日本ユーラシア協会広島支部のブログ

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四国電力伊方原発3号機再稼働に反対する広島市議会決議を求めることについて(2013年9月17日)

2013-10-07 23:43:51 | 日記
四国電力伊方原発3号機再稼働に反対する広島市議会決議を求めることについて(2013年9月17日)
請願第36号
付託委員会: 経済観光環境
審査結果:2013年9月27日 継続審査

●9月27日議案に対する討論
村上議員(日本共産党)馬庭議員(市政改革ネットワーク)
http://www.youtube.com/user/citycouncilhiroshima

●2013年9月26日広島市議会の「経済観光環境委員会」で、「四国電力伊方原発3号機再稼働に反対する広島市議会決議を求める請願」が審査されました。午前10時より広島市役所 議会棟3階 第1委員会室「経済観光環境委員会」が開催されました。
経済観光環境委員:(敬称略)
〈委員長〉 
豊島 岩白(西区/自民党・保守クラブ)
〈副委員長〉 
石橋 竜史(安佐南区/自民党・保守クラブ)
〈委員〉 
星谷 鉄正(中区/公明党)
種清 和夫(安佐南区/自民党・保守クラブ)
馬庭 恭子(中区/市政改革ネットワーク)
月村 俊夫(西区/市政改革ネットワーク)
若林 新三(安佐北区/市民連合)
中本 弘(南区/自民党・保守クラブ)
山田 春男(西区/自民党・保守クラブ)

馬庭恭子さんと月村俊夫さんは、請願の紹介議員。紹介議員のうち、田尾健一さん(安佐南区/市民連合)、山本誠さん(西区/市政改革ネットワーク)、清水良三さん(佐伯区/市民連合)、山内正晃さん(安佐北区/市民連合)は、「経済観光環境委員」ではない。哲野イサクさんが請願の趣旨説明。

広島市議会のHPから、中央の「広島市議会動画チャンネル」をクリックします(中継)。また、左の「本会議・委員会」をクリックすると、上に「議会中継」と出ますので、そこをクリックすると、録画を見ることができます。
 ↓
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/toppage/1000000000002/APM03000.html
http://hiroshima-net.org/yui/

●四国電力伊方原発3号機再稼働に反対する広島市議会決議を求めることについて

 広島市中心部から直線距離で約100キロメートルの所に、四国電力の伊方原子力発電所(以下「伊方原発」という。)がある。

 伊方原発は、2011年3月の福島原発事故発生の後、定期点検に入った1号機~3号機が全て運転を停止しているが、本年7月の原発の新規制基準施行に伴い、四国電力は直ちに伊方原発3号機の再稼働を申請し、原子力規制委員会は、新規制基準をほぼ満たす四国電力伊方原発3号機の規制適合を早期に認めると予想される。原子力規制委員会が規制基準適合判断を行った後、最終的には、政府が再稼働を判断することになる。

 しかし、原子力規制委員会の規制基準を満たしていることと安全であることとは、全く別のことである。下記の「伊方原発危険報告」の項に示すとおり、伊方原発は極めて危険な原発である。

 原子力規制委員会は、「重大事故は起こる」ことを前提とし、苛酷事故が起こる確率を「1炉当たり100万年に1度」とする数値目標を具体的に挙げて、これを目標としている。現実には、1979年のスリーマイル島原発事故、1986年のチェルノブイリ原発事故、2011年のフクシマ原発事故と、およそ10年~20年に1度の間隔で原発苛酷事故は発生している。

 原子力規制委員会にとって原発苛酷事故発生は確率問題であるが、私たち生活者にとって、伊方原発事故発生は確率問題ではない。命、健康、ふるさとに、かけがえはない。伊方原発の苛酷事故は絶対に起こってはならず、「重大事故は起こる」ことを前提とする原発の再稼働を認めることはできない。伊方原発の苛酷事故は百万に一つも起こってはならず、この保証が与えられない限りは広島市民としては同原発再稼働に反対すべきである。

 さらに同原発は苛酷事故を起こしていない通常運転中でも放射性物質のトリチウム(三重水素)を液体(トリチウム水)の形で年間50兆ベクレル以上も瀬戸内海に放出しており、私たち広島市民の健全な市民生活の脅威となっている。この観点からも同原発は一刻も早く廃炉にすべきと考える。

