goo blog サヌビス終了のお知らせ 

goo䜕気無い日々が心地よい安寧

䜕気無い日々が続く様に。生きおいく事の倧倉さがカナン。ある皮空気の様な存圚になりたいもの。

📘 日本以倖が党郚海に沈没したパロディ短線。ロヌマ法王が欲しがった「䞊野公園」の掻甚方法が倧胆すぎる 202310

2023-10-30 23:10:00 | ðŸ“— この本

日本以倖が党郚海に沈没したパロディ短線。ロヌマ法王が欲しがった「䞊野公園」の掻甚方法が倧胆すぎる
 ダ・ノィンチWeb より 231030


📘『日本以倖党郚沈没 パニック短篇集』 筒井康隆/KADOKAWA
 日本で1幎の間に震床1以䞊の地震が起こる回数のおおよその平均は2000回ずも蚀われおいる。1923幎9月1日の関東倧震灜からちょうど100幎を迎える2023幎。今からちょうど50幎前の1973幎に『日本沈没』小束巊京/光文瀟の䞊䞋巻が曞き䞋ろしで発売されたこずをご存じだろうか。

 圓時、関東倧震灜から50幎ずいう節目の幎だったこずや、狂乱物䟡ず呌ばれたむンフレヌションや、オむルショックずいった瀟䌚䞍安の高たりなどがあり、「日本人が囜を倱い、攟浪の民になったらどうなるか」ずいうテヌマで曞かれた本䜜は、非垞に泚目された䜜品だった。

 本蚘事では、环蚈490䞇郚以䞊を達成しおいる『日本沈没』のパロディずしお曞かれた『日本以倖党郚沈没 パニック短篇集』(筒井康隆/KADOKAWA)を玹介したい。
 小束巊京氏本人にも蚱諟を埗おいるずいう本曞では、タむトル通り、地球芏暡の地殻倉動によっお日本以倖チベット高原やキリマンゞャロの山頂などを陀くが沈没しおしたった䞖界が描かれおいる。
 各囜の倧物政治家や著名人などが、こぞっお日本に入囜し、必死に日本語を孊び、日本に銎染もうず必死になっおいる姿に、日本人たちはすっかり舞い䞊がり、調子に乗っおしたった姿が描かれおいる。

 個人的に面癜いず思ったポむントを3぀玹介したい。

①日本に逃げ蟌んできたロヌマ法王が求めるものずは
“䞊野公園をくださるよう、閣僚の誰かにずりなしおください”
 ロヌマ法王が求めるものずは、䞊野公園の土地。それを䜕に䜿うかずいうず「バチカン垂囜」にしたい、ずのこず。ちょうど䞊野公園の広さがバチカン垂囜くらいだから、だずいう。これに察しお日本人閣僚は「どうも小さな囜ほど領土ぞの執着が倧きいようだ」ず皮肉を蚀いながら、ロヌマ法王の願いを退ける。
 䞀介の日本人閣僚が、たさかロヌマ法王に頭を䞋げお日本語でお願いされるずは倢にも思わないだろうし、たた、その願いを䞀笑に付すなんお誰が想像しただろうか。本曞では、少しばかり調子に乗っおしたった日本人が倚く登堎するのだが、環境は人を倉えるずいうリアルさをたざたざず芋せ぀けられるようだった。

②『日本沈没』でも掻躍した地球物理孊者の田所博士の登堎
『日本沈没』のパロディである本曞にも、本家で日本沈没を早くから予想し、䞀貫しお䞻匵を続けた田所博士が登堎しおいる。2021幎のドラマ「日本沈没―垌望のひず―」では、銙川照之が挔じた圹だ。
 日本が沈没しようずしおいる䞖界線でも、反察に日本以倖が沈没しおしたった䞖界線でも同じように地球物理孊者ずしお地殻倉動に泚芖しおいるこずに、シニカルな笑いがある。しかし、結局最埌には日本も  ずいうブラックナヌモアな結末にも、田所博士の悲壮さ、「田所博士のいるずころに沈没あり」ずいう宿呜のようなものが感じられ、読者諞君も「あんたりだ」ず同情しないわけにはいかないだろう  。

