一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

一郷一会が威信をかけて ^^: 選定。センター系、スパ銭・・・ お湯さえよければどこでもOK! 料金上限1,200円也。

96.湯岐温泉 「共同浴場」

2005-07-28 00:48:09 | 福島
阿武隈山地にある塙町は、周辺にこれといった観光地もない地味なエリアで、東京方面からだとすこぶる行きにくいところだ。
常磐道「那珂IC」からだとR18袋田・大子経由ないしはR349里美経由。
常磐道「勿来IC」からだとR289の山越えルート。
東北道「白河IC」からだとR289棚倉経由。
3方向からルートがあるということは、裏返せば下道が長いということで、とにかくアクセスに時間がかかる。そんな不便な山のなかに、温泉好きを惹きつけてやまない名湯が湧く。

湯岐(ゆじまた)は安土桃山時代、天文年間の開湯伝承をもつ歴史ある温泉場。山あいの小盆地のようなところに「山形屋旅館」「和泉屋旅館」「井桁屋旅館」の3軒の宿があり、どこも自炊ができる湯治宿のようだ。おそらく温泉集落と思われるここは、隠れ里のような好ましげな佇まいをみせている。

この温泉場の中心は、岩風呂(共同浴場)で、湯治客もみなここに入りにくるらしく、昔ながらの”外湯”のイメージが強い。古くから「中風の湯」として知られ、湯治客は一回30分から1時間、一日に4~5時間も浸かる長湯のメッカである。

共同浴場は「山形屋旅館」のそばにあり、無人なので「山形屋旅館」で入浴受付をしている。混浴で浴室のすぐよこに脱衣所があって、目隠しがないので慣れない女性はキビシイか。(もっとも、湯慣れていない客はここにはこないかと思うが・・・(笑))。
加温槽 (2人、適温)と源泉槽(7.8人、ややぬるめ)の2槽があり、自然の岩とタイルを組み合わせた異色の浴槽である。
休日の15時ごろ訪れたが、湯治客らしき先客の4人はしばらくして上がり、その後は独占状態となった。

源泉槽は、加温槽からの流し込みがあるが、メインは浴槽底からの自然湧出で浴槽端の湯面排湯口から流し出す源泉かけ流し。源泉槽の一部深くなったところは岩肌で、岩のあいだから気泡とともに源泉が湧出する貴重な足元湧出泉である。

源泉槽は絶妙のぬる湯で、無色透明で微石膏味に微石膏臭。弱いヌルすべと包み込まれるようなやさしい湯ざわりで、少量ながらアワつきもある。ほこほことして身体が軽くなるような、なんとも快感度の高いお湯で出たくなくなる。浴後は肌がすべすべとなる美人の湯系のお湯でもある。

しかし、成分総計=0.1452g/kgという地下水並みの濃度で、この絶妙の浴感はまさに神懸かり的。古くからあるうす湯の名湯は、”自然湧出泉のまろみ”とか”熟成されたお湯”などと表現されることがあるが、このお湯などはまさにそれかと思う。

東京圏からの日帰りはかなりきびしいが、”鄙びたぬる湯でまったり”が好きな人にはとくにおすすめの一湯である。

単純温泉 39.8℃、pH=9.8、湧出量不明、成分総計=0.1452g/kg、Na^+=25.2mg/kg、Cl^-=6.5、HCO_3^-=26.9、CO_3^2-=33.8、HSiO_3^-(ヒドロメタけい酸イオン)=38.0 <H6.9.27分析>

レポはこちら。(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」)

文・画像 別働隊@うつぼ

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