 ついては、私たちの生存権を侵す四国電力伊方原発3号機再稼働に反対する広島市議会決議をしていただくよう連署をもって請願する。



       記

伊方原発危険報告

1 苛酷事故発生の危険性を高める要因

⑴ 伊方原発の燃料-ウラン用原子炉にプルトニウム燃料

伊方原発3号機は157体の核燃料集合体を炉内に装荷して、核分裂で生じる熱を利用して発電を行う。核燃料集合体1体の中には、264本の燃料棒が格納されている。3号機の全ウラン装荷量は約74トンである。広島原爆で用いられたウランを75キログラムと考えると、重量にして約1,000倍のウランが発電に用いられる。

伊方原発3号機は、2006年3月に経済産業大臣からプルサーマル炉への原子炉設置変更を許可され、2010年3月にプルサーマル炉の運転を開始した。プルサーマル炉とは、プルトニウムとウランの混合燃料(MOX燃料)を使用する炉のことである。伊方原発3号機は、もともとウラン燃料用に造られた原子炉であるが、そのウラン燃料用原子炉でプルトニウムとウランの混合燃料の使用を始めた。現在、伊方原発3号機の原子炉には、16体のプルトニウム・ウラン混合核燃料集合体が入っている。

MOX燃料の組成は、プルトニウム239が6%、プルトニウム241が3%、ウラン238が91%である。プルトニウム239の核分裂の熱エネルギーはウラン235に比べ40倍である。また、MOX燃料はウラン燃料よりも溶融点が70℃低い(2,720℃程度)。したがって、プルサーマル炉は通常のウランを燃料とする炉に比べて制御が難しく、燃料溶融の危険も大きい。

⑵ 加圧水型原子炉-蒸気発生器細管の金属疲労

日本で採用されている発電用商業原子炉は、アメリカのGEが開発した沸騰水型原子炉(BWR)か、ウェスチングハウス社が開発した加圧水型原子炉(PWR)かのいずれかである。伊方原発は、加圧水型原子炉(PWR)を採用している。どちらの型も、原子炉内に装荷した核燃料で核分裂を起こし、核分裂で生じた熱で蒸気を発生させて、その蒸気で発電用タービンを回して電気を作るという原理は共通している。

ただし、沸騰水型原子炉(BWR)が原子炉で発生させた蒸気をそのままタービンに送って発電する仕組みになっているのに対し、加圧水型原子炉(PWR)は、原子炉で発生させた蒸気の熱を別系統の水に移して蒸気を発生させ、その蒸気でタービンを回して発電するという仕組みになっている。この熱交換を行う所が「蒸気発生器」である。伊方原発3号機には3基の蒸気発生器がある。

蒸気発生器には、1基当たり約3,400本の電熱管が入っている。この電熱管は、厚さ僅か約1.3ミリメートル、直径約2センチメートル、長さ約20メートルの逆U字型の細管である。細管がこのように薄く作られているのは、熱交換を効率よくするためである。この細管の中を流れる水蒸気は、157気圧、約300℃である。四国電力はこの「高温高圧」について、原子炉容器がこの「高温高圧状態に耐えられるよう、厚さ約20センチメートルの鋼鉄でできています」と説明しているが、蒸気発生器の細管においては、この高温高圧状態を厚さ僅か約1.3ミリメートルの金属壁が受け止めている。

蒸気発生器の細管は、外側を流れる2次系の水や内側を流れる蒸気による振動と放射能とこの高温高圧にさらされ、容易に金属疲労を起こし、変形・磨耗・破断の危険が増す。実際に、1991年2月には、関西電力美浜原子力発電所2号機において、蒸気発生器細管のギロチン破断事故が発生している。

また、本年6月7日、アメリカ・カリフォルニア州にある電気事業者「南カリフォルニア・エジソン社」は、同社のサン・オノフレ原発2号機と3号機の廃炉を決定した。同原発の「蒸気発生器の配管に異常な磨耗があり、安全性に疑問を持った地元市民の激しい反発があり、これに配慮したアメリカ原子力規制委員会が再稼働の許可を与えなかった」ためであると同日付けで共同通信が報道している。同原発の蒸気発生器は2009年に交換されたばかりで、メーカーは三菱重工業であった。伊方原発の蒸気発生器のメーカーも三菱重工業である。

