goo何気無い日々が心地よい安寧

何気無い日々が続く様に。生きていく事の大変さがカナン。ある種空気の様な存在になりたいもの。

📗 『とてつもない数学』 ‘20/07/12 控え

2020-07-12 23:23:00 | 📗 この本

永遠に続く「円周率」は、Googleによって、小数点以下31兆4000億桁まで計算されている
            永野裕之   20200712

天才数学者たちの知性の煌めき、絵画や音楽などの背景にある芸術性、AIやビッグデータを支える有用性…。とても美しくて、あまりにも深遠で、ものすごく役に立つ学問である数学の魅力を、身近な話題を導入に、語りかけるような文章、丁寧な説明で解き明かす数学エッセイ『とてつもない数学』が6月4日に発刊。発売4日で1万部の大増刷となっている。

教育系YouTuberヨビノリたくみ氏から「色々な角度から『数学の美しさ』を実感できる一冊!!」と絶賛されたその内容の一部を紹介します。

◉無理数は永遠に続く
 円周率はいわゆる無理数である。無理数というのは(分子も分母も整数の)分数で表すことができない。これは小数点以下に規則性のない数が永遠に続くことを意味する。

 逆に(分子も分母も整数の)分数で表すことができる数(有理数という)は、小数点以下の数字が有限個で終わるか、永遠に続く場合はその並びに規則性がある。円周率は無理数であるから、数の並びに終わりはない。「最後の数字」は存在しないし規則性もないのだから答えることはできない。まさに「?」なのである。

 ところで、円周率が無理数であることは、紀元前4世紀のアリストテレスは既に予想していたようであるが、ドイツのヨハン・ハインリヒ・ランベルト(1728~1777)や、フランスのアドリアン=マリ・ルジャンドル(1752~1833)によって実際に証明されたのは18世紀後半のことだった。

 アルキメデス的な正多角形を用いた円周率の「見積もり」は、無限に続くものを有限のもので「近似」しているに過ぎない。おのずと限界が見えてくる。

 そこで、代数学の父の一人でもあるフランソワ・ヴィエト(1540~1603)は、無限に続く数の掛け算で円周率を表すことを考えだした。

 ヴィエト以降、円周率の計算は、このような無限に続く数式で計算する方法へと大きく舵をきることになる。

◉Googleの驚くべき発表
 小数点以下に不規則(ランダム)な数が無限に続くということは――有限の数の並びであれば――どのような数の並びも円周率の中には含まれるということである。あなたの誕生日と一致する4桁の数の並びはもちろん、地球上のいかなる人物の生年月日であっても、それと一致する8桁の数の並びがそこには存在するのだ。

 もっと言えば、文字情報をコンピュータに理解させるときのように、言葉を数値に変換すれば、シェイクスピアの『ハムレット』の全文を丸々数値に変換したものとまったく同じ数字の並びを見つけることだってできるだろう。これもまた「無限」の果てしなさを感じる話である。

 ただし、以上の話が成立するためには、円周率の数の並びが完全にランダム(そういう数の並びを乱数という)でなければならない。これまでにわかっている円周率の数字の並びの中から0~9の数字のそれぞれの出現回数を調べると、ほぼ同数になっていることからも、おそらく円周率の数字の並びは乱数であると思われているが、数学的な証明はまだなされていない。

 ◉2019年の3月14日(円周率の日)に、アメリカのGoogle社は、日本出身の岩尾エマはるかさんが、円周率を小数点以下31兆4000億桁まで計算することに成功したと発表した。

 これは、2016年に作られたそれまでの記録を約9兆桁も更新する、ものすごい記録である。岩尾さんは12歳のときから円周率の計算に興味を持ち、かつて円周率計算の世界記録保持者でもあった筑波大の高橋大介教授のもとで計算科学を学んだらしい。

 円周率は正確な値が絶対にわからない数である。それにもかかわらず、円周率はおよそ円とは関係がなさそうな分野も含めて、ありとあらゆる数学や自然科学の数式の中に顔を出す。実に神秘的で不思議な「定数」なのだ。

「そんな重要な数なのに正確な値がわからないというのは不便だろう」とでも思ったのか、19世紀末のアメリカのインディアナ州で、なんと法律によって円周率の値が決められそうになったことがある。エドワード・J・グッドウィンという医師兼アマチュア数学者が「直径10の円の円周の長さは32である」という内容を含む論文を議会に提出したところ「グッドウィンの論文を数学の新しい真理として認め、青少年にこれを無償で教育する」という法案が作られてしまったのだ。

 この論文を認めると円周率はちょうど3・2ということになってしまう。しかも、こともあろうに、このトンデモ法案は下院において満場一致で(!)可決されたというから驚く。そのときたまたま州知事のもとを訪れていた数学者に、この法案の存在が知らされたことは、インディアナ州の若者たちにとって幸運だった。慌てた彼は「円周率の正確な値は決して定めることができない」と、夜を徹して上院議員たちに詳しく説明したそうである。そのおかげで、上院ではこの法案は無期限延期の議案となった。