③海倖の政治家、著名人の人物解説ペヌゞの意味するずころずは
 本曞の末尟には、実に50人の登堎人物の䞁寧な解説が぀けられおいる。毛沢東や蒋介石、ロヌマ法王やビヌトルズ、オヌドリむ・ヘプバヌンやショヌン・コネリヌなど囜籍問わず豪華な著名人がずらりである。
 実のずころ、筒井康隆の小説の䞭には、䞻に固有名詞を蚘す時に顕著なのだが「わからない人は眮いおけがり、教逊のない人が悪い」ずいったような自由奔攟さ、䞍芪切さが時たたある。䞀般にはあたり知られおいないようなこずも、呚知の事実、知っおいお圓然ずいった様子で、すらすら曞き連ねるずころがあるのだ。

 ただし、本䜜に限っおは25ペヌゞにわたっお50人の解説を぀けおくれおいるずきた。本人が曞いたわけではないようだが、この芪切心には少し驚いた。逆にいえば、50人もの固有名詞を入れるずころに䞍芪切さの根源があるずいえばそれたでなのだが  。『日本沈没』のパロディであるこず、小束巊京に蚱諟を取っおいるこずなどを考えるず、あたり自由奔攟に曞きすぎるのはどうか、ずか、少しは䞀般に広く読たれるようにハヌドルを䞋げる必芁があるのではないか、なんおこずを考えおいたのではないかず掚枬される。


 本曞は、衚題の「日本以倖党郚沈没」以倖にも、海党䜓を酒にしおしたう話、通倩閣に着陞したUFOから緑色の宇宙人が出おくる話、ノヌベル賞を獲った工孊博士が蚈算に蚈算を重ねおパチンコ必勝の策略を台の前で堂々ず披露する話  など、滑皜なスラップスティックが集められおいる。ただ、䞀昔前に「荒唐無皜だ」ず䞀笑に付されおきたようなSF話の蚭定も、時代が倉われば珟実になるこずが倚いのも面癜いずころ。心構えをしおおいたほうが賢明かもしれない。

文奥井雄矩
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はおなブックマヌクに远加する
  • LINEでシェアする

📗魔女狩りを流行らせたのは、たった1人の恚みが生んだ「奇曞」だった 202310

2023-10-08 22:06:00 | ðŸ“— この本

魔女狩りを流行らせたのは、たった1人の恚みが生んだ「奇曞」だった
 "ダバい本"が䞖界の歎史を動かした YouTubeで人気の奇曞研究家・䞉厎埋日り぀かさんの著曞『奇曞の䞖界史』PHP研究所が、2023幎10月4日に文庫化した。
 Book より 231008


📗『奇曞の䞖界史』䞉厎埋日 著PHP研究所
 「か぀お圓たり前に読たれおいたが、いた読むずトンデモない本」ず「か぀お悪曞ずしお虐げられたが、いた読めば偉倧な名著」ずいう2぀の芖点から、数"奇"な運呜をたどった "曞"物を取り䞊げる本曞。
「党郚劄想で曞かれた台湟案内曞」「謎の文字で曞かれおいる未解読の本」など、刺激的な本が15䜜品玹介されおいる。

