BACH SONS
CARL PHILIPP EMANUEL BACH
JOHANN CHRISTIAN BACH
WILHELM FRIEDEMANN BACH
JOHANN CHRISTOPH FREIDRICH BACH
(BRILLIANT CLASSICS 99785)
子沢山の大バッハの息子たちの多くが、音楽家となっています。
ですから、このCDセットのような企画も当然生まれてくるわけで、この他にも何種類かのCDが入手できます。
その中で、この BRILLIANT CLASSICS のセットは7枚組。
C. P. E. バッハが3枚、J. C. バッハが2枚、W. F. バッハと J. C. F. が各1枚という構成です(それにしても順列組合わせのような名づけ方!)。
小生も、聴いたことのない曲がほとんどで、そういう意味からも、なかなか興味深いセットでしょう。
それにお値段も、国内盤の高い CD1枚と、ほとんど変りがないのです(何で国内盤は、あんなに高いのでしょ?)。
さて、楽曲の方ですが、個人的には、C. P. E. バッハが最も面白く聴けました。
元々、C. P. E. B. は好きな部類の作曲家だったので、初めて聴くような気はしません(以前にも、『チェンバロとピアノの二重協奏曲』や『ソナタ ホ短調とロンド ト長調』をご紹介しています)。
前には「素朴な音楽」として捉えていましたが、なかなかどうして、そう単純なものじゃあない。
歴史的/様式的には「大バッハのバロック時代とハイドン、モーツァルトなどの古典派時代とを結ぶ音楽」ではあるのですが、それなりの独自性を持っています。
岡田暁生『西洋音楽史』(中公新書)によれば、バッハの息子たちの世代は、前古典派の時代に属し、
「エマニュエル・バッハはベルリンで活躍し、とりわけ鍵盤曲における激越な主観表出で知られた。鍵盤楽器の名手だった彼の音楽は、いわばフランツ・リストの18世紀版のようなところがある。(中略)彼は瞬間的な気分の揺れを直接鍵盤に叩きつけるような音楽を書いた。」となります。
しかし、このような感情表出は、必ずしも鍵盤楽器の曲だけではなく、このCDでは、チェロ協奏曲にも端的に現れているのではないでしょうか(イ短調、変ロ長調、イ長調と、すべてのチェロ協奏曲が収録されているが、特にイ短調のそれに最も強く現れている)。
「前古典派の曲なんて……」
とお思いの方には、一度耳にされることをお勧めします。