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「安いモノ天国」日本のこの幸せな生活が終わる日  202111

2021-11-10 14:12:00 | なるほど  ふぅ〜ん

「安いモノ天国」日本のこの幸せな生活が終わる日
  東洋経済onlain より 211110   松崎 のり子:消費経済ジャーナリスト


 牛丼や100均、小麦粉製品など激安価格に慣れ親しんできた日本人。しかし、コロナ禍のせいで、その「安いニッポン」が終わってしまうかもしれません(© 2014 Bloomberg Finance LP)
 岸田内閣がぶち上げた「新しい資本主義」。コンセプトは「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」だそうだが、具体的に何がどうなるのかはわからない。

 国民が願っているのは、とにかく所得が上がることだろう。日本が長らくデフレに苦しんできたのはご存じのとおり。
 そのため、すっかりわれわれは激安価格に慣れてきた。給料が上がらないのだから、買う人の懐に合わせてモノの値段も上げられないのは当然だ。
 逆に言うなら、モノが安いからこそ安い給料でも何とか生きてこられたともいえる。

 しかし、コロナ禍のせいで、その安いニッポンが終わるのではないかと心配している。給料が上がるならいいが、「成長と分配の好循環」はまだ始まっていないので、それもおぼつかない。
 家計費を直撃しそうな今後の値上げと、それに対処するすべはあるのか。新しい資本主義ならぬ、「新しい節約主義」はありうるのか考えてみたい。

⚫︎「食」が値上がり、安い外食にもダメージ
 長引く巣ごもり自粛によって、毎月の食費や日用品代が増えているのは誰もが感じるところだ。そんな状況の中、続々と食品値上げのニュースが報道されている。

 輸入小麦については、農林水産省が製粉会社などに売り渡す小麦の価格が10月から引き上げられ、その値上げ幅は令和3年4月期と比べ19%にも上る。
 それを受けて、日清フーズが来年1~2月からの商品価格改定を発表、小麦粉製品は約3~6%、パスタ、パスタソース製品約3~9%、冷凍食品約4~7%の値上げとなる。
 しかも、小麦粉製品は7月に、そばやパスタ・パスタソース製品は9月にも上がったばかりだ。

 毎日食卓に上るパンの値上げ報道も相次いでいる。山崎製パンは2021年1月から「ロイヤルブレッド」「超芳醇」などの食パンを平均9%、わが家でもよく買う「ナイススティック」などの菓子パンを平均6.8%ほど値上げすると発表した。同じく、敷島製パンも1月から一部商品を約4~14%上げるという。

 食用油も、2021年だけで4回もの値上げになった。日清オイリオは11月から家庭用の食用油を、1キログラム当たり30円以上引き上げる。粉や油の値上げの影響もあり、冷凍食品まで上がる。ニチレイは家庭用冷凍食品の価格を11月から約4~8%アップするが、理由として「油」「畜肉原料」「小麦粉」の急激な価格高騰を上げている。困ったときのお助け食品まで、値上げの波にさらされているのだ。

⚫︎小麦粉の価格も厳しい
 無論、これは家庭用だけではなく、業務用も同様だ。東京での1人暮らしでは、自炊より外食のほうが安くなることもあった。実際に、ワンコイン以下でランチが食べられる夢のような国だったが、この先もそうとは限らない。
 粉や油が上がると、麺類や揚げ物などのコストが上がる。また輸入食肉価格の高騰も続いており、牛丼チェーン松屋は「牛めし」を値上げした。食品全体がじわじわ上がっているのだ。

 大きな要因は、やはりコロナだ。生産地や工場での働き手不足による生産停滞、コンテナ不足による運賃の高騰、経済活動が急激に回復しつつある各国との取引価格競争など、供給が需要に追い付かないため、値段が下がる要因がない。
 幸い、日本は米だけは安定しているので、弁当も丼も、ごはんの量だけは増えていく……なんてこともあるかもしれない。

 また、10月からは働く人の最低賃金も引き上げになった。歓迎すべきいいことではあるが、その人件費もコストに乗ってくる。人件費を削って利益を上げる――なんてやり方は、難しくなる一方だろう。

⚫︎デフレの申し子・100均も絶滅の危機?
 コロナ遠因のコスト高騰は、別の身近な価格にも影響を及ぼしそうだ。アジアで工場の稼働が止まる、輸送費がより上がる、さらには後でも触れるがエネルギー価格がとんでもなく上がりつつある現状では、これまで海外で安く製造してきた100円グッズ業界が苦しくなるのではと危惧している。

