*『告発!検察「裏ガネ作り」』著者 三井 環 を複数回に分け紹介します。58回目の紹介
~口封じで逮捕された元大阪高検公安部長の「獄中手記」~
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**『告発!検察「裏ガネ作り」』著書の紹介
13 暴かれた「謀略」の構図 P178~
さて、公判は年末から渡眞理利忠光の証人尋問が始まっていた。渡眞利証言は検察にとってただひとつの証拠である。これが崩れると、検察の敗北になるだけでなく、口封じのでっちあげ逮捕が”逆立証”されることになる。それだけに、検察も必死だ。
大阪地検は公判部副部長の大島忠郁部長を立会主任検事とし、私の事件の捜査主任検事だった大仲土和副部長の特捜部副部長に昇進させて、それに若い相馬博之検事を加えて3人で本件裁判に専従させる、万全の態勢を組んで公判に臨んできた。
そして第5回公判(平成14年12月6日)から、いよいよ渡眞利に対する検察側の主尋問をはじめたのである。
予想されたとおりだが、渡眞利は検察官の主張に沿った証言を立て板に水のように述べ立てた。それは、まるでシナリオのあるドラマのような証言だった。検察は渡眞利証言を唯一の証拠に犯罪を立証しようとしているのだ。
実はこの第5回公判の直前に、弁護団が執拗に要求していた大仲検事の「操作報告書」がようやく開示された。この捜査報告書が根拠となって逮捕状が発付された。その意味ではきわめて重要な資料である。しかし、見て驚いた。弁護団も目を丸くした。私も30年近く検事をやってきたが、このような捜査報告書はみたことがない。端的にいうとこの報告書は、後述する渡眞利の「情報メモ」に、これも後述する大嵩高裁から取り寄せた競売マンション落札に関する「民事記録」をつなぎ合わせて作文しただけのものなのだ。証拠らしいものはないもない。関連調書も、ただの1通もないというシロモノだった。
いやはや、これでは検察側が弁護側に開示したくないのも当然だろう。
これがいかにすごいことか、一般の人にはよくわからないかもしれないが、法曹関係者にはご理解いただけると思う。
※続き『告発!検察「裏ガネ作り」』(暴かれた「謀略」の構図)は、
2017/1/25(水)22:00に投稿予定です。
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