文法上の間違いのパターンについて、前回の続きを見ていく。今回は、ことばの組合せの誤用のパターンである。
内容は、中華書局《現代漢語》蘭賓漢、那向東主編2006年から取り、理解しやすいよう、言葉を追加した。
(二)ことばの組合せの不適当
1、主語と述語の組合せの不適当
① 在這場火災中,她的面容被焼焦了,鼻子、耳朶被焼没了。
“面容”は容貌、顔つきの意味で、物理的な「顔」ではない。ここでは、述語“焼焦”で、火事で顔そのものが焼けてしまったことを言っているので、“面容”でなく、“面部”や“臉部”に置き換えるべきである。
② 参加長跑的運動員在公路上馳騁。
“馳騁”chi2cheng3 は“騎馬”、「馬に乗って駆け回る」という意味であり、この文の主語の“運動員”と結びつかない。ここでは、“飛奔”や“奔跑”に置き換えるべきである。
③ 強烈的民族自尊心和几天来一直圧在胸中的怒火一下爆発出来。
この文の主語は、“自尊心”と“怒火”二つの語句から成るが、述語“爆発”と“怒火”は結びつくが、“自尊心”は結びつかない。したがって、主語の前半の部分は、新たに述語を加え、“強烈的民族自尊心不能受到傷害,几天来一直圧在胸中的怒火一下爆発出来。”とふたつの主述句で構成される文に変えなければならない。
2、述語と賓詞の組合せの不適当
① 他的自己的行動塑造了巨大的人格力量,引導和感動着周囲的人們。
動詞“塑造”の対象は具体的な形象でなければならず、“人格力量”を賓語に取ることはできない。ここでは、“塑造了”を“形成了”に改めるべきである。
② 我会十分情願地捍衛我的国家,捍衛我生活地地方。
“捍衛”han4wei4と“防衛”は意味の良く似たことばであるが、“捍衛”の対象は一般に抽象的な事物であり、例えば“捍衛国家主権”という言い方をするのに対し、“防衛”の対象はより具体的な人や事物で、“防衛祖国”という言い方をする。この例では、賓語“我的国家”、“我生活地地方”は具体的な場所であるので、“防衛”に改めるべきである。
③ 文静秀气的文竹,宜配紅色的宜興盆,另加一个雪白的水盤,就顕得協調和漂亮,更好地起到装点家居的効果。
“起到”と“効果”は結びつかない。“起到”を活かすのであれば、後ろの賓語は“作用”であり、逆に“効果”を活かすのであれば、前の動詞は“獲得”、“達到”である。“宜配”の“宜”には、確かに「適している」「ふさわしい」という意味があるが、“相宜”、“適宜”といった語句の結びつきをし、“宜配”という語句はあまり使われないのではないかと思う。“配”を「ふさわしい」、「つりあう」という意味に使うなら、“配上”が適当である。また、“家居”という言い方もあまりしないと思う。居間のことをいうなら、“居室”である。
④ 今年8月3日,她獲得赴美簽証,終于可以去探親在那里留学的丈夫。
“探親”は自動詞で、賓語を伴うことができない。ここは賓語“丈夫”を受けないといけないので、他動詞“探望”に改めるべきである。
3、修飾語と中心語の組合せの不適当
① 假冒偽劣的問題不僅是一個経済現象,而且与社会各項領域有着千頭万緒的聯系,因而需要社会来共同治理。
成語“千頭万緒”は考えや物事が雑然とし、入り乱れている様で、“聯系”とは結びつかない。ここは様々な点で結びついている、ということを言いたいので、その場合の成語は“千絲万縷”qian1si1wan3lv3 がふさわしい。
② 休閑要有清静的心情,在寧静中品味自然之美。
“清静”は、あたりが静かである、閑静である、という意味である。この句の主語は“休閑”であるので、“心情”とは結びつかない。ここは、“心情”を“環境”に変えるべきであう。
③ 我到書店転了半天,最后買回一本古漢語書籍。
“書籍”は集合名詞で、具体的な数量を表す数量詞をつけることができない。ここは、“書籍”を“書”に改めるべきである。
④ 只要稍微深思熟慮一下,就不会做出這様錯誤的决定。
“稍微”数量が少なかったり程度が軽いことをいい、一方、“深思熟慮”は深く十分に考えをめぐらすことで、相矛盾している。ここは、“深思熟慮”を“思考”に変えればよい。
⑤ 対爸爸説着説着,女儿又把眼睛転移到媽媽身上。
“眼睛”は眼そのもののことなので、それが“転移到媽媽身上”などということはあり得ない。ここは、「視線」の意味であるから、“眼睛”を“目光”に変えなければならない。
⑥ 老師笑得那麼慈様,笑得那麼耐心。
“笑”には、「愉快である、うれしい」という意味合いがあり、一方、“耐心”には「耐える、辛抱する」という意味合いで、“笑得耐心”という状況はあり得ない。ここは、“耐心”を“開心”に改めるべきである。
⑦ 他們在這一帯逗留了400多年。
“逗留”は「短期間滞在する」意味であり、“400多年”という時間と相容れない。したがって、“逗留”を“居住”に改め、長年そこに住んでいる、という意味にしなければならない。