 先の食品とは違い、「原材料費が上がったので来月から値上げします」と言えないのが、価格を固定している100均グッズだ。先日も、業界大手のキャンドゥがイオンの子会社になる道を選んだが、このままでは収益確保が厳しいという台所事情もあったのだと想像する。

 過去連載でも取り上げてきたように、多くの100円ショップは、すでに300円・500円といった多価格帯戦略をとっているとはいえ、それでも主力は100円商品のはず。いつまでワンコインにこだわり続けることができるか、心配だ。

 100円ショップも、牛丼チェーンも、いわばデフレの申し子だ。しかし、“安さ至上主義のビジネス”は、そろそろ金属疲労を起こしているのではないか。

 コロナで物流が止まったことで、低価格のために安い労働力を海外に求めることの限界が見えた。世界的な供給不足で、商品確保のためには相応の金を積まないと他国に競り負けてしまうこともわかってきた。

 さらに、エネルギー価格の高騰も先が見えない。脱炭素の動きが加速し、産油国は増産に後ろ向きだ。原油価格は上昇し、ガソリンや灯油高を招く。企業にも重くのしかかってくるだろう。かかったコストを製品価格に転嫁しなくては利益は上がらない。

 欧州で問題になっている天然ガスの高騰は、これから冬を迎える日本にとって問題だ。発電燃料に使われるLNG(液化天然ガス)の価格上昇は電気代に跳ね返り、コロナで在宅時間が増えた家計を直撃する。ガソリン代の上昇も、車が欠かせない暮らしには大ダメージだろう。

 この先、新興国が経済成長していくにつれて、人件費もどんどん上がっていくだろう。さらに世界的に消費が活発になれば、ますますモノの価格は上がる。
 日本を覆ってきた奇跡的な安さは、いよいよ幻になるかもしれない。

⚫︎価格の安さより、トータル支出額で節約を
 給料が上がらなくても、「安さ」のおかげで耐えてこられた日本の家計は、厳しい時代を迎えるかもしれない。

 物価が上がるリスクを想定して、今こそ、家計費の配分から見直しをしたい。増えるものの予算を増やし、減らさせるものは削る。
 食費や日用品、光熱費は増加、逆に外出にかかる支出(例えば被服費や交際費)は削るか、あるいは毎月の家計費からではなくボーナスから半年分の予算を組む方法もある。

 また、口座引き落としになっている支払いを改めて見直す。契約したこと自体忘れている月額課金サービスはないか、ひと月目は無料と聞いて会員になり、そのままなんとなく利用料を払い続けている会員サービスはないか。棚卸しをして、少しでも不要な支出を減らそう。

 食費についても、これまでは安い店で安くモノを買って予算内に収めるのが王道だったが、かかる時間とコストとのトータルで考えることも必要だろう。
 ガソリン代が上がるなら、なるべくまとめ買いをするか、ネットスーパーや宅配を利用したほうが安く済む場合もある。

 コロナ自粛で、買い物に行く回数が減った人も多いだろう。食品は大容量パックで買うことで、時間と手間の節約にもなる。大容量の食材を買うとそのあとの使い切り調理が面倒で、そこが逆効果となることもあったが、いっそ家事代行サービスで、第三者に料理の作り置きを依頼するのも一案だ。

 週予算を決めたうえで、それに応じた品数をまとめて作ってもらうのだ。保存できる数日分を一度に作れば光熱費の節約にもなるし、なんといっても料理にかける時間が減るので、それを仕事時間に充てることもできる。
 家事にかける時間は減らし、お金を稼ぐ時間を増やすというのも立派なやりくり法だ。

⚫︎買って所有ではなく、利用料を払う
 安いモノを購入することで支出を減らすというのが従来型の節約法だが、安いモノがこの先減っていくなら、やや高めでも価値の落ちないものをあえて買う選択もある。

 メルカリなどフリマアプリ利用者の声によれば、「買う前に、まずいくらで売れるかを調べる」という人が半数以上とか。特に若者層では、リセールバリューから逆引きで購入を決めるのは珍しくないようだ。