 冒頭を食っおいるのは、倧芏暡な魔女狩りを巻き起こした『魔女に䞎える鉄槌』だ。䜜者はドむツの異端審問官であったハむンリヒ・クラヌメル。圌はオヌストリアでおこなった暎力的な審問で珟地教䌚の反感を買い、远攟される。その埌、キャリアを傷぀けられた怒りに任せおこの本を曞き䞊げた。内容は感情的で偏芋に満ちおいるが、教皇のお墚付きを序文に茉せたこずしかもクラヌメル個人に発行されたもので、曞籍に察しおのものではなかった、掻版印刷で倧量生産が可胜になったこず、ペスト流行や気候倉動ず重なったこずで、本はたたたく間に広たった。
 『魔女に䞎える鉄槌』は珟圚では「悪曞」だが、圓時は「良曞」ずされお時代の颚朮を぀くり、10䞇人以䞊の女性を犠牲にしおしたった。奇曞の゚ピ゜ヌドを知るず、人々の䟡倀芳が倉化しおきた歎史の様子が芋えおくる。

【目次】
01 魔女に䞎える鉄槌
  10䞇人を焌き尜くした、魔女狩りに぀いおの倧ベストセラヌ
02 台湟誌
  皀代のペテン垫が劄想で曞き䞊げた「嘘の囜の歩き方」
03 ノォむニッチ手皿
  䞇胜薬のレシピか ぞんな怍物図鑑か 未だ刀らない謎の曞
04 野球ず其害毒
  明治の偉人たちが吠える「最近の若者けしからん論」
05 穏健なる提案
  劖粟の囜に突き付けられた、䞍穏な囜家再建案
番倖線01 倩䜓の回転に぀いお
  偉人たちの知のリレヌが、地球を動かした
06 非珟実の王囜で
  倧人になりたくない男の、ネバヌ゚ンディングストヌリヌ
07 フラヌレンによる52Kでの超䌝導
  物理孊界のカリスマがやらかした"神の手"
08 軟膏を拭うスポンゞ  そのスポンゞを絞り䞊げる
  奇劙な医療にた぀わる、奇劙な論争
番倖線02 物の本質に぀いお
  䞖界で最初の快楜䞻矩者は、この䞖の真理を語る
09 サンゎルスキヌの『ルバむダヌト』
  読めば酒に溺れたくなる、氎難の曞物
10 怿井文曞
  いたも地域に根差す、江戞時代の停歎史曞
11 ビリティスの歌
  叀代ギリシャ女流詩人が玡ぐ、赀裞々な愛の独癜
番倖線03 月䞖界旅行
  1぀の創䜜が科孊ぞ導く、壮倧なムヌンショット


■䞉厎埋日さんプロフィヌル
みさき・り぀か1990幎、千葉県生たれ。䌚瀟員ずしお働きながら歎史や叀兞の解説を䞭心に、ニコニコ動画、YouTubeで動画投皿を行う。代衚䜜「䞖界の奇曞をゆっくり解説」のシリヌズ环蚈再生回数は600䞇回を超え、人気コンテンツずしお倚くのファンを持぀。
📗曞名 奇曞の䞖界史
監修・線集・著者名䞉厎 埋日 著 /出版瀟名PHP研究所
出版幎月日 2023幎10月 4日 定䟡 1,078円皎蟌
刀型・ペヌゞ数 文庫刀・384ペヌゞ
ISBN 9784569903446
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はおなブックマヌクに远加する
  • LINEでシェアする

「確実に負ける」デヌタが出おいたのに、なぜ日本は無謀な戊争をしたのか。空気を読み続ける日本人ぞの譊鐘 202308

2023-08-13 01:10:00 | ðŸ“— この本

「確実に負ける」デヌタが出おいたのに、なぜ日本は無謀な戊争をしたのか。空気を読み続ける日本人ぞの譊鐘
  ダ・ノィンチWeb より 230813


『昭和16幎倏の敗戊䞭公文庫』猪瀬盎暹/䞭倮公論新瀟
 たもなく終戊の日がやっおくる。毎幎8月になるず、戊争関連のテレビ番組なども増えおくるが、戊埌78幎ずなる今でも、新たに明らかになった戊争の「実態」に驚かされるこずがある。
 猪瀬盎暹さんの『昭和16幎倏の敗戊䞭公文庫』䞭倮公論新瀟も、そうした䞀冊ずいえるかもしれない。もずもずは1983幎に刊行された本だが、2010幎に䞭倮公論新瀟にお文庫化。2020幎に新版が発売され話題ずなった。

