
モントゥー指揮のロンドン響演奏の第九 CD を聴きました。 モントゥーが亡くなる2年前 87歳の1962年録音です。 レーベルはウェストミンスターですが、DG のオリジナル・イメージ・ビット・プロセシング処理による ADD リマスター盤です。
と書くからには、最初 "期待して聴いた" と分かってもらえるでしょう。 ところが、この演奏盤は期待外れでした。 1) 第3楽章 金管の演奏に気合いが入ってなく、まるで「トランペット吹きの休日」みたいに流すように吹いています。
2) 第4楽章 バスのデヴィッド・ウォードも これまた歌い流すような、要するに一音一音に力が籠ってないような歌い方に聴こえてきます。
3) 低弦の音が大きくは聴こえるが、バランスを大きくしたのかオン・マイクの録音なのか ただ大きいだけで厚みが感じられません。 それはヴァイオリン・セクションでも感じました。
良かったのは、テノールのジョン・ヴィッカースとソプラノのエリザベート・ゼーダーシュトレームの2人の歌手。 それとモントゥーが、よくぞ ここまでまとめあげたと褒めたい。 なにせ87歳ですから、普通は体の自由が思うように利かず 指揮台に立つ (座る?) のもやっと、というお年なのですが、それは微塵も感じさせません。
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以前 LP で聴いた同じ “モントゥー指揮のロンドン響” によるベートーヴェンの第4番 (59年 DECCA) は暖かみのある いい演奏だったと記憶していますが、もう20〜30年前に聴いたのが最後だったから、今聴きなおしたら また違った印象を持つかも知れません。
ロンドン響は映画「スターウォーズ」の演奏をさせたら天下一品の楽団ですが、ベートーヴェンの “気合いが必要な” (1番以外の) 奇数番号の交響曲演奏ではどうなんでしょうか? ベートーヴェンが聴いたら __「気合いが入っとらーん!」と一喝するんじゃないでしょうか。
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最近 聴いた第九の中で、同じ頃の録音 (57年のクリュイタンス指揮ベルリン・フィルや57年のクレンペラー指揮フィルハーモニア管) はそれなりに良かったですよ。 こうも違う演奏があると聴きたくなるベートーヴェンの交響曲というものは、なぜか聴き飽きない魅力がありますね。
以上は私の独断と偏見です。