死んだ後に「黄泉帰る」のは
ゾンビだけど
生きている人の体の一部が「蘇る」のは
ノープロブレムということのようです。
人の皮膚から「万能細胞」 京大グループら作成成功(抜粋)
11月21日 京都新聞
京都大物質-細胞統合システム拠点の山中伸弥教授らの研究グループが
体細胞を遺伝子操作してさまざまな細胞になる能力を持たせた多能性幹細胞
「iPS細胞」を
「人の細胞で作ることに成功」し
米科学誌「セル」電子版で20日発表した。
患者自身の細胞を用いた脊髄損傷などの細胞移植治療の実現に向け
大きな一歩となる成果。
同日、米国の別の研究グループも
米科学誌サイエンスで
ヒトiPS細胞の作成を報告
研究競争のさらなる激化は必至だ。
<山中教授>
①昨年、世界で初めて「マウスでiPS細胞の作成に成功」
②今回、マウスで用いたのと同種の4つの遺伝子を
③ヒトの皮膚の繊維芽細胞にウイルスを使って導入したところ
④さまざまな細胞に分化可能な「ES(胚性幹)細胞」と極めてよく似た
「ヒトiPS細胞」(形態や増殖能、遺伝子発現パターンなどが類似)
の作成に成功
⑤この細胞を培養すると
神経や
筋肉組織などのほか
鼓動する心筋細胞や
腸管様組織
になった
⑥作成に受精卵を用いるES細胞と比べ
⑦iPS細胞は自分の体細胞から作ることができることから
⑧倫理的問題や他人の細胞で起きる拒絶反応も少なく
⑨再生医療への応用が期待されている
→脊髄損傷や心不全、糖尿病などの治療のほか、病因の解明や新薬開発のための実験用細胞としても期待
<山中教授>
「今回の報告で、さらに研究のスピードが上がるだろう。ウイルスを使わない作成手法や、ES細胞との比較研究を進め、ES細胞に代わることのできるiPS細胞を作りたい」
ヒトiPS細胞ができたことで、次の目標は
①ES細胞との比較や導入遺伝子の検討によりES細胞と同等の能力を実証すること
②遺伝子導入に用いるレトロウイルス以外のより安全な作成法の開発
になる。
ES細胞を神経や心筋などに分化させる研究は成果を積み重ねており
iPS細胞の分化の研究も急速に進みそうだ。
<臨床応用が目標の研究>
①山中教授と慶応大の岡野栄之教授らは
②脊髄損傷モデルマウスにiPS細胞を注射すると機能の一部が回復することを確認
③安全性が今後の大きな課題
日本の幹細胞研究のあり方も問われている。
山中教授と同時にサイエンスで発表したのは
世界で初めてヒトES細胞を作った
ウィスコンシン大のジェームス・トムソン教授ら。
「世界初」を独占させないよう
急きょ発表が前倒しされた。
競争の激しさが分かる。
米国は
国や州が
幹細胞研究に多額の資金を投入
主要な大学には
幹細胞研究センターが設置され
多様な分野の研究者が集まっている。
ES細胞よりも制約が少ないため
iPS細胞の研究者はさらに増えるという。
<山中教授>
①今年七月に米国の大学内に研究室を開設し
②日本では認可が難しく実質的に不可能なES細胞との比較研究を進めているが
「個人ではどうにもならない。iPS細胞は日本で生まれたのに、このままでは全部持ち去られてしまう」
中核組織や研究事業の立ち上げなど
国の機動的な対応が問われている。
これ
結構スゴイ話ですよね。
医療の目指すところというか
人間が古くから追い求めているものに
「不老不死」
というものがある。
手塚先生の「火の鳥」なんかもそうだけど
盗作騒ぎで忙しい松本先生の「銀河鉄道999」なんてのも
「永遠の命」
がテーマ。
「賢者の石」
なんていうRPGには欠かせない小道具も
このテーマに関連して出てくることが多いんですよね。
今回の研究の結果次第では
「不老不死」とは言わないけど
「不死身の男」
なんていうのはできちゃうかもしれない。
「細胞を培養すると神経や筋肉組織などのほか鼓動する心筋細胞や腸管様組織になった」
ってことは
「瀕死の重傷」であっても
「組織の一部を培養することで助かる可能性がある」
ということになる。
実際
「脊髄損傷モデルマウスにiPS細胞を注射すると機能の一部が回復することを確認」
という結果も出てるわけで
「交通事故で半身不随」なんてことになっても
その回復が期待できるってことだよね。
こりゃあ、スゲー。
ところで
「再生」といえば
<ヒトデ>(ウィキペディア)
ヒトデ類は再生能力が高いことでも有名である。
腕の一本ぐらいは簡単に再生する。
種によっては腕をつかむと簡単に自切する。