(本原稿は『とてつもない数学』からの抜粋です)

永野裕之(ながの・ひろゆき)
永野数学塾塾長
1974年東京生まれ。父は元東京大学教養学部教授の永野三郎(知能情報学)。東京大学理学部地球惑星物理学科卒。同大学院宇宙科学研究所(現JAXA)中退後、ウィーン国立音大へ留学。副指揮を務めた二期会公演モーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」(演出:宮本亞門、指揮:パスカル・ヴェロ)が文化庁芸術祭大賞を受賞。主な著書に『大人のための数学勉強法』(ダイヤモンド社)、『東大→JAXA→人気数学塾塾長が書いた数に強くなる本』(PHP研究所)など。これまでに1000人以上の生徒を数学指導してきた実績を持ち、永野数学塾は、常に予約キャンセル待ちの人気となっている。NHK(Eテレ)「テストの花道」出演。朝日中高生新聞で『マスマスわかる数楽塾』連載(2016ー2018年)。朝日小学生新聞で『マスマス好きになる算数』連載(2019ー2020年)。

数学は、美しくて、深遠で、役に立つ――著者より
 1から1000に増えるまでには約2ヵ月かかった。その後、11日で2000にまで増えた。さらに、3日後には、3000を超えてしまった。

 これが何の数字かおわかりだろうか? 新型コロナウイルスの日本国内における感染者数の推移である。WHOによると、新型コロナウイルスは1人の感染者からおよそ2人(正確には1・4~2・5人)に感染するそうである。これは、感染者の数が1人→2人→4人→8人→16人……と「倍々ゲーム」で増えていくことを意味する。

 「倍々ゲーム」を1から始めた場合、「→」を4回重ねても16にまでしか増えないが、10回重ねると1024まで増える。「→」を20回重ねれば、なんと100万を超えてしまう。このように同じ数を繰り返し掛けることによる変化を「指数関数的変化」と呼ぶ。最初はゆるやかにしか増えないのに、途中から爆発的に増えるというのは、指数関数的増加の最大の特徴だ。冒頭に紹介した感染者数の推移はまさにこの特徴にあてはまる。 

 もし数学がなかったら、私たちはかつて経験したことのない事態に見舞われたとき、ただ呆然と立ち尽くすか、「予言者」を名乗る人物の言葉を信じるしかないだろう。しかし、数学があれば、たとえ未曾有の感染病であっても、モデルを作り、論理的考察を重ねることで、確度の高い予想を立てることができる。それは未知の問題を解決する緒になる。

 現代は、第四次産業革命の真っ只中にある。コンピューターとインターネットの普及によって、AI(人工知能)、IOT(モノのインターネット)、ビッグデータなどが産業に大きな変化をもたらしているのだ。そうした中で、数学の存在感は益々大きくなっている。国家や企業の命運を左右する戦略の決定から、ごくごくプライベートな問題に至るまで、数学の守備範囲は極めて広い。

 たとえばイギリスの数学者ピーター・バックスは、2009年に「なぜ僕には恋人ができないのか?」という論文を書いた。その中で彼は、いわゆる「フェルミ推定」を使い、自分が理想とする女性がロンドンには26人いるはずだと算出している(ロンドンの人口を考えると、そのうちの誰かと出会える確率は極めて低いと結論した)。

 「フェルミ推定」というのは、既知のデータといくつかの推定量を掛け合わせてだいたいの値をはじき出す手法のことを言う。GoogleやMicrosoftなどが入社試験に「東京にはマンホールがいくつあるか?」のような問題を頻繁に出したことから「フェルミ推定」は注目を集めるようになった。

 また、つい最近、こんなニュースもあった。京都大学数理解析研究所の望月新一教授が8年前に書いた「ABC予想」についての論文の査読(内容チェック)が終わり、その正しさが確認されたという。誠に素晴らしいことであるが、このニュースを聞いて「正しいかどうかを判定するのに8年も?」と驚かれた方は多いのではないか。この論文は、発表された当時「理解できる数学者は10人もいないだろう」と言われた。数学はときに、世界最高ランクの頭脳が束になっても叶わないような高い知性を必要とする。

 この度上梓させていただく『とてつもない数学』には、数学の、こうしたとてつもない懐の広さと魅力について書いた。数学の学問としての奥深さ、美しさを体現する芸術性、実学としての社会への影響力などを、文系の読者にも読みやすいように、できるだけ噛み砕いて書いたつもりである。また、ことり野デス子さんの可愛く、それでいて数学的に的を射たイラストもふんだんに盛り込まれているので是非お楽しみいただきたい。

