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脱ネガティブを計るべく、浮きつ沈みつ漂う女の戯言日記

ピーター・グリーナウェイの枕草子

2008-02-10 | 本・映画
清少納言もぶっとぶ、グリーナウェイ版「枕草子」。
日本と中国と香港と今と昔をごちゃ混ぜにして、西洋人の目から万華鏡で
覗いた・・という感じか。
でもラストがハッピィ・エンドとは言えないまでも仇を討ってすっきり的な
印象だったので、彼の作品の中で結構嫌いではなかったりする。
昔観た時は割と普通の(?)お話のように感じたのだけれど、久しぶりに
観てみたらやっぱりなかなか一筋縄では行かない内容で(笑)

誕生日に顔に名前を書き入れて貰うという風習を私は聞いた事がない
けれど、どこかの地方の慣わしなのか、主人公の母親は中国人の設定
だったからあちらの風習なのか。
誕生日が来る度父に名前を書いて貰って育ったナギコは、やがて成長し
自分の身体中に書を描いてくれる愛人を求めるようになる。
そして自分が他人の身体を紙にして書を書く立場へと変わって行くのだ
けれど、その中で出逢ったモデルである恋人は、実はかつて父を陵辱し
辱めていた出版社社長の変態ホモエロ親父の愛人でもあった。
皮肉にもその出版社から自分の本を出そうとした彼女は、行き違いから
恋人が自殺してしまい永遠に失う事になる。
彼の身体に別れの書をしたためて埋葬したナギコ。だがとんでもない事に
エロ社長はその遺体を掘り出し、皮を剥いでそのまま描かれた書を巻物に
仕立て己のものとしてしまう。
愛する人の亡骸への冒涜を知ったナギコは、次々と身体に書をしたためた
使者を社長のもとへ送り込む。
13章目の最後の使者が表したのは「死」。そして彼女は見事に復讐を遂げる
・・・・。

今回見直してみて不思議に思ったのは、悪行の限りを尽くしてきたエロ
社長がおとなしく観念して死を受け入れるところ。死者を冒涜する事も
厭わない奴がなぜ簡単に?
刺客がスモウレスラーだったからか?(笑)
彼はナギコの書を最終的に高く評価していたので、彼が執着していたのは
愛人の皮膚だったのか作品としての書だったのか。

ナギコ役はヴィヴィアン・ウー、エロ社長にやられてしまう父親に緒形拳!
巻物にされちゃう(笑)恋人はユアン・マクレガー、叔母とお手伝いと
清少納言の三役が絶妙な吉田日出子。
吉田さん好きです。ブラボー。