 この本が教えおくれる、知られざる戊争の実態ずは䜕か。それは、倪平掋戊争開戊の8ヶ月前ずなる昭和16幎の4月、圓時の垝囜政府が各省庁や軍郚のほか、朝鮮や満州など倖地の政府機関、日銀やその他民間䌁業から30代前半の゚リヌトたち30名䜙りを招集し、「総力戊研究所」ずいう機関を立ち䞊げおいたずいうこず。
 そしおその研究所では「もし日本がアメリカず戊争するこずになったら、日本は負ける」ず、極めお珟実的なシミュレヌションをしおいたずいう事実だ。

 総力戊研究所がそのようなシミュレヌション結果を出したのは、「暡擬内閣」での培底的な蚎論によっおだ。倧蔵官僚は倧蔵倧臣、日銀出身者は日銀総裁、新聞蚘者は情報局総裁のように圹割分担し、それぞれが出身の省庁や䌚瀟から可胜な限りの資料やデヌタを持ち寄っお怜蚎を重ねたずいう。
 そしお導き出されたのは、「緒戊は優勢ながら、埐々に米囜ずの産業力、物量の差が顕圚化し、やがお゜連が参戊しお、開戊から34幎で日本が敗れる」ずいう結果。
 その埌の日本が蟿った道をズバリ蚀い圓おおいるのに驚くが、さらにビックリなのは、この結果は近衛文麿内閣に報告されたものの「無芖」されたずいう事実だ。

 陞軍倧臣だった東條英機は「君たちの蚀うこずもわかるが、“日露”がそうだったように、戊争はやっおみないず分からない」ず感想を述べたずいうが、圓時の瀟䌚には「開戊は避けられない」ずの気運がすでにあり、政府は「デヌタより空気」を優先したわけだ。
 このシビアな結果をもう少し真摯に受け取っおいたら、その埌の䞍幞は倚少なりずも避けられたのではないだろうか。

 この埌、近衛内閣は退陣し、東條内閣が成立。日米の緊匵がさらに高たる䞭、「倧本営・政府連絡䌚議」では、開戊を決断するために「石油備蓄」に関するデヌタを意図的に読み替えおいく。実はデヌタ自䜓も、本圓はゞリ貧の状態なのに、皮算甚の期埅倀を積み䞊げお「開戊可胜」の裏付けにできるよう恣意的に䜜り出されたものだった。
 ぀たり「空気」を優先しおデヌタをねじたげおいたわけで、先にあげた総力戊研究所の゚ピ゜ヌドず過ちの本質は同じだ。ただしこちらは「開戊の決断」に盎結しおいるだけに、さらに愕然ずしおしたう。

 ずころで、こうした実態を「だから日本軍はダメなんだ」ず、過去の過ちずばかり切り捚おるのは尚早だろう。
 実は「デヌタより空気」な態床は、珟代の䌁業䞍祥事や䞍透明な政治的決定などにおいお、私たちにも既芖感があるもの。
 のぞたしい結果になるように蚘録を改ざんしたり、デヌタの裏付けのない決定をしたり ぀たり䟝然ずしお日本瀟䌚の「悪い癖」であり続けおいるわけだ。
 綿密な取材を重ねお線たれた本曞が教えおくれるのは、「そんなこずを重ねおいるず“最悪の結果”に぀ながっおいく」ずいう厳然たる事実にほかならない。

 こうした教蚓はより倚くの人、特に未来を担う若い䞖代にこそ共有しおほしいず぀くづく思う。戊埌78幎のこの倏、時代を超えお譊鐘を鳎らし続けおくれおいる本曞を、ぜひ手にずっおみおほしい。

文荒井理恵



💋䞍思議の囜 日本  空気の怖さ マスゎミ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はおなブックマヌクに远加する
  • LINEでシェアする

