
冬の風景
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実家に帰省して、老親の模様を見てきました。 父は米寿間近で、もう足が衰え 歩くのが困難で、廊下は手すりが欠かせず、家の外は人の手を借りるか車椅子が必要です。 一旦 畳に座り込むと自力では立てません。
耳も遠くなり 話しかけても首をコクコクと振るだけで、自分から会話を積極的にしようともしません。 非常に寒がりで、家の中で動く先々でストーブを点けて、その前で椅子に腰掛けて一日中を過ごします。 椅子から立ち上がるのはトイレへ行く時だけで、もう散歩もできません。
椅子に座って何をするかというと、新聞や 市の広報/雑誌を読んだりするだけで、それについて色々と論評する訳でもなく、殆ど黙っています。 以前は私が帰省すると 沢山話しかけてきたのですが、ここ二年位でしょうか 殆ど話しをしなくなりました。
けれど食欲は旺盛で、ほぼ私と同じくらい食べます。 ただ黙って食べ、気に入らないと食べ残します。 母は父の世話でてんてこ舞いの日々です。 ですから 父はもう母がいないと、生きていけません。 この先、寝たきりになるのが眼に見えています。 そうなったら、もう母だけでは面倒が見切れませんから、施設への入所を検討しなくてはならなくなります。
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ストーブの前で一日中ウツラウツラとしていることが多いので、脳細胞が正常に機能してないのかと思ったら、タマにまともなこともいいます。 想像するに、殆どの時間 脳細胞は休んでいるが、タマに神経回路が繋がって外部とのやりとりが出来るようです。
まだ食欲があるのは 体調/抵抗力を維持している状態と想像できますから、まだいいほうかも。 老人は肺炎になったら、もう回復できないことが多いと聞きます。 しかし、排泄を自分でコントロールできず、リハビリパンツの世話になる状態ですから、本人も本当は切ない気分でしょう。 排泄を他人の世話に頼ることは、人間の尊厳に関わることですから、こうなると “赤ん坊に戻りつつある” といったほうが実態に近いともいえます。
また 多くの場合 男が早く衰え、女が男よりも長生きするのは理にかなっています。 これが逆だったら、想像もできません。 大概の男は、腕力はあっても 生活の一部始終の世話に向いているとはいえませんから。
色々と考えさせられる帰省でした。 ソレにつけても、「よくもココ迄来たもんだぁー」と一声発したくなるようなことですね。 初めて経験することばかりです。
今日はここまでです。