 購入した価格と、その後に売れた価格の差が、いわゆる「自分が使った期間の使用料」と考える。「所有のために買った」のではなく「使用料を払った」感覚だ。

 筆者のような昭和脳では最初はピンとこなかったが、捨てることをよしとしないSDGs的思考とも思えてくる。

「使用料」は収入が少ない、増えない世代だからこそ生まれた発想かもしれない。しかし、どうせこの先あらゆるモノの値段が上がるのであれば、あえて「売れる」ものから選ぶのも立派な節約法となる。

 ただ安いモノを買っていればよかったデフレ時代は、そろそろ終わる気がしてならない。激安好きの筆者だが、安さの裏側には苛烈なコストカット競争があり、
 それがわれわれの収入をも安くしてきたのだとすると、覚悟を決めて物価上昇を受け入れるべきなのか。

 対抗策としてできることは、時間の効率を上げ、稼ぐ時間を増やすこととも思う。同時に、政府が「成長と分配の好循環」を速やかに実現してくれるよう願う。

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安倍文殊院 冬の寺宝展  21/12/01〜22/02/28

2021-11-10 14:01:00 | 〽️ 行事・新案内等 控え

安倍文殊院 冬の寺宝展
 EventBankPress より 211110

◆安倍文殊院

⚫︎安倍文殊院に伝わる寺宝
 安倍文殊院の境内にある金閣浮御堂、安倍仲麻呂公及び安倍晴明公の御尊像が祀られており、内陣参拝ができる。
 堂内では秘仏の月天、地天、毘沙門天の御尊軸が公開される。
 また晴明公の御軸や陰陽道に関する古文書、季節によって数々の寺宝を展示している。
  大変貴重な機会。

⚫︎開催日時  2021年12月1日(水)~2022年2月28日(月) 9:00~17:00
備考 受付は16:30まで
会場 安倍文殊院 金閣浮御堂   奈良県桜井市阿部645
料金 有料  霊宝館 700円 本堂参拝 700円 二ヶ所共通 1,200円

⚫︎アクセス
公共交通:JR・近鉄「桜井」駅よりバス約7分、安倍文殊院前より約1分
車:南阪奈道葛城ICより約20分
駐車場 あり 200台 一回500円
お問い合わせ  0744-43-0002(安倍文殊院)
ホームページ  https://www.abemonjuin.or.jp
イベント備考
-
※掲載の情報は天候や主催者側の都合などにより変更になる場合があります
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世界で加速する「核融合技術」商用化、巨額投資が流入  202111

2021-11-10 12:26:00 | 気になる モノ・コト

世界で加速する「核融合技術」商用化、巨額投資が流入
 ニュースイッチ by 日刊工業新聞 より  211110


 米核融合産業協会(FIA)と英国原子力公社(UKAEA)は、初となる核融合産業の共同調査報告書をまとめた。
 グローバルに展開する核融合関連の民間企業35社のうち23社が回答。うち12社が過去5年間に設立され、回答した23社だけで合計18億7200万ドル(約2130億円)もの資金を調達するなど、核融合技術の商用化に向けた動きが世界で加速している。(藤元正)

 共同調査報告書「グローバル核融合産業2021」によれば、企業所在地別の回答は米国13社、英国5社、カナダ・独・仏・中・印・豪の各国がそれぞれ1社。
 日本企業はなかった。調査対象は核融合のコア技術を担う民間企業で、サポート産業は除いてある。

 目標市場(複数回答)についての質問では回答の9割を超える22社が発電とした。また、半数近い11社が宇宙での推進動力源、8社が産業用熱源などを想定していると答えた。技術分野別では13社が磁場閉じ込め、5社が磁場慣性閉じ込めに取り組む。

 回答した約7割の企業が2030年代に世界のどこかで送電網に接続した形での核融合発電が実現すると見込んでいるのに対し、約2割は40年代以降にずれ込むと予測。
 また、9割は30―40年代の段階で宇宙分野に応用されるとみている。

 一方、回答した23社がこれまで調達した民間資金は17億8600万ドルで、政府の補助金などは8500万ドル(四捨五入の関係から合計額と一致しない)。
 中でも米コモンウェルス・フュージョン・システムズ、カナダのゼネラル・フュージョン、米TAEテクノロジーズ、英トカマク・エナジーの4社で民間資金の約85%を占める寡占ぶりが際立つ。

