
It‘s a family business: Katharina Wagner with father Wolfgang and mother Gudrun.
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07年8月22日シャンテサラ2投稿分__
ドイツでのオペラ上演は、もう奇抜な演出でないと話題を呼ばないかのような雰囲気ですね。
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「カタリーナ・ワーグナー『マイスタージンガー』バイロイト音楽祭デビュー 新演出に賛否両論 Katarina Wagner‘s Bayreuth Debut Elicits Boos and Bravos Alike 」(8月19日 産経新聞) _ ※追加1へ
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戦後 バイロイトに登場したワーグナーの孫、ヴィーラント、ヴォルフガング兄弟は簡素な舞台装置の「新バイロイト様式」を確立し、その時も賛否両論を巻き起こしました。 ヴィーラントが演出した「パルジファル」は大きな円盤のみが舞台上に置かれ、それ以外の装置は舞台上にまったく置かれていなかった。 この様を見た指揮のクナッパーツッシュが『舞台の準備がまったく出来ていない』と怒り出した逸話は有名 (ウィキペディアから)。
バイロイト音楽祭は1973年に財団法人化しているものの、総監督はワーグナー家の者から優先的に選ばれる事になっていますから、その総監督が指名した演出家としてのカタリーナの資質はまだ何ともいえませんね。 今後 名声を高めていけば成功した演出、不評続きであれば失敗した演出としての評価になるでしょう。
1976年22歳のフランスの演出家パトリス・シェロー Patrice Chéreau の演出した「ニーベルングの指環 Der Ring des Nibelungen 」は高い評価を得ましたが、当初はブーイングの嵐でした。 良きにつけ 悪しきにつけ 評判を呼ぶのがバイロイト音楽祭の新演出で、そこでの上演が並みの水準ではない レベルの高い質を維持し続けている証拠でもあります。
とはいえ、ある意味で ワーグナー家の子孫は、大作曲家ワーグナーの資産を150年も食いつないでいるともいえます。 これを支えているのは世界中のワグネリアンたちで、彼らがドイツの田舎都市のバイロイトの夏に集まり、ワーグナーのオペラをありがたく拝聴しているからこそ バイロイト音楽祭が継続していると見ることもできます。
以上
※追加1_ ドイツ・バイロイト音楽祭の今年一番の話題は、ワーグナーのひ孫で、現在の音楽祭総監督ヴォルフガングの娘である演出家、カタリーナのバイロイト・デビュー。 音楽祭初日に新演出上演された「ニュルンベルクのマイスタージンガー Die Meistersinger von Nuernberg」は、ワーグナー家と音楽祭の未来をかけた大舞台だった。「ロマンチックで歴史的・懐古的な要素が一切削り取られた」(高辻知義・東京大学名誉教授) 公演は賛否両論を。 作曲家ワーグナーの楽劇のみを上演する今年のバイロイト音楽祭は7月25日に開幕した。
29歳の新進演出家であるカタリーナは、中世ドイツの古都ニュルンベルクを現代の町に置き換えた。 歌手としての腕を競う親方 (マイスタージンガー) たちは、画家となって登場。 ベートーヴェンやリストら芸術家12人が、デフォルメされたマスクをつけた像としてステージに置かれている。 終盤の第3幕では、この像が動き出し、登場人物たちを威嚇。 最後にすべてが燃やされてしまう。
ドイツの歌唱芸術を高らかに歌い上げ、ドイツ精神の発露とされたこの楽劇のテーマをことごとく否定するかのような演出。 メルケル独首相をはじめ招待客が多く、おとなしい反応をみせるはずの開幕初日にもかかわらず、カーテンコールでは非難を込めたブーの声が圧倒的。 拒絶の意を含んだ口笛も飛び交った。
「明らかに伝統を破壊する舞台」。 各地のドイツ紙、内外の通信社はこぞってカタリーナの手法を批判した。
その一方、「素晴らしい」との言葉を発する市民の反応とともに、「ドイツの芸術の美と純粋さについての『マイスタージンガー』のレトリックを破壊するというカタリーナの誓約は守られた」と報告するメディアも。 カタリーナは批判的な反応を意に介さない。「オペラから現代の若者が離れている、もっとポップな感覚のものとしてワーグナーの作品に触れ、好きになってほしい」と話す。
バイロイトでも豊富な演出経験を持つハリー・クプファーのもとで研鑽を積んだ。「保守的で温厚な父の芸風とは正反対の、社会に対する主張の鮮明な、極めて前衛的な演出で注目を集めてきた」とはワーグナー家とも親交が深いドイツ文学者の高辻名誉教授。 今回の作品は、ヒトラー、ナチスに国粋主義発揚のために利用された曾祖父の音楽に、ひ孫が真摯に向き合った結果生まれたともいえる。
高辻教授は「戦後のバイロイト音楽祭での上演では、この面に対する反省がはっきりと盛り込まれることはなかった。 このことを強く意識したカタリーナは作品の細部にわたって読み替えを行い、作品の現代への結びつきを重視し、問題を芸術の在り方に絞った」と演出の意図を指摘した。
8月に入り、4、8、16日と上演を重ねた「マイスタージンガー」。 大きな拒絶とともに大胆な革新を容認しようともする聴衆の姿は、さまざまな方向からワーグナーの芸術を拡張しようする音楽祭とワーグナー家の理念と呼応する。