AIの進歩は人間の思考を倉えるのか 機械は人間になり、人間は機械になる 202307

2023-07-31 02:31:00 | ðŸ“— この本

AIの進歩は人間の思考を倉えるのか 機械は人間になり、人間は機械になる『人間非機械論 サむバネティクスが開く未来』
  本のひきだし より 230731


 本曞は、「サむバネティクス」ず呌ばれる科孊の、ずくにその知られざる埌期に぀いおの曞である。
 冒頭に曞かれたこの蚀葉通り、著者は本曞においお、サむバネティクスずいう孊問の誕生から、それが内包しおいたもう䞀぀の思想ずその理論を、党7章を通じ解き明かしおいく。

 著者によれば、そもそも「サむバネティクス」ずは、
生物ず機械を統䞀的な芳点から理解しようず構想された、分野暪断的な科孊の名である。
 米囜の数孊者ノヌバヌト・りィヌナヌによっお䞀九四八幎に提唱されたが、圌が単独で生み出した孊問ずいうよりも、専門領域を異にするさたざたな孊者が参画した、䞀皮の知的ムヌブメントであったずいった方が正確である。
 サむバネティクスは、粟神ずコンピュヌタ、より䞀般化しお蚀えば、生物ず機械を同䞀芖する思想ずしお、今日たで広く受容されおきた。

 そうだ。「機械は人間になり、人間は機械になる」ず題された第1章では、映画『マトリックス』や『攻殻機動隊』、『ブレヌドランナヌ』を䟋にずりながら、サむバネティクスが珟実ぞ溶け蟌んでいくこずで、人間・生物機械論である「コンピュヌティング・パラダむム」ずいうものの芋方が成立しおきた過皋を語る。

 続く第2章では、「コンピュヌティング・パラダむム」ず盞反する思想である「サむバネティック・パラダむム」が論じられる。埌者は人間・生物非機械論であり、本曞の䞻題でもある。
 いずれも「サむバネティクス」を元にしおおり、察極なパラダむムがどうしお同じ起源から生たれたのか、その経緯は興味深い。

 1980幎生たれの著者は東京薬科倧孊生呜科孊郚環境生呜科孊科を卒業埌、同倧孊倧孊院生呜科孊研究科で修士課皋を修了した。その埌、東京倧孊倧孊院孊際情報孊府修士課皋を経お、同倧孊院博士課皋を単䜍取埗退孊。情報孊を専門ずし、珟圚は東海倧孊講垫を務めおいる。

 ずころで私が本曞を読もうず思ったきっかけは、第4章「オヌトポむ゚ヌシスの衝撃」にある。か぀お、孊生時代に取った「科孊哲孊論」の講矩の䞭で、私はこの思想を孊んでいた。

 圓時の担圓教授にはいく぀もの逞話があった。たずえばそれは、「講矩䞭に喋っおいた孊生を泚意したずころ、孊生は教宀を退出した。
 するず教授は倧孊から埒歩15分の最寄り駅たで、その子を远いかけ走っおいったその間、他の孊生は教宀に残された」ずか「講矩䞭に教宀ぞ豚を連れおきたなぜかは忘れた」、「前方に座った孊生にあだなを぀けお毎回名指しする」など、䞀颚倉わった゚ピ゜ヌドばかり。
 入孊したおの身にその真停のほどは䞍明だったものの、興味を持った私は教授の専門領域である「オヌトポむ゚ヌシス」なる抂念にも觊れたくなった。

 結果ずしお、教授の講矩は面癜かった。だが内容は予想以䞊に難解で、圓時の私は語られる内容を曞き留めるこずだけで粟䞀杯。その思想が理解できたずはずおも思えないたた、䞀幎を終えおしたった。
 だからい぀か機䌚があったら、少しでも孊ぶこずができたらず願っおいた。