「核融合産業は今、エキサイティングな時代を迎えている」。報告書の冒頭にこうあるように、脱炭素の流れを受け、夢のエネルギーを生み出す先端産業に巨額の投資資金が流入し、業界全体が勢いづいている。
 同報告書ではこうした投資面に加え、核融合実用化に向けた政府による規制の枠組みづくりなどの支援も強調している。
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老化予防のカギとなる、秋から冬の変わり目の過ごし方  202111

2021-11-10 12:21:00 | 健康関連

老化予防のカギとなる、秋から冬の変わり目の過ごし方
 OZmall編集部 より 211110


 11月といえばまだまだ秋というイメージが強いけれど、11月7日に立冬を迎えていて、暦の上では秋から冬への変わり目のとき。
 実は、この時期の過ごし方が老化の進行を大きく左右するのだとか。老化を予防するためにはこの時期にどんなケアをするのがいいのか、ニホンドウ漢方ブティック薬日本堂 青山店の薬剤師・漢方相談員、岸直美さんに教えてもらおう。

【冬にしっかりとエネルギーを蓄えることが老化予防につながる】
自然界の植物や動物の活動は、季節ごとに変化をしている。
 例えば植物は、春になると芽が出て伸びていき、夏になるとさかんに光合成して多くのエネルギーを生み、秋になると活動が落ち着いて葉が枯れ落ち、冬になると種を土に落として春を待つ…というサイクルを繰り返す。
 岸さんによれば、東洋医学では人間の体も自然と同じように四季にあわせて変化すると考えられているという。

「春は植物が芽を出して伸びていくように,人間の体は心身が伸びやかに活動しはじめます。
  夏は活動がさかんになって最もエネルギッシュな状態になり、
   秋は植物の葉が枯れるのと同様に人間も皮膚や粘膜が乾燥しやすくなります。
 そして冬は、植物の種が地中で栄養を蓄えるように、人間の体も活動を低下させてエネルギーを体の内側に蓄えるようになるのです」岸さん

 冬の間に蓄えたエネルギーは,そのあとにくる春、夏、秋を健康に過ごすための土台となるため、冬にエネルギーを十分に蓄えることができないと季節の変化に体がついていけなくなり,不調を招いたり老化が進みやすくなるのだと,岸さん。
 特にこれからの時期に、耳鳴り,むくみ、頻尿、夜間尿、白髪などが現れてきたら,エネルギーの不足による老化のサイン。
 冬の始まりであるこの時期から体内のエネルギーを蓄えるように意識することが、不調予防と老化対策の大切なポイントなのだそう。

【エネルギーを蓄えるために見直したい生活習慣とは】
 体内のエネルギーを逃さないためにまず行いたいのは、“首がつく場所”をしっかり防寒すること。
 首元、手首、足首などの“首がつく場所”には、気(き=エネルギー)や血(けつ≒血液)の通り道である「経絡(けいらく)」が集まっているため、冷えてしまうと気や血の巡りが悪くなってエネルギーを蓄えにくくなってしまう。
 この時期から首元、手首、足首をしっかり覆う衣類を着るほか、42℃ぐらいのお湯で手湯や足湯をするのもおすすめ。

 また、エネルギーを蓄える場所である腰も冷やさないように注意して。腰回りをしっかりと防寒し、鍋やスープなどの温かい食事をよく取って体の内側からも温めよう。

 エネルギーを蓄えるためには睡眠を長めに取ることも大切で、特にこの時期からは“早寝遅起き”を意識してみて。

「立冬を過ぎると、寒さでエネルギーを消耗しやすくなります。できれば夜11時、遅くとも夜0時には寝て睡眠をしっかり取ることがエネルギーの回復につながります。ただし、太陽が昇る前に起きると体を冷やしてしまうため、これからの時期はあまり早起きはせず、朝日が昇ってから起きるようにしましょう」(岸さん)

そのほか、激しい運動や無理なダイエットなども、エネルギーの消耗につながるのだとか。暦の上で冬にあたる、立冬から節分までは控えめにしよう。


【老化予防】
 食事面では、この時期から黒い食材を積極的に取るようにしてみて。黒豆、黒米、黒ごま、黒砂糖、海藻類などの黒い食材は、エネルギーを蓄える助けとなり、老化対策にもなるのだそう。
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日本が先行しているアンモニア発電は脱炭素の切り札となるか 202111

