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諸刃の剣/ウィニー

2006-12-14 00:40:10 | Weblog
製作者に罪はあるか?その結論が出るまでを見ると。




「ウィニー」開発者公判、13日に判決 京都地裁(抜粋)
2006年12月12日(火)

ファイル交換ソフト「ウィニー」を開発し

インターネット上で公開、著作権法違反幇助の罪に問われた裁判の判決が

13日、京都地裁で言い渡される。

「ソフトウエアが違法な使われ方をされたことを理由に、開発者が同罪で刑事責任を問われる」

のは初めてで、裁判所の判断が注目される。


(弁護団)
「専門知識もない検察側が証拠もなしに断罪することが許されてよいはずがない」

ソフトウエア技術者が萎縮する危険性に触れたうえで

裁判所にも技術の是非についての判断には慎重さを求めた。


「ウィニーを開発・改良して無償で配布」して

「映画やゲームなどを、インターネット上で自由に入手できるよう無許可で公開
する犯行を手助け」したとして

04年5月に著作権法違反幇助容疑で逮捕、起訴されたが、

起訴事実を全面否認している。

 「逮捕前の任意捜査の段階」で

  ウィニーを
 「違法にデータをやり取りするために生まれたようなソフト」などと供述したと言うが
 →公判では捜査側の「作文」とする


(検察側主張)
①実際に著作権侵害をした人物と一面識もない被告の犯行を立証するため、「2ちゃんねる」に金子被告が書き込んだとされる「開発宣言」などを引用

(内容)「著作権保護のシステムに挑戦し、これを根本的に破壊する動機からウィニーを開発した」

②ウィニーは「著作権法違反行為を増長・助長するために制作された」

③こうしたソフトを無料で公開して不特定多数の利用者にダウンロードさせたことが著作権侵害の幇助にあたるのは明らか

(弁護側)
①「個々のコンピューター同士でファイルを共有する技術開発のため」にウィニーをつくった
②著作権侵害の意図はなく、ユーザーが勝手に違法な使い方をしたことの責任を問われることはない
③公訴棄却か無罪判決を求めている。
④被告が逮捕されて「ウィニーの改良ができなくした」ことが、「ウイルス感染による各地の警察や自衛隊などの情報流出を招いた」。

(情報ネットワーク法学会情報法研究部会長 弁護士)
「どのような結論が出るにせよ、判決では、どんな開発行為が刑事責任に問われるのか基準を示すべきだ。あいまいなままだと開発者が萎縮し、日本の科学技術の発展に影響が出る恐れがある」





と言っていたが本日、判決が出た。





<ウィニー裁判>元東大助手の金子被告に有罪判決 京都地裁(抜粋)
12月13日 毎日新聞

「Winny」の開発・公開で違法コピーを助長したとして、

「著作権法違反のほう助罪」

に問われた元東京大助手に、

京都地裁は13日、

「罰金150万円(求刑・懲役1年)の有罪判決」を言い渡した。

同交換ソフト開発者が

「犯罪のほう助」で有罪

となったのは全国で初めて。
 
国が振興に力を入れるIT分野で、

「高レベルの新技術の開発・提供」が

「利用者の悪用によって罰せられたのは異例」で

今後の「技術開発などに与える影響は小さくない」。
 
(判決)
被告は02年5月から自身のホームページで

「ウィニーを公開し配布」。

03年9月に群馬県の男性ら2人が

映画などをインターネット上に無料公開した「著作権法違反行為」を助けた。








今回の「地裁の判断」では「有罪」。








「新技術の開発、どうして罪に」ウィニー判決受け被告(抜粋)
2006年12月13日(水)朝日ドットコム

(記者会見)
「新しい技術を開発することが、どうして罪になるんだ」。
大阪高裁に控訴して争うことを明らかにした。

会見には金子被告と弁護士約10人が出席。

ある弁護士
「開発者は、あらかじめ起こる影響をすべて予想してから公開しろというのか。理解できない」

「技術の価値は中立だと言いながら有罪というのはおかしい」

(金子被告)
○情報流出を止めるため、ウィニーの改良版を公開するつもりがあるのか
「何をすれば罪に問われるのかがあいまいな現状では、リスクは負えない」
→すぐには公開しないことを表明

○違法なファイルがウィニーを介してやり取りされている実情について
「悲しいと思っている。やめてもらいたい」






検察側主張のように「自らの意思で著作権法違反行為を増長」しようとしたことが

「証明」されたから「有罪」なのか?

あるいは

「開発物」が「犯罪行為に利用された場合」は刑事責任に問われるのか?