以上
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07年8月22日シャンテサラ2投稿分__
ドイツでのオペラ上演は、もう奇抜な演出でないと話題を呼ばないかのような雰囲気ですね。
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「カタリーナ・ワーグナー『マイスタージンガー』バイロイト音楽祭デビュー 新演出に賛否両論 Katarina Wagner‘s Bayreuth Debut Elicits Boos and Bravos Alike 」(8月19日 産経新聞) _ ※追加1へ
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戦後 バイロイトに登場したワーグナーの孫、ヴィーラント、ヴォルフガング兄弟は簡素な舞台装置の「新バイロイト様式」を確立し、その時も賛否両論を巻き起こしました。 ヴィーラントが演出した「パルジファル」は大きな円盤のみが舞台上に置かれ、それ以外の装置は舞台上にまったく置かれていなかった。 この様を見た指揮のクナッパーツッシュが『舞台の準備がまったく出来ていない』と怒り出した逸話は有名 (ウィキペディアから)。
バイロイト音楽祭は1973年に財団法人化しているものの、総監督はワーグナー家の者から優先的に選ばれる事になっていますから、その総監督が指名した演出家としてのカタリーナの資質はまだ何ともいえませんね。 今後 名声を高めていけば成功した演出、不評続きであれば失敗した演出としての評価になるでしょう。
1976年22歳のフランスの演出家パトリス・シェロー Patrice Chéreau の演出した「ニーベルングの指環 Der Ring des Nibelungen 」は高い評価を得ましたが、当初はブーイングの嵐でした。 良きにつけ 悪しきにつけ 評判を呼ぶのがバイロイト音楽祭の新演出で、そこでの上演が並みの水準ではない レベルの高い質を維持し続けている証拠でもあります。
とはいえ、ある意味で ワーグナー家の子孫は、大作曲家ワーグナーの資産を150年も食いつないでいるともいえます。 これを支えているのは世界中のワグネリアンたちで、彼らがドイツの田舎都市のバイロイトの夏に集まり、ワーグナーのオペラをありがたく拝聴しているからこそ バイロイト音楽祭が継続していると見ることもできます。
以上
※追加1_ ドイツ・バイロイト音楽祭の今年一番の話題は、ワーグナーのひ孫で、現在の音楽祭総監督ヴォルフガングの娘である演出家、カタリーナのバイロイト・デビュー。 音楽祭初日に新演出上演された「ニュルンベルクのマイスタージンガー Die Meistersinger von Nuernberg」は、ワーグナー家と音楽祭の未来をかけた大舞台だった。「ロマンチックで歴史的・懐古的な要素が一切削り取られた」(高辻知義・東京大学名誉教授) 公演は賛否両論を。 作曲家ワーグナーの楽劇のみを上演する今年のバイロイト音楽祭は7月25日に開幕した。
29歳の新進演出家であるカタリーナは、中世ドイツの古都ニュルンベルクを現代の町に置き換えた。 歌手としての腕を競う親方 (マイスタージンガー) たちは、画家となって登場。 ベートーヴェンやリストら芸術家12人が、デフォルメされたマスクをつけた像としてステージに置かれている。 終盤の第3幕では、この像が動き出し、登場人物たちを威嚇。 最後にすべてが燃やされてしまう。
ドイツの歌唱芸術を高らかに歌い上げ、ドイツ精神の発露とされたこの楽劇のテーマをことごとく否定するかのような演出。 メルケル独首相をはじめ招待客が多く、おとなしい反応をみせるはずの開幕初日にもかかわらず、カーテンコールでは非難を込めたブーの声が圧倒的。 拒絶の意を含んだ口笛も飛び交った。
「明らかに伝統を破壊する舞台」。 各地のドイツ紙、内外の通信社はこぞってカタリーナの手法を批判した。
その一方、「素晴らしい」との言葉を発する市民の反応とともに、「ドイツの芸術の美と純粋さについての『マイスタージンガー』のレトリックを破壊するというカタリーナの誓約は守られた」と報告するメディアも。 カタリーナは批判的な反応を意に介さない。「オペラから現代の若者が離れている、もっとポップな感覚のものとしてワーグナーの作品に触れ、好きになってほしい」と話す。
バイロイトでも豊富な演出経験を持つハリー・クプファーのもとで研鑽を積んだ。「保守的で温厚な父の芸風とは正反対の、社会に対する主張の鮮明な、極めて前衛的な演出で注目を集めてきた」とはワーグナー家とも親交が深いドイツ文学者の高辻名誉教授。 今回の作品は、ヒトラー、ナチスに国粋主義発揚のために利用された曾祖父の音楽に、ひ孫が真摯に向き合った結果生まれたともいえる。
高辻教授は「戦後のバイロイト音楽祭での上演では、この面に対する反省がはっきりと盛り込まれることはなかった。 このことを強く意識したカタリーナは作品の細部にわたって読み替えを行い、作品の現代への結びつきを重視し、問題を芸術の在り方に絞った」と演出の意図を指摘した。
8月に入り、4、8、16日と上演を重ねた「マイスタージンガー」。 大きな拒絶とともに大胆な革新を容認しようともする聴衆の姿は、さまざまな方向からワーグナーの芸術を拡張しようする音楽祭とワーグナー家の理念と呼応する。
以上