散日拾遺

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上達の要諦 ~ 90切りたきゃ、ボールは打つな!

2013-10-15 08:26:32 | 日記
2013年10月15日(火)

またまた碁の話で恐縮ですが。

週刊『碁』に「棋士の本棚」という記事が連載されている。
最近号で佐々木毅六段が、摩季れい子という人の『90切りたきゃ、ボールは打つな!』を紹介した。

佐々木六段の親しい友人に、かつては日本棋院関西総本部で院生をしていたという異色のプロゴルファー、谷昭範という人があって。
摩季さんはスポーツトレーナーだが、ゴルフについてはクラブを握ったこともない素人で、
それが谷さんのスイングを見て、一目で問題を指摘したんだそうだ。

当然、「何でこの人にそんなことを言われにゃならんの?」という反発も疑問もあったはずだが、途中を省略して谷プロが摩季さんを師匠と仰ぐようになった結末から、指摘の正しかったことが雄弁に証されている。

「身体機能学的に正しい動きというものがあり、それはゴルフだろうが何だろうが変わらない」ということだったらしい。

さらに標題の意を汲めば、
「身体機能学的な筋道を外していくらボールを打っても上達しない」
もう一つ進んで
「身体機能学的な基本を外したスイングでボールを打つなら、打てば打つほど悪いスイングを固定させることになり、つまり打てば打つほど下手になる」
ということにもなるだろうか。

これは、たぶん誰しも思い当るところがある。
僕がまっさきに思い当たるのはほかならぬ碁のことで、我流をあらためずにむやみに対局を重ねていては、上達するどころか下手が身に沁みついてしまう、しっかりした碁のスイングを身につけないとダメなのだ。

だけど面白いことに、佐々木六段はゴルフの話に終始していて、碁にはまったく触れていない。プロだから碁についてはあたりまえなので、大好きなシュミであるゴルフのことで頭がいっぱいなんだね。ちょうど僕が碁で頭をいっぱいにしているのと同じだ。

さてと、それで。
碁ならどうなる?むやみに対局ばかりしないで、プロの棋譜を並べ、詰碁を解きなさい、か。
シュミだからね、喜んでやりましょう。

しかし、本業ではどうしたら良い?
むやみにヘボな診療を繰り返すのではなくて、臨床の基本を・・・
やたらにヘタクソな我流の文章を書いてないで、筆法の基本を・・・

困ったな、どうやったら身につくんだろう?


(週刊『碁』2013年10月14日号)