4、主語と賓語の組合せの不適当
① 我国盲人数量是世界上最多的国家。
主語“数量”と賓語“国家”は結びつかない。“是”の位置を変え、“我国是盲人数量世界上最多的国家”としてしまえば、主語が“我国”なので、賓語“国家”と結びつく。或いは、既に“我国”と言っているのだから、“国家”を削除し、“我国盲人数量是世界上最多的”としてもよい。
② 五月的沈陽,是繁花似錦、気候宜人的季節。
主語“沈陽”と賓語“季節”は結びつかない。“沈陽的五月”と主語を“五月”にしてしまえば、賓語“季節”と結びつけられる。
・繁花似錦 fan2hua1si4jin3 咲き乱れる花が錦のように美しい
・気候宜人 qi4hou4yi2ren2 気候が穏やかで心地よい
5、関連することばの組合せが不適当
① 無論你走到哪里,哪里就会有好心人帮助你。
接続詞“無論”は“都”と呼応して条件関係を表すので、後段の“就”を“都”に変えなければならない。
② 即使我們取得了很大的成績,但是也不応該驕傲自満。
“即使”は譲歩関係を示し、“但是”は転換関係を表すので、この二つをいっしょに使うことはできない。“即使”を削除して、転換関係を表すようにするか、或いは“但是”を削除して、譲歩関係を表すようにすればよい。
・驕傲自満 jao1ao4zi4man3 おごり高ぶって、いい気になる
③ 為了搶救国家財産和人民的生命,哪怕刀山火海,我們就要上。
接続詞“哪怕”は“也”と呼応して譲歩関係を表すので、後段の“就”を“也”に変えなければならない。
・刀山火海 dao1shan1huo3hai3 剣の山、火の海。非常に危険で容易に通れないところ。
(三)ことばの成分の欠如と余分
1、主語の欠如と余分
① 在第二次洪峰的衝撃下,造成了長江堤岸多処決口的険情。
この文章は、主語が欠落している。修正方法はふたつある。ひとつは、前段の“在第二次洪峰的衝撃下”から“在”、“下”を削除し、“第二次洪峰的衝撃”を主語とする文章にする。もうひとつの方法は、“長江堤岸”を主語とするため、“造成了”を削除し、“長江堤岸”の後ろに“出現了”を加える。
・洪峰 hong2feng1 河川の増水期の最高水位。最高水位に達した洪水
② 自従徳国人発明汽車以后,很快贏得了人們的喜愛。
“贏得了人們的喜愛”の主語は“汽車”であるが、“汽車”は介詞句“自従~以后”の中に置かれているので、主語となることはできず、結果として、この文章には主語が存在しない。正しく“汽車”を主語とするため、語順を入れ替え、“汽車由徳国人発明以后,很快贏得了人們的喜愛。“とすればよい。
③ 看到老師們忘我工作的情景,使我深受感動。
“看到”、“使”と前段、後段とも使役構文にしたことにより、主語が欠落してしまっている。これも修正方法はふたつあり、ひとつは、“使”を削除し、“我”を主語とする。もうひとつは、“看到”を削除し、“情景”を主語とする。
④ 這里的変化太快了,只半年時間,又一片高楼大厦的建筑拔地而起。
“一片高楼大厦”と“建筑”は同じことを言っている。ここは、“的建筑”を削除し、“一片高楼大厦”を主語とする文章に改めるべきである。
・拔地而起 ba2di4er2qi3 切り立つようにそびえ立つ
2、述語の欠如と余分
① 她整天在家做飯、挑水、掃地等瑣砕的家務活,一天忙到晩。
この文は述語となる動詞が欠落している。“做飯”の前に、“幹”を加えなければならない。
② 我為大学生們安于学習而安慰。
“安慰”は「慰め」という名詞で使うか、動詞として用いる場合は他動詞で、必ず後ろに賓語を伴う。ここでは、“而”の後ろに“安慰”が単独で置かれて、舌足らずの感じになっている。“安慰”を名詞と考え、その前に述語となる動詞を入れるのが自然である。“安慰”の前に“感到”を加えるべきである。
③ 越来越多的人覚得看病難,這一現象令人値得深思。
後段で、“令人”と“値得”はよく似た意味で、どちらか一方だけで意味が通じるし、その方がすっきりする。ここは、“令人”或いは“値得”のいずれかを削除すべきである。
3、賓語の欠如と余分
① 在西部大開発的浪潮中,廠長提出了“我們該怎麼辧”,譲大家討論。
“提出了”の後ろには、通常、名詞、或いは名詞句を伴い、動詞、動詞句を伴うことはない。“我們該怎麼辧”の後ろに“的問題”を加え、名詞句にしなければならない。
② 高分子材料用在医学上,大致可分為机体外使用与机体内使用。
“可分為”の後ろの賓語はふたつあり、動詞“分為”と呼応させるため、句の終わりに“両種”を加えた方がよい。
③ 看到数千兵馬俑組成的龐大軍陣的場面,我們完全被它的恢宏气勢驚呆了。
前段で、“軍陣”と“場面”は同じことを言っている。わざわざ“場面”を加える意味はなく、“的場面”を削除すべきである。
4、修飾成分の欠如と余分
① 改革開放対中国的経済発展起着何等的作用啊!