⑶ 伊方原発の使用済み核燃料-間隔を詰めて置かれた大量の核物質

原子炉内で3~4年使用された核燃料は、取り外されて各原発内の使用済み燃料プールに貯蔵され、数年間冷却して熱と放射能を減少させた後、再処理施設に送られて再処理を行うことになっている。ところが、現在、国内の再処理施設である六ヶ所再処理施設には使用済み核燃料受入れの余裕がないので、各原発内に大量の使用済み核燃料が蓄積されている。伊方原発の敷地内には、2011年末のデータで、使用済み核燃料が1,408体蓄積されている(現在はもう少し増えていると考えられる)。燃料棒の数に直すと、約37万本の使用済み核燃料棒が蓄積されているということになる。新燃料に換算して約600トンである。

使用済み核燃料の成分比は、ウラン235が約1%、プルトニウムが約1%、核分裂生成物(セシウム137、ストロンチウム90などの様々な核種から成るいわゆる「死の灰」)が約3%、ウラン238が約95%であり、放射能が非常に高い。伊方原発の敷地内には、約6トンのウラン235、約6トンのプルトニウム、約18トンの核分裂生成物が存在しているということになる。

これらの使用済み核燃料は、伊方原発の各号機に設置されている使用済み燃料プールに貯蔵されている。プールの深さは約12メートルで、底部4メートル(燃料棒の長さとほぼ同じ)の碁盤の目状のラックに使用済み核燃料が収納され、冷却は水で行われている。

伊方原発の使用済み燃料プールの貯蔵容量は、1999年までは1,618体であった。ところが、現在の貯蔵容量は2,609体となっている。これは、「リラッキング」が行われたためである。リラッキングとは、使用済み核燃料を1体ずつ収納するラックの配置間隔を詰めることによって使用済み燃料プールの貯蔵容量を増やすことをいう。リラッキングによって相互の間隔が縮まることは、使用済み燃料の発熱量を高め、事故時の燃料露出や溶融の時間を早め、再臨界のリスクを高める。

⑷ 南海トラフ・中央構造線

地球の表面は一枚の安定した岩板から成っているのではなく、何枚かの岩板から成っていて、日本列島は「太平洋プレート」「フィリピン海プレート」「ユーラシアプレート」「北米プレート」という四つの岩板が接する場所にある。地震は、プレートとプレートが接する所で頻発する。

静岡県から宮崎県にかけての太平洋沖にある「南海トラフ」は、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に潜り込んでいる所にできている海溝である。5月24日、政府の地震調査委員会は「南海トラフの地震活動の長期評価(第二版)」を発表した。「南海トラフの地震」の震源域の北端には、深度30キロメートル付近にフィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界があってそこで深部低周波地震が繰り返し発生している帯状の領域がある。この領域では、プレートがゆっくり滑る「スロースリツップ」という現象が起きているが、プレート間のひずみはスロースリップによって全て解放されているわけではない。南海トラフ沿いの巨大地震が起きると、この領域のプレート境界も引きずられてひずみが一気に解放される(大地震が起きる)可能性がある。伊方原発の建つ佐田岬半島は、この「南海トラフの地震」の震源域の北端の領域に含まれる。地震調査委員会の長期評価は、南海トラフ全域でM8~9クラスの地震が今後30年以内に起こる確率を、60%~70%としている。

伊方原発の建つ佐田岬半島の北側には、日本最大級の断層系である「中央構造線」が走っている。中央構造線は関東から九州にかけて西南日本を縦断する大断層系である。近畿南部から四国にかけては中央構造線に沿って約360キロメートルにわたり活動度の高い活断層「中央構造線断層帯」が見られる。「中央構造線断層帯」の西側にはさらに「別府―万年山断層帯」があり、両者は連続している可能性がある。1596年には、9月1日に中央構造線断層帯の川上断層セグメントでM7.0の慶長伊予地震が起こり、次いで9月4日に別府湾内の別府―日出生断層帯が動いてM7~7.8の慶長豊後地震が発生、さらに9月5日にはM7~7.1の慶長伏見地震が京都で発生した。慶長伏見地震では、四国中央部から東部にかけての中央構造線断層帯も同時に動いたと推測されている。慶長豊後地震の際には、別府湾内にあった島(瓜生島)が地震と津波で一日にして海底に没したという伝承がある。1596年から既に400年以上が経過しており、中央構造線断層帯にはエネルギーが蓄積していると考えられる。

