岩田家のガラス芸術 BLOG 岩田の事

炎の贈り物 藤七・久利・糸子が織りなす岩田家のガラス芸術

久利への言葉 彩ガラスの四季  10月 植村鷹千代

2010-10-01 09:00:01 | 久利への言葉
岩田久利 彩ガラスの四季  10月

2010年は(久利への言葉)の第一弾として、「彩ガラスの四季」を
12ヶ月にわたって掲載しております。
これは、1983年婦人画報に年間掲載されたものです。

今月は、美術評論家・故植村鷹千代氏です。
藤七の仕事も大変評価して頂きましたが、その深く知的な審美眼で久利の作品を
捉え、藤七との違いも明確な薫り高い文章を頂きました。


優雅さと知性の結合      植村鷹千代(美術評論家)

撮影 藤森 武

 同じ火の芸術として、異質な味わいの土の芸術陶芸と
ガラスの芸術がうまれるのも興味深いが、同じ土の芸術でも
ヨーロッパの陶芸と日本のそれとでは、感性の風土の違いが
明瞭に表れるのが興味深い。ガラスの場合も同じである。
岩田久利さんは、現代の日本のガラス工芸、特に色ガラス
工芸の世界で、日本の美意識の伝統と現代の感覚を結びつけた
先駆者であった父君藤七さんの思想を継ぎ、新しい境地と
作風を開拓して、今日の日本のガラス工芸の最前線を担う
代表的才能者の一人である。久利さんの作風の新しさは、
世代の新しさの反映でもあるだろうが、父君の作風が、鮮明、
重厚な色彩のなかに優雅な古典的渋さを魅力としたのにたいして、
久利さんの作風には、フォルムにも色彩にも、日本的優雅さと
現代的な知性の結合に挑む覇気がみえる。そしてこの覇気が、
抑制のよく利いた大胆さであるところに、信頼できる才能の
美質がある、と私は思う。


岩田久利の作家紹介と経歴はこちら


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