“何等的作用”だけでは、“作用”の内容がわからない。ここは、“的作用”の前に修飾語として、形容詞“重要”を挿入すれば、感嘆符で強調しようとしている内容が明確になる。
② 首都将建一座10万吨的啤酒廠,以満足居民啤酒消費量日益増長的需要。
“10万吨的啤酒廠”では、何が“10万吨”なのかわからない。“年産10万吨啤酒的啤酒廠”或いは“年10万吨産量的啤酒廠”というように、修飾成分を補充し、意味を明確にしなければならない。
③ 作為妻子,当丈夫為了某種正常的事業而処于忘我的境地時,“理解”就顕得至関重要。
中国語には、褒義詞(ほめる意味に使うことば)、貶義詞(けなす意味に使うことば)があるが、“事業”は通常、褒義詞(ほめる意味に使うことば)として用いられる。したがって、“事業”は集団行動でも個人行動でも必ず人の役に立つ意義あることであり、この例で名詞“事業”の前に置かれた定語“某種”“正常的”は余計なことばで、削除すべきである。
内容は、中華書局《現代漢語》蘭賓漢、那向東主編2006年から取り、理解しやすいよう、言葉を追加した。
(二)ことばの組合せの不適当
1、主語と述語の組合せの不適当
① 在這場火災中,她的面容被焼焦了,鼻子、耳朶被焼没了。
“面容”は容貌、顔つきの意味で、物理的な「顔」ではない。ここでは、述語“焼焦”で、火事で顔そのものが焼けてしまったことを言っているので、“面容”でなく、“面部”や“臉部”に置き換えるべきである。
② 参加長跑的運動員在公路上馳騁。
“馳騁”chi2cheng3 は“騎馬”、「馬に乗って駆け回る」という意味であり、この文の主語の“運動員”と結びつかない。ここでは、“飛奔”や“奔跑”に置き換えるべきである。
③ 強烈的民族自尊心和几天来一直圧在胸中的怒火一下爆発出来。
この文の主語は、“自尊心”と“怒火”二つの語句から成るが、述語“爆発”と“怒火”は結びつくが、“自尊心”は結びつかない。したがって、主語の前半の部分は、新たに述語を加え、“強烈的民族自尊心不能受到傷害,几天来一直圧在胸中的怒火一下爆発出来。”とふたつの主述句で構成される文に変えなければならない。
2、述語と賓詞の組合せの不適当
① 他的自己的行動塑造了巨大的人格力量,引導和感動着周囲的人們。
動詞“塑造”の対象は具体的な形象でなければならず、“人格力量”を賓語に取ることはできない。ここでは、“塑造了”を“形成了”に改めるべきである。
② 我会十分情願地捍衛我的国家,捍衛我生活地地方。
“捍衛”han4wei4と“防衛”は意味の良く似たことばであるが、“捍衛”の対象は一般に抽象的な事物であり、例えば“捍衛国家主権”という言い方をするのに対し、“防衛”の対象はより具体的な人や事物で、“防衛祖国”という言い方をする。この例では、賓語“我的国家”、“我生活地地方”は具体的な場所であるので、“防衛”に改めるべきである。
③ 文静秀气的文竹,宜配紅色的宜興盆,另加一个雪白的水盤,就顕得協調和漂亮,更好地起到装点家居的効果。
“起到”と“効果”は結びつかない。“起到”を活かすのであれば、後ろの賓語は“作用”であり、逆に“効果”を活かすのであれば、前の動詞は“獲得”、“達到”である。“宜配”の“宜”には、確かに「適している」「ふさわしい」という意味があるが、“相宜”、“適宜”といった語句の結びつきをし、“宜配”という語句はあまり使われないのではないかと思う。“配”を「ふさわしい」、「つりあう」という意味に使うなら、“配上”が適当である。また、“家居”という言い方もあまりしないと思う。居間のことをいうなら、“居室”である。
④ 今年8月3日,她獲得赴美簽証,終于可以去探親在那里留学的丈夫。
