岩田家のガラス芸術 BLOG 岩田の事

炎の贈り物 藤七・久利・糸子が織りなす岩田家のガラス芸術

色ガラスの粋 岩田の仕事2-2 黒色のガラス

2012-09-01 00:00:00 | 岩田の仕事
岩田の仕事  No.2 色ガラスの粋(岩田の色) 

2.黒色のガラス

黒色ガラスの製法
黒く見えるガラスは、マンガン、クローム、ニッケルなど、黒に近い色を出す金属を調合して
作られます。厳密に真黒な色はなく、岩田の黒は濃い青系の色で、強い光をあてるとそれがわかります。

黒色ガラスの特徴
黒色のガラスは、同じ温度では色ガラスの中で最も軟らかく、成形する時に扱いが難しい色です。


黒色作品 1 岩田久利作 「黒窯天通文壺」 1991年作 26.5×27.5×27  ホームページ作家紹介欄 掲載作品

この作品は、久利が晩年好んで制作した黒一色を使った壺です。
ツヤのある黒の地に、ツヤのない黒で隆々とした模様がついています。
両方とも同じ原料の黒ですが、ツヤのある方は透明のガラスが被せてあり、
ない方は色ガラスをそのまま使っています。
このように、黒のような不透明色のガラスはそのまま使うとツヤがありません。
二つの使い方で表情を変化させ、岩田独特の意匠としています。


黒色作品 2 岩田糸子作 「白泡墨金彩大皿」 1983年作 57×55×6.5  今月の作品 No.8 2010/7/1 掲載作品

この作品は、糸子の代表的な手法の作品です。
軟らかく、とろりとなじんでしまう黒色ガラスを、白泡地の硬いガラスにのせ、
毛筆で描いたような模様を出しています。
糸子が制作を始めて間もない頃、黒の使用を敬遠する職人さん達を説得、
独特の工夫で挑戦し、以後、藤七・久利も黒を頻繁に使うようになりました。


黒色作品 3 岩田久利作 「黒窯金彩盛器」 1983年作 40×34.5×11  今月の作品 No.23 2011/12/1 掲載作品

この作品は、久利のコンポートです。
白い部分が狭く、黒い部分が拡がっています。
白は硬いので、あまり伸びず、軟らかい黒がひらりと伸びているのが良くわかります。

このように、岩田の作家は色の性質を巧みに利用して、色々な工夫をして作品を作っています。


「今月の作品 No.31 2012/9/1」にて 久利作「黒窯手付壺」を掲載しております。


撮影中村明彦










岩田久利作 「黒窯手付壺」 今月の作品No.31

2012-09-01 00:00:00 | 今月の作品
今月の作品                           2012年9月1日
No.31  岩田久利作 「黒窯手付壺」

制作年  1990年
サイズ  幅 17cm  長さ 13.5cm  高さ 19.5cm

黒一色の器。実は濃い紺色で、ガラスに黒色はありません。


二重の手が、ポニーテールの後ろ姿のようです。


上部は同色のガラス一本で線が巻かれ、小さな斑点が見えます。


下部もやはり同色で波状の模様が浮き出ています。


「色ガラスの粋 岩田の仕事 2-2 黒色のガラス」 で黒色ガラスについて掲載しております。



撮影中村明彦

岩田久利の作家紹介と経歴はこちら

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