一風斎の趣味的生活/もっと活字を!

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『ラファエル前派の世界』を読む。その1

2005-09-23 11:07:59 | Book Review
〈ラファエル前派〉って、意外と知られていないのね。
小生手持ちの『カラー版西洋美術史』(高階秀爾監修、美術出版社刊)には、取り扱われていない。19世紀絵画というと、フランス中心の動きになって、イギリスの〈ラファエル前派〉などは傍流扱いなんでしょう。
したがって、日本では、美術史というよりは文学史の方で知られているかもしれない。

例えば、漱石。
芳賀徹氏の『絵画の領分』(朝日新聞社刊)では、
「ダンテ・ガブリエル・ロセッティ、ウィリアム・モリスなど、漱石自身親しんだラファエル前派」
と出てくる。

それでは〈ラファエル前派〉とは、どのようなスクールなのか。

話は、1848年9月に遡ります。
「『ラファエル以前』の絵画の再発見により、ハント、ミレイ(一風斎註:ジョン・エヴァレット)、ロッセティの三人は一様にそれまでの美術教育に対する疑念と不満を噴出させ、イギリス美術界の刷新の必要性を痛感しだした。」
そして、他の仲間を含め「計七名のメンバーで『ラファエル前派兄弟団』を結成」したのが、この年のことでした。
「グループ命名の由来は、ラファエルによって代表される盛期ルネサンスではなく、それ以前の十五世紀イタリア絵画およびフランドル派への讃美と憧憬にあった。」

以下、続く。


斎藤貴子
『ラファエロ前派の世界』
東京書籍
定価:本体2800円+税
ISBN4487800846