また
「真っ二つになっても再生」し
その場合には
「二匹になる」。
また
常時分裂を行って
「無性生殖している」
ものもある。
たくましい生命力です。
人間のような「フクザツな神経器官」を持っている種では
こうカンタンには行かないんでしょうが
人間が全く「再生能力を持っていない」というわけじゃない。
実際
「身体細胞」は常に新しいものに入れ替わっていて
「数日で体の中身は全て別物になる」
なんてことを聞いたこともあります。
そうはいっても
ヒトデのように
「腕1本千切れて再生する」なんてことは
できないけどね。
おもしろいエピソードがあります。
以前、どこかで書いた気がしますが
「寄生獣」という岩明均さんの名作があります。
その作品は
(おそらくは地球の外から来た)寄生生物が人間に取り付いて
「その身体を乗っ取ってしまう」というハナシです。
乗っ取ったその体で「寄生獣」たちは
「人食い」
をするのです。
しかも
「寄生獣たち」は
とても人間が太刀打ちできない能力を発揮して
襲い掛かってくる。
ホラーとしての内容も秀逸ですが
どんどんと深いテーマに読者を引きずりこんでいく
「興味深い作品」でした。
その作品のあとがきに
作者が自分の身に起きたフシギな事を書いています。
少し前に買った大振りのナイフで
コンビニの袋を切っていたそうです。
スパスパ切れるので
面白がって続けていたところ
誤って「自分の指」も切ってしまった。
指先でしたが
「ツメを含む親指の一部が欠損するという結構な大怪我」
だったそうです。
ところが
数日すると「切った付近の肉」が盛り上がってきて
「元の形に戻った」のです。
「無くなったツメの部分」
も元通りに。
人間の体にも
もともと「そういう力」があるんですよね。
今回の研究ってのは
もともと人間の体が持っている「そういう回復力」
を超えるもの。
偉大な成果ではあるのだけど
おそらくは
これでまた
「寿命が延びる」。
でも
「長く生きた先」には
何があるんだろう。
松本先生の「999」で描かれたのは
「限りあるからイミのある人生」。
科学技術が進んでいくのはすばらしいけど
「精神性」が伴わなければ
「さびしいミライ」しか迎えられないのかもしれない。
ゾンビだけど
生きている人の体の一部が「蘇る」のは
ノープロブレムということのようです。
人の皮膚から「万能細胞」 京大グループら作成成功(抜粋)
11月21日 京都新聞
京都大物質-細胞統合システム拠点の山中伸弥教授らの研究グループが
体細胞を遺伝子操作してさまざまな細胞になる能力を持たせた多能性幹細胞
「iPS細胞」を
「人の細胞で作ることに成功」し
米科学誌「セル」電子版で20日発表した。
患者自身の細胞を用いた脊髄損傷などの細胞移植治療の実現に向け
大きな一歩となる成果。
同日、米国の別の研究グループも
米科学誌サイエンスで
ヒトiPS細胞の作成を報告
研究競争のさらなる激化は必至だ。
<山中教授>
①昨年、世界で初めて「マウスでiPS細胞の作成に成功」
②今回、マウスで用いたのと同種の4つの遺伝子を
③ヒトの皮膚の繊維芽細胞にウイルスを使って導入したところ
④さまざまな細胞に分化可能な「ES(胚性幹)細胞」と極めてよく似た
「ヒトiPS細胞」(形態や増殖能、遺伝子発現パターンなどが類似)
の作成に成功
⑤この細胞を培養すると
神経や
筋肉組織などのほか
鼓動する心筋細胞や
腸管様組織
になった
⑥作成に受精卵を用いるES細胞と比べ
⑦iPS細胞は自分の体細胞から作ることができることから
⑧倫理的問題や他人の細胞で起きる拒絶反応も少なく
⑨再生医療への応用が期待されている
→脊髄損傷や心不全、糖尿病などの治療のほか、病因の解明や新薬開発のための実験用細胞としても期待
<山中教授>
「今回の報告で、さらに研究のスピードが上がるだろう。ウイルスを使わない作成手法や、ES細胞との比較研究を進め、ES細胞に代わることのできるiPS細胞を作りたい」
ヒトiPS細胞ができたことで、次の目標は
①ES細胞との比較や導入遺伝子の検討によりES細胞と同等の能力を実証すること
②遺伝子導入に用いるレトロウイルス以外のより安全な作成法の開発
になる。
ES細胞を神経や心筋などに分化させる研究は成果を積み重ねており
iPS細胞の分化の研究も急速に進みそうだ。
<臨床応用が目標の研究>
①山中教授と慶応大の岡野栄之教授らは