2021-11-10 12:08:00 | なるほど  ふぅ〜ん

日本が先行しているアンモニア発電は脱炭素の切り札となるか
  EnergyShift編集部 より 211110


 燃やしても二酸化炭素を出さないアンモニアを発電に活用する動きが加速している。2021年10月から石炭に代わる脱炭素燃料として、日本最大の石炭火力発電所での燃焼実験がはじまった。
 経済産業省は最大700億円を投じて、2030年までにアンモニアだけで発電する技術を確立させる目標を掲げる。アンモニアは脱炭素の切り札となりうるのか。

⚫︎アンモニア発電とは
 政府は、今年10月に閣議決定した第6次エネルギー基本計画の電源構成に、水素やアンモニアによる発電をはじめて盛り込んだ。
 水素と窒素の化合物であるアンモニアは燃えても、下記の化学式の通り、窒素と水しか生成しない。
     4NH3+3O2→2N2+6H2O

 既存の石炭火力発電所で、アンモニアを粉状の石炭に混ぜて燃やすと、アンモニアを混ぜた分だけ、CO2排出量を減らすことができるため、石炭火力に代わる新たな発電方式として期待が高まっているからだ。

 だが、燃やしてもCO2を出さないという点では、水素も同じ。では、なぜ、アンモニアを使うのか。水素の沸点がマイナス252.6℃であるのに対し、アンモニアはマイナス33℃。つまり、液化しやすく取り扱いやすい。また輸送や貯蔵のインフラも整っている。
 しかも、アンモニアは製造技術が確立されており、化学肥料の原料や樹脂、殺虫剤、火薬の原料として、国内ですでに年間約108万トン(2019年)使用されている。水素より実用的で、アンモニアをそのまま火力発電に転用できれば、そのメリットは大きい。

◆日本が先行しているアンモニアを使用した発電。世界初の燃焼試験も・・・

⚫︎世界初の燃焼試験がはじまった
 石炭からの燃料転換に向け、日本でもアンモニア発電の実証試験が2021年10月からはじまった。
 東京電力ホールディングスと中部電力が共同出資するJERAは、大手機械メーカーのIHIと協力して、日本最大の石炭火力発電所である、碧南石炭火力発電所(発電出力800万kW)で世界初の燃焼試験をはじめた。

 JERAは、まずは少量の混焼からはじめ、2024年度にはアンモニアの比率を20%まで引き上げ、CO2の排出を削減する計画だ。そして2050年の脱炭素に向け、アンモニア100%の火力発電を目指す。

 一方、ガス体であるアンモニアは石炭だけではなく、天然ガスの代替燃料としての利用も期待されている。

 三菱重工は、100%アンモニアで稼働するガスタービンの実用化に向け、4万kW級のガスタービン開発に乗り出している。
 ところが、アンモニアは燃焼時にCO2が出ない一方、有害な窒素酸化物(NOx)が出ることが課題となっている。三菱重工では空気の量を調整することでNOxの発生を抑え、2025年以降に実用化し、発電所へ導入する計画だ。

 アンモニアを使った発電技術は日本が先行しており、海外展開も期待されるだけに、日本政府も支援強化を図っている。
 経済産業省は脱炭素技術の開発や普及を促す国の2兆円基金から最大700億円を投じ,
2030年度までにアンモニア100%発電の技術を確立し,2040年代に実用化する目標を掲げる。

 日本でアンモニア発電に対する動きが加速する背景には、火力発電、とりわけCO2排出量が多い石炭火力への国際的な批判が高まっていることがある。

 日本も2030年までに効率の悪い石炭火力を廃止する方針だが、まだ150基(2020年7月時点)の発電所があり、電源構成の32%を占めている。
 さらに天候などで出力が変動する再生可能エネルギーを調整する役割があるとして、2030年時点でも19%の電源を残さざるをえない状況だ。
 そのため、既存の石炭火力を活用しながら、CO2排出量を可能な限り減らすためにアンモニア発電の実用化が急がれている。
 さらに、アンモニア発電の技術が確立できれば、石炭火力への依存度が高い、アジア各国に輸出し、CO2の排出量を削減できる可能性が広がる。