 歴史に名を残す数学者の姿も書いた。彼らについて知れば、数学は人類が脈々と受け継いできた「叡智の結晶」であることがわかるだけでなく、クールな数式の裏に隠された熱いドラマにも胸を打たれることだろう。

 私自身は、高校時代に物理を通して数学の「とてつもなさ」を知った。公式として覚えさせられた数式の数々が、微分・積分によってすべて繋がることを知ったときの興奮と感動は今でもはっきりと覚えている。それは私にとって、数学という世界の扉が開いたような心持ちになる出来事だった。

 その後は、数学の持つ合理性と美しさをどこにでも発見することができたし、数学が教えてくれるものの考え方が人生を生きる上での指針になることも知った。

 1つの「とてつもなさ」をきっかけにして、こうした経験を積んだことこそ、私が数学の意味と意義とお伝えすることをライフワークにしていこうと決心した最大の理由である。数学の「とてつもなさ」が私の人生を変えたと言っても過言ではない。

 本書が、読者にとっての「数学の扉」が開くきっかけになることを願っている。

■新刊書籍のご案内

『とてつもない数学』永野裕之 著、定価1700円+税
ヨビノリたくみ氏絶賛!
「色々な角度から『数学の美しさ』を実感できる一冊!!」

天才数学者たちの知性の煌めき、絵画や音楽などの背景にある芸術性、AIやビッグデータを支える有用性…。とても美しくて、あまりにも深遠で、ものすごく役に立つ学問である数学の魅力を、身近な話題を導入に、語りかけるような文章、丁寧な説明で解き明かす。文系でも楽しめる究極の数学読物!

 数学の概念や理論・方法論は、主に16世紀以降、物理学、化学、生物学、天文学といった基礎科学はもちろん、工学、農学・医学、経済学といった実学にも応用され、さらには哲学や芸術までにも拡がった。そして、第四次産業革命(AI、IOT、インターネット、ナノテクノロジー、自動運転といった技術革新があらゆる場面の産業に引き起こしている技術変革)が進行中の現代では、数学の存在感は益々大きくなっている。

 これからは、数学と無関係なものは何もない、と言えるところまで拡大していくのではないだろうか。そういう意味では数学の「とてつもなさ」は、今もなお発展中なのである。

 本書では、ピタゴラス、デカルト、フェルマー、ニュートン、ライプニッツ、オイラー、ガウス、カントール……などの天才数学者たちの功績を紹介し、彼らがもたらした方程式、関数、微分積分、集合、確率、統計……といった数学上のブレイクスルーの意味をお伝えした。また、負の数、虚数、無限、N進法といった概念や、円周率やネイピア数という不思議な定数とその影響力の大きさ等についても書いた。

 数学の大きな魅力の1つである「美しさ」にも1章を割いたし、魔法陣や万能天秤といったパズル的な話題を通して、数そのものの不思議さが感じられる「計算」も紹介した。我ながらヴァラエティに富んでいると思う。それだけ数学という学問は間口が広いのだ。

 本書で紹介した数学の学問としての奥深さ、美しさを体現する芸術性、実学としての社会への影響力などを通して、数学の「とてつもなさ」が――どれかひとつでも――伝わっていますように。そして、あなたにとっての「数学の扉」が開くきっかけになりますように。(本書の「おわりに」より)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

🚶‍♀️…右岸…隠元橋…左岸…巨椋大橋…伏見港… 200712

2020-07-12 18:34:00 | 📖 日記
🚶‍♀️…右岸河川敷下り…隠元橋…左岸堤防道…同河川敷…観月橋下…近鉄高架橋下…左岸堤防道…左岸44km碑…同43km碑…巨椋大橋…右岸…東高瀬川京阪架橋踏切…同右岸沿…三栖閘門…伏見港公園…中書島駅~宇治…宇治橋袂…右岸迂回路…>
🚶‍♀️16874歩

朝:遂に近隣で,くま蝉の小合唱…
天気は一旦落ち着くも川大増水中…
 放流756m3/s,隠元橋26°
曇天だが時折陽射しさすも歩き易く発汗少
 
宇治川公園では野球盛況
 河川敷の草丈高く茂る。
  濠川は停滞
伏見港公園:室内プール開いてた。
 電車は空いている

室🌡26°~24° で過ごし易い。


近鉄奈良線宇治川高架橋

観月橋下の水位計に水

観月橋の水道橋,車用高架橋

観月橋下流直ぐ

近鉄奈良線高架橋と遠望に伏見桃山城

44km碑付近

同 高架橋と遠望に伏見桃山城

左岸43km碑周辺



巨椋大橋袂より



同橋 右岸側より三栖閘門

同 周辺

東高瀬川京阪架橋にて

三栖閘門と十石舟

濠川水門 停滞



 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする