一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

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41-2.伊香保温泉 「露天風呂」-2 (探索編)

2005-07-12 18:51:08 | 群馬
”こま口”という、中世からの伝統的分湯制度を今日も残す伊香保温泉。今回、やませみさん&一郷一会有志で探索を決行したので、その成果 (^^; を報告します。
なお、「温泉今昔物語その18(伊香保温泉) 木暮金太夫著 (地熱エネルギーVol.19No.4 1994年)」を適宜参考(数値等引用*印)にしています。

<歴史>
・伊香保温泉の湧出は6世紀といわれ、湯元(現在の露天風呂周辺)にいくつかの浴舎があったが手狭となり、中世天正年間に現在の石段街に移転・引湯がなされた。

<源泉>
・旧来の伊香保の源泉は8ケ所の自然湧出泉であった。昭和23~34年にかけて、湯量増加を目的として6本の温泉井掘削がなされた結果、旧源泉の湯量の激減と温度低下をきたしほとんど使用不能となった。(新規掘削後の総湧出量は旧源泉湧出量とほぼ同量)
・現在の主な源泉は掘削井6本のうちの5本(1.2.4.5.6号泉)で、すべて深度400m*以内の比較的浅い井戸である。
・湧出量がもっとも多いのは露天風呂よこの2号泉の1210L/min*でこれが主力源泉。泉温がもっとも高いのは砂防堰堤上の6号泉で65.9℃*。総湧出量は約5000L/min*。
・これら掘削泉に自然湧出泉を併せた源泉は集められ総合湯(本線)として、自然流下等により石段街などに引湯されている。
・3号泉は水位調査井、5号泉は飲泉所用として使われているらしい。
・これら新旧の源泉は、湯沢川紅葉橋より上流、砂防堰堤上にかけての約300mの谷筋に集中している。また、源泉の熱源は、6世紀に活動した二ッ岳の火山活動の余熱と考えられている。

<泉質>
・自然湧出泉のなかには単純温泉もあるが、湧出量の多い2号泉の泉質をうけて、総合湯(本線)の泉質はCa・Na-SO4・HCO3・Cl泉となっている。

●本線(混合泉)の分析書データ
Ca・Na-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物温泉 40.9℃(平成10年10月現在44.3℃)、pH=6.4、3300L/min、成分総計=1.28g/kg、Na^+=105mg/kg (30.99mval%)、Mg^2+=29.5 (16.56)、Ca^2+=142 (48.29)、Fe^2+=8.28、Cl^-=118 (23.42)、SO_4^2-=301 (44.06)、HCO_3^-=282 (32.42)、陽イオン計=296 (14.7mval)、陰イオン計=701 (14.2mval)、メタけい酸=177、メタほう酸=7.7、遊離炭酸=98.6 <H9.7.18分析>

<引湯による影響>
・湯元から石段街下のベルツの湯まで約2.1km*の自然流下による引湯がされているため、これによる泉温や泉質への影響が考えられる。
・泉温変化は以下のとおり。
 '88/3/29調査* 湯元45.4℃ → 金太夫小間口45.0℃ → ベルツの湯第1受湯槽41.8℃
 '88/12/10調査* 湯元46.5℃ → 金太夫小間口46.1℃ → ベルツの湯第1受湯槽42.7℃
・石段街上部にある金太夫小間口までは大きな温度低下はなく、非加熱で利用できる範囲であり、実際、石段街には本線を非加熱利用している旅館がいくつかある。(下記参照)
・成分的にはCO2の減少と鉄分の変化が顕著。とくに鉄分は、湯元付近では溶存態(Fe^2+)であったものが、引湯されるにつれて懸濁態(Fe^3+)へと変化する。
・露天風呂では貝汁臭のする緑がかったうす懸濁湯、石段街の旅館ではやや赤みがかった濁り湯、ベルツの湯では鉄サビ臭の強い濃い赤茶濁り湯というふうに変化していく。

<まとめ>
●このように伊香保のお湯は鉄分を多く含むため、引湯によるお湯の変化が体感的に味わえる。
●泉源分布から考えて、「伊香保露天風呂」がいかに恵まれた立地にあるかが判る。
●伊香保でのおすすめは、やはり「伊香保露天風呂」と下記の石段街周辺の本線かけ流し施設かと思われる。

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湯元~石段街周辺の本線(黄金の湯)のみ使用のかけ流し施設は以下のとおり。(伊香保町HPより、平成17年7月)
(○:通年非加温槽あり / □:殺菌処理なし槽あり)

伊香保露天風呂 ○□ ・・ 橋本ホテル □ ・・ ホテル紅葉 □
柏屋旅館 □ ・・ 横手館 □ ・・ 金太夫旅館
吉田屋旅館 ○□   ・・ 岸権旅館 □ ・・ 金田屋旅館 □
有明館 ○□   ・・ 青山旅館 □ ・・ 丸本館 □
千明仁泉亭 ○□ ・・ 観山荘 □ ・・ 村松旅館 □
市川旅館 ○□    ・・ 石坂旅館 □ ・・ 古久屋旅館 ○□
森秋旅館 □     ・・ ホテル木暮 □ ・・ 町営石段の湯 □

■伊香保のレポ(石段街、青山旅館、露天風呂)はこちら。(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」)

           文・画像 別働隊@うつぼ