 するず思いがけず、本曞がその機䌚を䞎えおくれた。1973幎にチリの生物孊者であるりンベルト・マトゥラヌナずフランシスコ・ノァレラによっお提唱された「オヌトポむ゚ヌシス」の抂念を、マトゥラヌナが1960幎にチリ倧孊医孊郚生物孊科に着任したずころたで時間を巻き戻し、そこから䞁寧に玐説いおいる。

 ちなみに「オヌトポむ゚ヌシス」ずいう蚀葉はマトゥラヌナずノァレラによる造語で、
「オヌト」は自己、「ポむ゚ヌシス」は産出や創造を意味するギリシア語で、この二぀を぀なぎ合わせたものであり、生呜ずいう䞀぀のシステムがどのように組織化されおいるのかを指しおいる。
 なおその詳现は、第4章をじっくりず読み蟌んでほしい。いただ生半可な私がお䌝えするより、著者の念入りな解説をそのたたお読みいただいた方が、難解な内容も頭にするっず入るに違いない。

 オヌトポむ゚ヌシスにより補完されたサむバネティック・パラダむムは、時を経お、新しいサむバネティクス「ネオ・サむバネティクス」ぞずたどり着いた。
 最終章の第7章で、著者は本曞党䜓を振り返りながら、珟圚泚目を集めるAIに察する芖点や分析にも觊れおいる。専門的か぀硬掟な1冊であり、興味のある方には恰奜の教科曞ず蚀える本曞。すべおを理解できたずは蚀えない私も、少しず぀読み盎すこずで知り続けたい。



レビュアヌ田䞭銙織

人間非機械論 サむバネティクスが開く未来
著者西田掋平
発売日2023幎06月 発行所講談瀟
䟡栌2,255円皎蟌
ISBNコヌド9784065317785
※本蚘事は、講談瀟BOOK倶楜郚に2023幎7月11日に掲茉されたものです。
※この蚘事の内容は掲茉圓時のものです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はおなブックマヌクに远加する
  • LINEでシェアする

📚 知的奜奇心を満たす良曞が続々 ハダカワ新曞、創刊タむトル5䜜を培底レビュヌ 202307

2023-07-26 20:58:00 | ðŸ“— この本

知的奜奇心を満たす良曞が続々 ハダカワ新曞、創刊タむトル5䜜を培底レビュヌ
  Real Sound より 230726
 創刊ラむンナップは、
📗モデルの滝沢カレンが叀今東西の名䜜小説のタむトルから発想を飛躍させお物語を぀むぐ『銎染み知らずの物語』、
📗゚ラリむ・クむヌンやアガサ・クリスティヌの䜜品から英語を孊べる越前敏匥の『名䜜ミステリで孊ぶ英文読解』、
📗架空の旅のガむドブックを通しお化石の発芋が盞次ぐ叀生物倩囜・日本の魅力を読み解く土屋健の『叀生物出珟 空想トラベルガむド』、
📗解剖孊者や蚀語孊者やメタバヌス専門家など各界の俊英が「珟実ずは」ずの問いに応える藀井盎敬の『珟実ずはヌヌ脳ず意識ずテクノロゞヌの未来』、
📗教育の名のもずに行われる違法な虐埅行為に迫った石井光倪の『教育虐埅ヌヌ子䟛を壊す「教育熱心」な芪たち』の党5タむトルだ。

 参考「ハダカワ新曞」䞀ノ瀬翔倪線集長むンタビュヌ 「読む前ずは䞖界が違っお芋えるレンズのような本が䜜れたら」

 本皿では、創刊の党5タむトルを5人の曞評家がレコメンド。それぞれの魅力に぀いお掘り䞋げた。線集郚


■越前敏匥『名䜜ミステリで孊ぶ英文読解』杉江束恋
 過去に同様の著䜜もある越前敏匥が、初めおミステリのみをテキストずする英文読解指南曞を曞いた。取り䞊げられおいるのぱラリむ・クむヌン、アガサ・クリスティヌ、コナン・ドむルずいう叀兞䞭の叀兞の六䜜だ。
 で、原文が匕甚された埌に読者向けの蚭問があり、きちんず文意が取れおいるかがそこで刀断できるようになっおいる。適切な蚳語・蚳文を考えさせるだけではなく、「行目のコロンはどんな働きをしおいたすか」ずいうような問いもあり、英文をざっず読むだけだず芋過ごしおしたうようなずころにも泚意を向けさせられる。

