
左は※1より。 右は DeepSeek 創業者の梁文鋒氏。
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ここのところ 中国製 AI についての報道がやたら多い。 1月20日に発表された DeepSeek 最新モデルが米国製 AI の性能に迫ると同時に、内蔵する NVIDIA の半導体が少なく大幅なコストダウンを実現したとされ、一時 NVIDIA の株価が暴落しました。
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NVIDIA 製の半導体の購入に少なくとも5億ドルを投じており、サーバー費用などを加えると、総投資額は過去4年で約 26億ドルに …『中国 “ディープシーク” の新 AI 開発費、5億ドル超か … “560万ドル” の主張を大幅に上回る分析』(2月1日 読売新聞 ※1)
DeepSeek は AI モデルの学習費用が 560万ドル (約8億6800万円) にとどまり、OpenAI が投入した額と比較して最大 95% 削減できたと … (1月28日 Forbs ※2)
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逆に考えると 米中とも AI 実現には NVIDIA 半導体が不可欠で、他社製に置き換えられない、圧倒的な強みが NVIDIA にはあるともいえます。 中国製 AI といえども、”米国半導体頼み” なんですね (ちなみに NVIDIA 半導体を製造するのは台湾 TSMC です)。
で 一体 いくらの半導体をどれだけ使ったのか、という報道をまとめると __「先月リリースされた V3 モデルは NVIDIA の H800 を 2048個使って訓練された」(1月31日 Forbs ※3) とあり、単純計算で1台@4万ドルの H800 を 2048個でざっと約 8000万ドル (約 120億円) となります。 1月発表の最新モデルに使われた NVIDIA の機種は不明ですが、※1の5億ドル積算の根拠はそれに加え サーバー込みで計算?
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DeepSeek 最新モデルが、OpenAI よりも大幅に性能が劣るなら問題視されなかったのでしょうが、遜色ない性能を示した事で 注目度が一気に高くなったのです。
いわば AI 専用道路を余裕で鼻歌混じりで “超軽いシューズ” を履いて走っていた米国選手が気付いたら、”軽くないシューズ” を履く中国の新人選手がいつの間にか自分の背中にまで迫っていたのにあっと驚いた、といった構図でしょうか。
中国に追い付かせないために、米国は肝腎要の NVIDIA 半導体の最新版を中国に輸出させないように制限していましたが、中国は最新版よりも低グレードの輸出が許可されている NVIDIA の H800 を使って迫ってきたのです。
これは、一年半前 中国に 7nm の最新半導体を作らせないために、米国がオランダに最新半導体製造装置の中国への輸出を禁止させたのに、中国は禁止されてない 最新よりも前の低グレードのオランダの半導体製造装置を使って、中国が 7nm の最新半導体を作ってしまい 中国スマホに内蔵させた話しにも重なりますね。
中国のハイテク品の製造能力、キャッチアップ (追いつく) 能力には、米国は口をアングリ開けて唖然とした様子が眼に見えるようです。 逆に 中国はしてやったりとニンマリしているのが大いに想像できますね。
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ただし 無料ダウンロードが可能だからといって、ホイホイと喜んで中華 AI を自宅の PC や、会社のシステムに取り込むのはちょっと待った方がいいでしょう。
なぜなら DeepSeek AI を使って処理した履歴や利用情報が中国のサーバーに残り、その結果を中国政府・共産党が吸い上げないとも限らないのです。 吸い上げて、中国政府が自身にとって不都合な処理をした個人や会社をどうするかは、想像できないからです __『DeepSeek コード内にユーザーデータを中国政府に送信する機能か』(2月6日 ASCII ※4)
そんな個人や会社関係者が中国を訪問した時に、中国当局からいきなり質問され、拘束される可能性がありうるのです。
タダほど高いものはありません。 十分注意して掛かるに越した事はありません。
今日はここまでです。