シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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死亡記事を見落とした指揮者 大町

2023年04月20日 | 指揮者あれやこれ
上左から ブルックナー/交響曲第8番 (大阪センチュリー響, 大阪シンフォニカー他)、ベートーヴェン/交響曲第5盤・序曲集 (東京フィル)、「運命を斬る」(東京都響)、下左から グリーグ/ピアノ協奏曲 (中村紘子 … 芸大同級生の大賀の制作)、ヨハン・シュトラウス II (ウィーン・フォルクスオーパー管)、シュトラウス・ファミリー名曲集 (九州響)。
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指揮者 大町陽一郎 (1931~2022) が1年前に亡くなっていました。 小澤征爾 (1935~) や岩城宏之 (1932~2006)、若杉弘 (1935~2009) らと同年輩ですが、あまり話題にはならず、録音数も多くはないようです。

私は実演でも LP・CD でも聴いた事はないので、印象しか書けませんが、演奏家というよりは学究肌・教育向きの人だったようです。 ウィーンに留学したので、ウィンナ・ワルツには造詣が深く、著書でも詳しく書いています。 ウィンナ・ワルツを本場に聴きに行く旅行ツアーの案内人もやるなど、およそ指揮者らしくない人でした。

1930年代生まれの小澤・岩城・若杉は一時 若手指揮者3羽ガラスといわれていたと記憶しますが、大町はその中には入らなかったのですね。 ですから 一般的な人気とはどちらかというと 程遠い印象でした。

冒頭写真で紹介した「運命を斬る」なんていうマニアックな (?) LP を出したくらいですから、これで一般的な印象が決まってしまったんじゃ …。 小沢、岩城も「運命」を録音していますが、シカゴ響とサイトウキネン・オケ、NHK 響による演奏で、ごく普通の LP・CD です。

その「運命を斬る」は LP 4面で、1) 第1楽章のアナリーゼ (分析)、2) 第2楽章のアナリーゼ、3) 第3・4楽章のアナリーゼ、4) 全曲演奏の構成でカッティング、楽譜付きという異色の2枚 LP です。 恐らく指揮者向けか、指揮者を目指す音楽学生向けの製品で、どれだけ売れたか容易に想像できます (この曲を実音入りで分析したいという趣味人には面白いのかも)。 この手のものは他にありませんし、もう出ないでしょう。

カラヤンの通訳兼助手を兼ねて、1950年代後半にベルリン・フィル (57)、ウィーン・フィル (59) と一緒に来日、その時の逸話が著書『楽譜も余白にちょっと』(新潮社 1981) で披露されて、面白い。 そして 27歳という若さで BPO 演奏会を振るという栄誉に恵まれました。

BPO 支配人に「あなたは指揮できるレパートリーが少ないようだから、2~3年で他の楽団でレパを増やしてきたら、また BPO を振らせてあげよう」といわれたが、支配人の死去で叶わず (これが „運命“ だった?)。 帰国しても知名度がなく、演奏会を振る機会がなかったという。 やはりクラシック指揮者の世界でも „BPO を振った“ くらいではなく、指揮者コンクールで優勝などの勲章が必要なんですね。
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【追悼】国際的に活躍した指揮者 大町陽一郎さん 90歳 2022年3月4日 (https://tower.jp/article/campaign/2022/03/04/03) __ 東京芸術大学卒業後、1950年代からウィーンに留学して名教授スワロフスキー、大指揮者のベームやカラヤンに学び、1958年にベルリンでデビュー。 語学が堪能で1968年にはドルトムント市立歌劇場の専属指揮者、1982年からは2年間 ウィーン国立歌劇場の専属指揮者として本場のオペラ、バレエの上演で活躍した大町陽一郎さんが、2月18日 老衰のため東京都内で亡くなりました。 90歳でした。 謹んでご冥福をお祈りいたします。(タワーレコード)

1931年 東京生まれの指揮者。 東京芸術大学で渡邊暁雄、クルト・ヴェスに学ぶ。 卒業後 ウィーン音楽大学に留学、ハンス・スワロフスキーに師事。 カラヤンのアシスタントとして研鑚を積み、1958年にはベルリン・デビューを果たす。 帰国後 1961年より東フィル常任指揮者として黄金時代を築いた。 1980年 日本人として初めてウィーン国立歌劇場に出演、「蝶々夫人」を指揮する。 1982~4年には同歌劇場専属指揮者として活躍した。 1992年 ドイツ連邦共和国功労勲章「大功労十字」、さらに96年には日本人初のウィーン市名誉ゴールド・メダルを受賞した。 98年オーストリア共和国功労勲章大銀章を受章。 99年より東京フィル専任指揮者に就任した。(CD ジャーナル)
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今日はここまでです。

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