は大きな争点だと思う。

この「裁判官」がどのような観点で「判決」を出したのか、詳細が分からないが、

非常に「危険な判決」だと思う。



「開発行為自体には一切責任が無い」というなら

まだ「逃げ道」はあるけど、

「開発行為自体にも遡及」するのだとしたら、

弁護団の主張のように

「開発者は、あらかじめ起こる影響をすべて予想してから公開しろというのか」

っていうことになる。






大科学者アインシュタインは「相対性理論」で有名だけど、

「原子力」にも深く関わってる。

アインシュタインは「原爆」へとつながる技術を開発したから

「有罪」なんだろうか?





科学技術は「諸刃の剣」だ。





どんなに有用な技術であっても

「使用方法」によっては「悪」になるし、逆に

「悪用されてしまう技術」にも「毒を持って毒を制す」ってな側面がある。




パソコンの世界でも「優秀なハッカー技術」を持った人間が

「優秀な対策」ソフトを作ったりする。

例は違うけど「白バイ隊員」が「ゾクOB」だったりするようなもんです。




「ナウシカ」の「その者、青き衣をまといて、金色の野に降り立つべし」で

号泣した自分ですが、その中で

「小さな火を使うのは仕方ないが、大きな火はイカン」

なんて、言ってます。

「自然との共生」がテーマのドラマだったけど、

「科学や技術」を全否定するのではなく

「自然と折り合えるレベルまでなら”科学も良いもの”だ」

っていうようなコトだったのかな、と。





科学技術は「際限なく開発できる」けど、

問題は「開発した技術」より、

使用者の「モラル」や「対応する法制」じゃないすかねえ。




それだけに




(情報ネットワーク法学会情報法研究部会長 弁護士)
「どんな開発行為が刑事責任に問われるのか基準を示すべきだ」





コトは「地裁レベルが判断できるような”小さな問題”ではない」と思う。






参考:ネットエージェント代表取締役の杉浦氏講演
→情報漏えいに対するウイルスソフトの効果や違法アップロード対策現状について抜粋





Winnyはどこまで危険か
2006/10/08 CNET JAPAN

(ウイルスソフトでは情報漏洩は防げない)
Winnyで情報漏洩をおこすのは、

「仁義なきキンタマ」系と「原田ウイルス」系の2つのAntinnyウイルスが主流。

実はウイルスベンダーはAntinny対策に熱心ではない。

理由としては
①Winnyユーザー自体がWinnyを使っていることを隠しているため、ウイルスベンダーに感染報告が上がってこない
②亜種が多すぎて1回しか使われないことも珍しくないので、パターンファイルが作れないのではないか


(権利団体やプロバイダから警告が来たら)
「音楽や映画、プログラムなどを流通」させた場合

権利団体やプロバイダから警告が来ることがある。

①「民間団体からの警告があった場合、警告にしたがってただちに該当ファイルを削除すれば告訴、逮捕されることはまずない」
 →実害がそれほど出ていないうえ、相手が学生など若い人の場合は、将来顧客になる可能性もあるから

②「警告が来た場合、該当ファイルがどれだか分からなければ、キャッシュファイルを全て削除するのが安全」
 →すでに警察が動いてしまっている場合は、逮捕される可能性も。

その理由は
 ○刑事事件だから捜査するという建前
 ○ハイテク犯罪を取り締まったということで注目を浴びられ、予算取りにも好影響を与える


(アップローダーの追跡システム)
Winnyの暗号化を解析し、発信元のIPアドレス、検索キーワードなどを把握するシステムを構築した(ネットエージェント)

難攻不落と思われていた「Winnyの暗号化機能」だが

 ○やりとりされるファイルそのものが鍵を持っていること
 ○クライアント・サーバ方式でファイルを交換すること

 →クライアント側のクローンを作れば暗号解析できる。

「作者もそれほど強固な暗号にするつもりがなかったようだ」

パケットの中身が分かってしまえば、

後は「通常の不正アクセス追跡と同じ」
→中継ノードをたどり、やがて経路は収束して最初のアップロード者にたどり着く

そして

任意や令状を持って「コンピュータ内部」を調べれば

「漏洩の証拠保全と漏洩データが確認」できる。







「ウイニーのアップロード」も丸裸になりつつある。







ウィニーとは(毎日新聞記事より抜粋)
P2P(ピア・トゥ・ピア、ピアは英語で「同輩」)型ファイル交換ソフトの一つ。

インターネットなどは通常、

○サーバーがクライアント(一般利用者の端末)にサービスを提供する
→P2Pはネットにつないだ端末間でファイルを交換する(サーバーに負担をかけない)

○ファイルの検索と取り込み 
①利用者が欲しいファイルを検索すると、類似の検索をした別の端末とネット上で近い場所に配置
②通信速度の速い第三者の端末に送信(中継)させる
③(その際)中継する端末にも同一データが蓄積される
→最初の送信者を特定しづらい。
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