2 苛酷事故が起こった場合の広島市への影響

⑴ 原子力規制委員会のシミュレーションに基づく予測

伊方原発で苛酷事故が起こった場合の広島市への影響を考えるときに、原子力規制委員会が行ったシミュレーションが参考になる。原発苛酷事故が起こり、福島第1原発事故における1号機~3号機の3基分の総放出量(若しくは発電所の出力比に応じた放射性物質量)が一度に放出し、10時間放出が継続したと仮定し、地表面近傍での被曝(ばく)を推定した場合、原発から100キロメートル(伊方原発と広島市中心部との距離)地点での予想被曝(ばく)線量(実効線量)は7日間で4ミリシーベルトとなる。7日間当たり4ミリシーベルトは、1時間当たり約24マイクロシーベルトと換算できる。空間線量率を実効線量に直すときには、係数0.6が掛けられるので、1時間当たり約24マイクロシーベルトの被曝(ばく)をするということは、1時間当たり40マイクロシーベルトの空間線量率の環境にいるということになる。空間線量率40マイクロシーベルト/時というのは、2012年12月6日に福島第1原発敷地内の1号機原子炉建屋から約400メートルの免震重要棟前で計測された空間線量率の約2倍であり、防護服を着用しても長くとどまることがはばかられる線量である。

2013年9月5日に全部改正・施行された「原子力災害対策指針」では、緊急事態において、空間線量率が500マイクロシーベルトになった場合は即時避難を行い、空間線量率が20マイクロシーベルトになった場合は「1週間程度内一時移転」を行うことになっている。広島市は、この「1週間程度内一時移転」を行う区域になることが予想される。しかし、空間線量率40マイクロシーベルト/時という環境に1週間さらされて無事であるとは考えにくい。また、約100万の広島市民を「一時移転」させる場所を確保することは非常に困難である。

さらに、起こり得る苛酷事故が、このシミュレーションが前提としているような福島第1原発事故の程度にとどまる、という保障はどこにもないことを心しておくべきである。

⑵ チェルノブイリ原発事故被災地の現状から

伊方原発で苛酷事故が起こった場合の、広島市への長期的な影響を考えるときには、現在チェルノブイリ原発事故被災地で起こっていることが参考になる。

ウクライナ政府の報告によると、チェルノブイリ原発事故で被曝(ばく)した両親から1992年以降に生まれた子供たちにおいて、「健康な子供」の割合は年を追って低下し、「慢性疾患の子供」の割合は年を追って増加している。1992年には、「健康な子供」の割合が23%、「慢性疾患の子供」の割合が20%であったが、2008年には、「健康な子供」の割合が6%、「慢性疾患の子供」の割合が77%となっている。

また、同じくウクライナ政府の報告によると、チェルノブイリ原発事故での成人避難者において、1988年には「健康」な人の割合が65%、「慢性疾患」の人の割合が35%であったが、2008年には「健康」な人の割合が20%、「慢性疾患」の人の割合が80%となっている。この「慢性疾患」は、非がん性疾患である。

原発苛酷事故が起こった場合、その被災地における健康への影響は、20年のスパンで見たとき、収束に向かうのではなく、確実に増大している。事故の影響が「がん性疾患」に限定されないことにも注意すべきである。

3 平常時の放射性物質放出

伊方原発からは、平常運転中、また運転停止中でも、恒常的に放射性物質が放出されている。「原子力施設運転管理年報」には、各原発から気体として排出された「放射性ヨウ素」・「放射性希ガス」、液体として排出された「トリチウム」・「トリチウム以外の放射性物質」の量が、年度ごとに公表されている。伊方原発からも様々な放射性物質が排出されているが、伊方原発において特に桁違いに排出量が大きいのが、トリチウムである。トリチウムについては、「原子力施設運転管理年報」には液体として排出されたものだけが報告されているが、気体として排出されるトリチウムの量も膨大なものであると考えられる。

伊方原発からのトリチウムの排出量は、日本の原発の中でも特に大きい。2001年から2010年までの10年間に島根原発から排出された液体トリチウムの量が4兆3,500億ベクレルであるのに対して、伊方原発から排出された液体トリチウムの量は552兆ベクレルである。