ただし、普及に向けては残された課題も多い。

◆普及に向けた2つの課題・・・

⚫︎普及に向けた課題とは何か
 課題のひとつが、供給量だ。
世界のアンモニア生産量は年間2億トン程度で、貿易量は2,000万トンにとどまり、日本の消費量は約108万トン。
 一方、石炭火力1基に20%のアンモニアを混ぜる場合、年間50万トンのアンモニアが必要になり、わずか2基で今の国内消費量に相当してしまう。
 国内生産だけではまかないきれず、安定調達に向けては世界的な供給網を構築する必要がある。

 二つ目の課題が、アンモニアの製造過程にある。
アンモニアは400℃〜500℃の高温、しかも、100気圧〜300気圧という高圧下で窒素と水素を合成して、製造される。窒素は空気中に大量にあるが、問題は水素だ。
 現状は石炭や天然ガスを改質してつくった水素を原料としている。

 つまり、化石燃料由来のアンモニアを使う限り、脱炭素燃料とはいえず、アンモニア発電を完全な脱炭素電源とするためには、水から再生可能エネルギーを使った電気分解で水素を取り出すグリーン水素や、製造過程で出てきたCO2を地中に埋めるブルー水素を使うことが欠かせない。
 つまり、グリーン水素やブルー水素の供給が拡大しなければ、カーボンニュートラルなアンモニア発電は実現できないというわけだ。
 アンモニアの脱炭素化に向けた取り組みは、原油や天然ガス、石炭の産出国である中東やオーストラリアなどではじまりつつある。

⚫︎産油国ではじまったグリーンアンモニア製造
 産油国のアブダビでは化石燃料からの構造転換に向けて、グリーンアンモニア製造のプロジェクトに取り組む。80万kWの大規模な太陽光発電所の電気を使って、水を電気分解し、年間4万トンのグリーン水素をつくり、この水素から20万トンのアンモニアを合成するという。
 世界有数の石炭とガスの産出国であるオーストラリアでも、Asian Renewable Energy Hubと呼ばれる計画が進行中だ。2,600万kWの風力発電、太陽光発電のうち、2,300万kWの再エネから大量のグリーン水素やグリーンアンモニアの製造を目指している。

 このほか、欧州では洋上風力の電気を利用したグリーン水素・グリーンアンモニアの計画が複数進行している。

 IEA(国際エネルギー機関)は、世界が2050年カーボンゼロを本気で目指すのであれば、2030年までに約18EJ(エクサジュール、ジュールの10の18乗)のブルー水素およびグリーン水素が必要となるが、現状の政策ではまったく足りないと予想している。

2030年のシナリオ別の低炭素水素および水素ベースの燃料供給

出典:IEA(国際エネルギー機関)

◆日本は世界をリードできるのか・・・

⚫︎日本も安定調達に向け供給網を構築へ
 日本もアンモニアの安定調達に向け動き始めた。政府は天然ガスなどの産出国であり、大量の再エネも利用できる可能性がある中東などで生産段階から日本企業が関わることで、供給量の確保を急ぐ。

 JERAと資源開発企業INPEXは、UAE(アラブ首長国連邦)の国営石油会社と連携してアンモニアを製造、輸入し、火力発電の燃料としての利用を目指している。
 提携にあたっては経済産業省が仲介役を果たした。

 伊藤忠商事は東シベリアからアンモニアを日本に輸送しようと、事業化調査を進めている。IHIは、マレーシア最大の電力会社、テナガ・ナショナルと提携し、アンモニア発電を共同で取り組む方針だ。再エネを使ったアンモニア製造も実施する。
 今後も日本が先行するアンモニア発電技術をもとに、石炭火力への依存度が高いアジア各国との連携は深まる見込みだが、政府にはグリーンアンモニアの確保に向けた新たな燃料・エネルギー外交が求められている。

 経産省の試算では、発電コストは水素と比べれば大幅に安いが、石炭や天然ガスよりは高く、コスト低減も欠かせない。
 また再エネをそのまま使うのではなく,水素をつくり,その水素からアンモニアを合成するため,エネルギー効率も悪い。
そのため,電力需給がひっ迫する冬や夏など,特定の季節に使うといった工夫も必要だろう。

 アンモニア発電は、将来のカーボンゼロ発電としてその注目度は高い。
 しかも、日本が世界に先行する技術でもあり、マレーシアでの展開もはじまった。
 コストや効率性、資源調達など課題は抱えるものの、官民あげての技術開発に今後も期待したい。

出典:経済産業省

(Research:本橋恵一)
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