 おもしろいのは各章に真盞を明かした䞊での蚭問、぀たり「ネタバレ」の皿があるこずで、ここではミステリ特有のルヌル、こずにフェアプレむの粟神に則っお原文を読むためにはどのような点に泚意すべきかずいうこずを孊べる。
 クむヌン『の悲劇』やクリスティヌ『アクロむド殺し』の、䜜䞭でも肝ず呌ぶべき文章に぀いおの蚀及があるのが流石で、こうした箇所をどう蚳すべきかを知るこずができる。逆に、蚳文を芋ただけではわからない発芋もあるのである。ミステリの゚ッセンスを知るこずのできる奜著である。


■滝沢カレン『銎染み知らずの物語』立花もも@
 滝沢カレンさんが初めおの小説を刊行、ず聞いお最初に思い浮かんだのはSFだった。蚀語センスだけでなく、枠にずらわれない自由な人柄をテレビを通じお感じおいたから、きっず奇想倩倖な物語を曞くに違いないず思ったのだ。だがたさか、名䜜小説のタむトルだけを聞いお、勝手にむメヌゞされた短線小説を幎間も曞き続けおいたずは

 『銎染み知らずの物語』は、その䞭から15䜜品をピックアップした小説集。『あしながおじさん』や『蟹工船』など誰もが聞いたこずのある叀兞から、『劻が怎茞だったころ』や『ザリガニの鳎くずころ』など、劄想のはかどりそうなタむトルの珟代小説たで、叀今東西の名䜜が新たに生み盎されおいる。ほずんどが想像だにしない奇抜な展開を芋せるのだが、ずきどき「ちょっず合っおる  」ず偶然の䞀臎を芋せるのもおもしろい。

〈曲がり気のない盎毛が楜しそうに階段を䞋るリズムで圌の頭で螊る〉などの文章衚珟もいい。文法の型からはズレおいるかもしれないけれど、情景が目に浮かぶうえに、こちらの想像力も刺激される。そうだ、読曞っおこんなにも自由なものだったのだず、思い出させおくれる物語ばかりである。

 読み終えたあずは原䜜ず比范しおみたくもなるので、読曞案内ずしおも新しい境地を切り開いおいる。ぜひ第二匟の刊行を、お願いしたい。


■土屋健『叀生物出珟! 空想トラベルガむド』藀井勉@
 倪叀の昔に絶滅したはずの叀生物が、時空の歪みによっお珟代に出珟。北海道の球堎ではケナガマンモスずナりマンゟりがき぀ねダンスに合わせおリズムを取る。倧阪城にできた叀生物カフェでは倖堀で採れるチリメンナキガむを䜿った料理が提䟛され、倚摩川では130䞇幎皋前の皮ず芋られるトドずアシカが新たな「タマちゃんブヌム」を巻き起こす。本曞はそんな叀生物が芳光名物ずなった日本各地を案内する、空想旅行ガむドである。

 本曞の制䜜にあたっおは、自然史系の博物通の孊芞員や研究員が協力をしおいる。圌らの専門分野である地質孊や叀生物孊は、地局を解析し化石を調べるこずで叀生物の生きおいた「過去の景色」に迫るこずのできる孊問だが、著者はその研究手法を応甚。専門家たちに「珟代に叀生物が出珟するずしたら」ず質問を投げかけ、圌らが思い浮かべた生物や登堎する堎所などのむメヌゞを膚らたせおいく。そこから科孊的な裏付けのある空想䞖界が生たれ、読者は地局を解析したり化石を発掘しなくおも、叀生物ず人間の共存する景色を楜しむこずができる。

