岩田家のガラス芸術 BLOG 岩田の事

炎の贈り物 藤七・久利・糸子が織りなす岩田家のガラス芸術

岩田久利作 「黒窯硝子瓢」 今月の作品  No.4

2010-02-04 17:32:35 | 今月の作品
今月の作品 No.4  2010年2月4日
岩田久利作 「黒窯硝子瓢」

制作年  1993年
サイズ  幅 15.5cm  奥行き 15.5cm  高さ26cm

久利は「瓢・ひさご」の形状を好み、様々な形・色で
微妙にシルエットの異なる瓢を作りました。

晩年、この作品は晩年に作られたそのひとつです。
久利作品にもあるように、晩年は黒の単色で豪快な作品を
多く作りました。表情の異なる黒の表現が特徴です。
これはその手法を用いた晩年の瓢です。




何ともいえない愛すべきくびれ。遊び心を感じさせます。


                                                  撮影 中村明彦

岩田久利の作家紹介と経歴はこちら

「今月の作品」は販売しております。  「黒窯硝子瓢」 ¥300,000
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久利への言葉  彩ガラスの四季 2月 黒澤 明

2010-02-04 12:57:41 | 久利への言葉
岩田久利 彩ガラスの四季 2月

2010年は(久利への言葉)の第一弾として、「彩ガラスの四季」を
12ヶ月にわたって掲載しております。
これは、1983年婦人画報に年間掲載されたものです。

今月は、久利と親交の篤かった黒澤 明監督です。
久利は若い頃から演劇や映画作りに興味を持っていました。
ホテルニューオータニ「鶴の間」のガラス壁面制作の折は、
黒澤監督に照明のご相談をしていました。


2月 雪窓  黒澤 明(映画監督)

撮影 藤森 武


岩田久利は大酒飲みだが、それをあまり責められない男である。
仕事をはじめるとなると、ぴたりと酒をやめて、憑かれたように
見事な作品を次から次へと造り出し、その様子がどうも、
酒に溺れていた間に見た、様々のガラスの幻を大急ぎ実在のものに
しているとしか思えないからだ。また、その作品はすべて、
酔って乱れたようなところは少しもなく、ガラスの急所を掴んだ
練達の職人の業の冴えを見せているからだ。職人などというと、
職人は芸術家より一段下の人間のように考える風潮があるので、
誤解されると困るので申し添えるが、私は職人の腕を持たない
芸術家など偽物だと思っている。バルザックも言っているが、
美の女神は一筋縄では捉えられない。それを捉えるのには、
しっかり抑え込み、それを封じ込める周到な腕前が必要なのだ。
ガラスは灼熱しているうちに加工しなければならない。
そのためには、間髪を入れぬ呼吸と手腕がいる。
想像を絶したきびしい仕事に違いない。


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