアクセルを踏めば車は走り出しますし、あとはハンドルを回すかフットブレーキを踏んで止まる、これだけで車の操縦には複雑なテクニックが不要で、走行中に車のトラブルに見舞われるということは、現代の車ではまずありません。
昔 自動車学校では 始動前にボンネットを開けて、(何というのか忘れましたが) 竹串のようなものをエンジン筐体から引っ張り出してエンジンオイルの状態を見て、オイルが汚れてないことを確認してから運転するように、といわれましたが、今は定期的にエンジンオイルを交換していれば 確認は全く不要です。
キーを回して始動するのは当たり前で、セルが回ってもエンジンがかからないことはありません。 もっとも 30年位前、GM のレンタカーを借りてニュージーランド旅行した折、寒い朝 なかなか始動しなかった経験があります。 30秒くらい何回かセルモーターを回して、後ろから白い煙を吐き出して、やっとエンジンがかかった記憶があり、あの時は日本車を借りるべきだったと悔やんだものです。
車が不調になったら 路肩に止めて様子をみるか、スタンドから援助してもらえばいいですが、飛行機は “ちょっと空中で止まって” というわけにはいきませんから、特に前点検は十分すぎるほど必要でしょうね。
………………………………………………
話しが飛びましたが、なぜ航空機関士が不要になったかというと、操縦室内の計器や装置の電子化が進んで、メーター類が液晶表示に統合され、ボタン1つ (?) で幾つもの計器を見ることが可能になったからなんだそうです。
それで 正副操縦士の2名だけで 今はどんな大きい飛行機でも操縦でき、せまいコックピットに3人も押し込める必要がなくなったというわけです。
電子化はマニュアルにまで及んでいます。 電子化以前は、操縦士は百科事典のような分厚いマニュアルを抱えて何百項目ものフライト前点検を行っていたのですが、今は薄い (端末機器の) iPad 1枚だけで事足りると、これも記事で読んだ記憶があります。
航空会社も省人化、省スペース化を進めているのですね。
………………………………………………
もう1つ 証券取引所が電子化され、場立ちの人たちがいなくなりました。 電子化以前は、投資会社からの電話を受けて、場立ちの人が売り買いを声や手で伝達し、取引を成立させていましたが、それらが全く不要となったわけです。
街中から本屋も減っています。 インターネットの普及で本を買わなくても、ネットで ある程度読める時代です。 今 存続している本屋は、ネットではできないものを提供しているところです __ 例えば くつろげる椅子・テーブルがあって、店内の書籍を持ってきてじっくり読めるとか、です (但し 30分以内とかの表示もありますけど)。
どれも電子化がもたらした 無くなった仕事の例です。
更に歴史を遡ると、電話局のオペレーターも30〜40年前に無くなりました。 外部から掛かってきた電話を、社内の内線番号に繋ぐ、また市外に電話するときも電話局で切り替えていたのを、リレーという機械的な切り換え機が人間に置き換わったのです。 リレー交換機が置いてある部屋に入ると、一畳ほどのリレー装置が縦に据え付けられて カチャカチャと音を出して切り換えをやっていました。
今はリレー交換機も無くなり電子化されて、電話局自体も統合され、市単位ではなく 地域単位の電話局となっていますね。 電話もネット経由ですと、更に安価で通話できるようになり、いわゆる IP 電話 (Internet Phone) だと市外・市内の区別がなくなり、通話料金が格段に安くなっています。 拙宅も数年前に切り替えたら、ざっと電話料金が10分の1になりました (但し 0120 などの無料電話が使えないなどの制限があります)。
………………………………………………
今 銀行預金をネットで操作して普通預金から定期預金にしようとしています。 ただの普通預金は 0.001%、定期預金だと 0.01% ですが ネットで申し込むと上乗せされて 0.11% になると (母の) 資産運用担当者から教えられたからです。
つまり 銀行窓口だと人が動くので人件費が掛かるが、ネット定期だと人件費が掛からないので 金利を付けてますから、”お得ですよ” というのです。 銀行はそうやって電子化対応を増やし、人件費を減らそうと預金者を誘導しているのですね。
今後 電子化がもっともっと進むと、どういう職が生まれ、どういう職が無くなっていくのでしょうか。
以上