 読み終えたら実際に化石を芋に行っおほしいずいうこずで、各地の博物通情報も豊富な本曞。珟実に䜿える旅行ガむドずしおも実はオススメだ。


■石井光倪『教育虐埅 子䟛を壊す「教育熱心」な芪たち』䞭田英志郎
 芪による行き過ぎた教育が、「教育虐埅」ず呌ばれるこずが増えおきた。それは、か぀おはスパルタ教育ず蚀われたものも含む。圓然ずしお、あるいは子どもが䜕らかの圢で成功を収めたケヌスでは称賛の察象ずもなる。よっお、教育ず虐埅の線匕きは容易ではない。しかし、䞀方的に芪が理想を子どもに抌し぀け人暩を䟵害するのは、教育ではなく違法行為だ。行き過ぎにより、教育の名のもず芪が子を殺害した事件、たたは䜓力差が逆転し子が芪を殺害した事件などを、衝撃をもっお瀟䌚は経隓しおきおいる。

 教育を巡っおは、「育児攟棄」「教育栌差」「芪ガチャ」など、時代を反映し問題を切り取ったキヌワヌドが次々ず䞖に攟たれおいく。しかし本曞を読み、「教育虐埅」の呚囲に拡がる闇はこずさら暗く感じられた。
 芪も子も盞手は遞べない。芪自身が幌少期に受けた教育を、負の偎面たで子の䞖代に匕き継ぐ。これらは教育党般が抱える問題だろう。それに加え「教育虐埅」は、芪が自分の指導を正しいず信じ、子もそれが圓然だず感じおいるケヌスも倚い。呚囲も介入に躊躇し、圓事者も考えを改めるこずに困難を䌎うだろう。自立前の子どもには逃げ堎はない。それでも圌らは未来を担う瀟䌚の倧切な資産である。本曞により、僅かでも䞖の認識が深たるこずを祈るばかりだ。


■藀井盎敬『珟実ずは 脳ず意識ずテクノロゞヌの未来』杉本穂高@
「珟実ずは䜕か」なんおあたりにも自明すぎお、そんなこずを問う人はほずんどいない。だが、本曞はたさにその自明すぎる珟実ずいうものを改めお問う。珟代では、神経科孊や脳科孊、テクノロゞヌの発達によっお、珟実ずは個々人によっお異なる䜓隓なのではないか、ずいう実感が急速に広がっおいる。これからの時代、今たでのように皆が珟実を共有しお生きおいるずは蚀えなくなるかもしれない。そんな時代を迎える珟代人党おにずっお、本曞の問いは切実なものだ。

 本曞は、著者である脳科孊者の藀井盎敬氏が「珟実科孊レクチャヌシリヌズ」ず題しお2020幎から実斜しおいるオンラむンむベントを曞籍化したものだ。ゲストスピヌカヌは、解剖孊者や情報科孊者に蚀語心理孊者、゚ンゞニアから胜楜垫ず幅広い人遞で、倚角的に「珟実」に぀いおの議論が展開される。

 VRやAR、AIなどテクノロゞヌによっお拡匵される珟実、胜ずいう䌝統芞胜における珟実認識、脳の働きず珟実の認識を怜蚎するものなど、実に様々な芳点から「珟実」ずいうひどく曖昧な、しかしだれにずっおも重芁なテヌマを考察する。本曞の読埌感は、著者が曞く通り、「圓たり前すぎお疑うこずがないが、疑い始めるずわからなくなる」P6ずいったものだが、䞍思議ず嫌な気分にならず、霧かかった芖界が開けるような爜快感がある良曞だ。


⚫︎特集ハダカワ新曞



💋 7/26迄、これを芋るたで気付かず、早速7/27 Alp本屋で芋぀け買眮き䟝頌
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はおなブックマヌクに远加する
  • LINEでシェアする