②脊髄損傷モデルマウスにiPS細胞を注射すると機能の一部が回復することを確認
③安全性が今後の大きな課題
日本の幹細胞研究のあり方も問われている。
山中教授と同時にサイエンスで発表したのは
世界で初めてヒトES細胞を作った
ウィスコンシン大のジェームス・トムソン教授ら。
「世界初」を独占させないよう
急きょ発表が前倒しされた。
競争の激しさが分かる。
米国は
国や州が
幹細胞研究に多額の資金を投入
主要な大学には
幹細胞研究センターが設置され
多様な分野の研究者が集まっている。
ES細胞よりも制約が少ないため
iPS細胞の研究者はさらに増えるという。
<山中教授>
①今年七月に米国の大学内に研究室を開設し
②日本では認可が難しく実質的に不可能なES細胞との比較研究を進めているが
「個人ではどうにもならない。iPS細胞は日本で生まれたのに、このままでは全部持ち去られてしまう」
中核組織や研究事業の立ち上げなど
国の機動的な対応が問われている。
これ
結構スゴイ話ですよね。
医療の目指すところというか
人間が古くから追い求めているものに
「不老不死」
というものがある。
手塚先生の「火の鳥」なんかもそうだけど
盗作騒ぎで忙しい松本先生の「銀河鉄道999」なんてのも
「永遠の命」
がテーマ。
「賢者の石」
なんていうRPGには欠かせない小道具も
このテーマに関連して出てくることが多いんですよね。
今回の研究の結果次第では
「不老不死」とは言わないけど
「不死身の男」
なんていうのはできちゃうかもしれない。
「細胞を培養すると神経や筋肉組織などのほか鼓動する心筋細胞や腸管様組織になった」
ってことは
「瀕死の重傷」であっても
「組織の一部を培養することで助かる可能性がある」
ということになる。
実際
「脊髄損傷モデルマウスにiPS細胞を注射すると機能の一部が回復することを確認」
という結果も出てるわけで
「交通事故で半身不随」なんてことになっても
その回復が期待できるってことだよね。
こりゃあ、スゲー。
ところで
「再生」といえば
<ヒトデ>(ウィキペディア)
ヒトデ類は再生能力が高いことでも有名である。
腕の一本ぐらいは簡単に再生する。
種によっては腕をつかむと簡単に自切する。
また
「真っ二つになっても再生」し
その場合には
「二匹になる」。
また
常時分裂を行って
「無性生殖している」
ものもある。
たくましい生命力です。
人間のような「フクザツな神経器官」を持っている種では
こうカンタンには行かないんでしょうが
人間が全く「再生能力を持っていない」というわけじゃない。
実際
「身体細胞」は常に新しいものに入れ替わっていて
「数日で体の中身は全て別物になる」
なんてことを聞いたこともあります。
そうはいっても
ヒトデのように
「腕1本千切れて再生する」なんてことは
できないけどね。
おもしろいエピソードがあります。
以前、どこかで書いた気がしますが
「寄生獣」という岩明均さんの名作があります。
その作品は
(おそらくは地球の外から来た)寄生生物が人間に取り付いて
「その身体を乗っ取ってしまう」というハナシです。
乗っ取ったその体で「寄生獣」たちは
「人食い」
をするのです。
しかも
「寄生獣たち」は
とても人間が太刀打ちできない能力を発揮して
襲い掛かってくる。
ホラーとしての内容も秀逸ですが
どんどんと深いテーマに読者を引きずりこんでいく
「興味深い作品」でした。
その作品のあとがきに
作者が自分の身に起きたフシギな事を書いています。
少し前に買った大振りのナイフで
コンビニの袋を切っていたそうです。
スパスパ切れるので
面白がって続けていたところ
誤って「自分の指」も切ってしまった。
指先でしたが
「ツメを含む親指の一部が欠損するという結構な大怪我」
だったそうです。
ところが
数日すると「切った付近の肉」が盛り上がってきて
「元の形に戻った」のです。
「無くなったツメの部分」
も元通りに。
人間の体にも
もともと「そういう力」があるんですよね。
今回の研究ってのは
もともと人間の体が持っている「そういう回復力」
を超えるもの。
偉大な成果ではあるのだけど
おそらくは
これでまた
「寿命が延びる」。
でも
「長く生きた先」には
何があるんだろう。
松本先生の「999」で描かれたのは
「限りあるからイミのある人生」。
科学技術が進んでいくのはすばらしいけど
「精神性」が伴わなければ
「さびしいミライ」しか迎えられないのかもしれない。