トリチウムは水素の放射性同位体で、原子核は陽子一つと中性子二つから構成される。ベータ崩壊を起こしてヘリウム3へと変わるときに、18.6キロ電子ボルトのエネルギーを発生させる。半減期は約12年である。トリチウムは水素の同位体であるため、酸素と結合してトリチウム水(三重水素水HTO)という形で存在することが多い。トリチウム水は、普通の水と性質や反応にほとんど違いがないため、普通の水から分離することが難しく、分離するためには非常にコストが掛かる。

トリチウムから発せられるベータ線のエネルギーは小さく、飛距離も短いことから、国際放射線防護委員会(ICRP)や電力会社は、「トリチウムはほぼ無害」と言い続けてきた。

しかし、例えば、減速材・冷却材に重水を使用するカナダのピッカリング原発は、膨大なトリチウムを環境中に放出し(1972年1年間で液体トリチウム40兆ベクレル、気体トリチウム530兆ベクレルを放出)、その周辺では、トリチウムが原因と考えられる健康被害が発生している。

1989年及び1991年に発表された研究報告で、クラークらは、ブルース原発とピッカリング原発近傍で0歳から14歳までの子供36名の白血病死が発生し、その標準化死亡比は1.40で、原発操業開始前と比較すると明らかに有意であることを報告した。また、1991年にジョンソンとルーローは、ピッカリング原発25キロメートル以内地域での先天的欠損症、死産、周産期死亡、新生児死亡、乳児死亡に関する研究を発表し、トリチウムの影響について全体として有意な結果が得られ、特にピッカリング原発からの水蒸気トリチウム排出量と中枢神経系欠損との間に明らかな関連があることを報告した。

トリチウムは、炭素と結合しやすい性質を持っている。トリチウム水に汚染された土地で生育した動・植物の体内には、有機分子の炭素原子と結合したトリチウム(OBT=OrganicallyBoundTritium)が蓄積される。人間は、これらの動・植物を摂取したり、トリチウム水を直接飲んだり吸い込んだりすることによって、体内にOBTを蓄積する。OBTはトリチウム水よりも20~50倍も長く体内にとどまる。また、OBT自身が有機分子の一部を成すので、OBTはDNAなどの重要な有機分子に近い場所にとどまることになる。

また、トリチウムは、生命活動を担う有機高分子化合物にとり込まれた後、元素転換を起こすことで、生体にダメージを与える。タンパク質、酵素、DNAなどの有機高分子化合物は、水素結合によってその構造を保っている。ところが、水素の同位体であるトリチウムは、水素結合を担う水素があるべきところに、水素に代わってとり込まれる。放射性物質であるトリチウムは、ベータ崩壊を起こしてヘリウム3に変わる。ヘリウム3は水素結合を担うことはできないので、トリチウムをとり込んだ酵素、DNAなどの有機高分子化合物は、構造を保つことができず、機能を失ってしまう。

発する放射線のエネルギーが小さく、飛距離が短くても、細胞を構成する有機分子そのものに組み込まれた放射性物質の影響は大きい。国際放射線防護委員会(ICRP)や電力会社のトリチウムによる被曝(ばく)の評価は、OBTの特性や元素転換のもたらす結果を考慮に入れていない。

付言 四国電力管内の発電設備容量

昨年(2012年)夏の四国電力の電力使用のピークは、8月7日の526万キロワットであった。この時期、四国電力のピーク時供給実績は571万キロワットである(2012年8月21日)。

原子力発電を除く四国電力の自社発電設備は、約495万キロワットである。しかし、四国電力管内には、四国電力自社設備以外に、電力を大量に供給できる発電設備が幾つもある。電源開発の橘湾発電所は210万キロワット、電源開発と太平洋セメントが所有する土佐発電所は16.7万キロワットの発電能力を持っている。電源開発の水力発電設備は18.7万キロワットの発電能力を持つ。電源開発は電力の小売は行わず、これらの発電所は全量四国電力に電力を供給できる。さらに、住友共同電力の壬生川火力発電所(25万キロワット)・新居浜西火力発電所(30万キロワット)・新居浜東火力発電所(3万キロワット)・水力発電設備(8万キロワット)があり、四国電力は住友共同電力からも電気を買っている。四国電力は優にピーク時最大750万キロワットの供給能力を持つ。

原子力発電所が稼働しなくても、四国電力は十分な電力供給能力を持っている。
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