“探親”は自動詞で、賓語を伴うことができない。ここは賓語“丈夫”を受けないといけないので、他動詞“探望”に改めるべきである。
3、修飾語と中心語の組合せの不適当
① 假冒偽劣的問題不僅是一個経済現象,而且与社会各項領域有着千頭万緒的聯系,因而需要社会来共同治理。
成語“千頭万緒”は考えや物事が雑然とし、入り乱れている様で、“聯系”とは結びつかない。ここは様々な点で結びついている、ということを言いたいので、その場合の成語は“千絲万縷”qian1si1wan3lv3 がふさわしい。
② 休閑要有清静的心情,在寧静中品味自然之美。
“清静”は、あたりが静かである、閑静である、という意味である。この句の主語は“休閑”であるので、“心情”とは結びつかない。ここは、“心情”を“環境”に変えるべきであう。
③ 我到書店転了半天,最后買回一本古漢語書籍。
“書籍”は集合名詞で、具体的な数量を表す数量詞をつけることができない。ここは、“書籍”を“書”に改めるべきである。
④ 只要稍微深思熟慮一下,就不会做出這様錯誤的决定。
“稍微”数量が少なかったり程度が軽いことをいい、一方、“深思熟慮”は深く十分に考えをめぐらすことで、相矛盾している。ここは、“深思熟慮”を“思考”に変えればよい。
⑤ 対爸爸説着説着,女儿又把眼睛転移到媽媽身上。
“眼睛”は眼そのもののことなので、それが“転移到媽媽身上”などということはあり得ない。ここは、「視線」の意味であるから、“眼睛”を“目光”に変えなければならない。
⑥ 老師笑得那麼慈様,笑得那麼耐心。
“笑”には、「愉快である、うれしい」という意味合いがあり、一方、“耐心”には「耐える、辛抱する」という意味合いで、“笑得耐心”という状況はあり得ない。ここは、“耐心”を“開心”に改めるべきである。
⑦ 他們在這一帯逗留了400多年。
“逗留”は「短期間滞在する」意味であり、“400多年”という時間と相容れない。したがって、“逗留”を“居住”に改め、長年そこに住んでいる、という意味にしなければならない。
4、主語と賓語の組合せの不適当
① 我国盲人数量是世界上最多的国家。
主語“数量”と賓語“国家”は結びつかない。“是”の位置を変え、“我国是盲人数量世界上最多的国家”としてしまえば、主語が“我国”なので、賓語“国家”と結びつく。或いは、既に“我国”と言っているのだから、“国家”を削除し、“我国盲人数量是世界上最多的”としてもよい。
② 五月的沈陽,是繁花似錦、気候宜人的季節。
主語“沈陽”と賓語“季節”は結びつかない。“沈陽的五月”と主語を“五月”にしてしまえば、賓語“季節”と結びつけられる。
・繁花似錦 fan2hua1si4jin3 咲き乱れる花が錦のように美しい
・気候宜人 qi4hou4yi2ren2 気候が穏やかで心地よい
5、関連することばの組合せが不適当
① 無論你走到哪里,哪里就会有好心人帮助你。
接続詞“無論”は“都”と呼応して条件関係を表すので、後段の“就”を“都”に変えなければならない。
② 即使我們取得了很大的成績,但是也不応該驕傲自満。
“即使”は譲歩関係を示し、“但是”は転換関係を表すので、この二つをいっしょに使うことはできない。“即使”を削除して、転換関係を表すようにするか、或いは“但是”を削除して、譲歩関係を表すようにすればよい。
・驕傲自満 jao1ao4zi4man3 おごり高ぶって、いい気になる
③ 為了搶救国家財産和人民的生命,哪怕刀山火海,我們就要上。
接続詞“哪怕”は“也”と呼応して譲歩関係を表すので、後段の“就”を“也”に変えなければならない。
・刀山火海 dao1shan1huo3hai3 剣の山、火の海。非常に危険で容易に通れないところ。
(三)ことばの成分の欠如と余分
1、主語の欠如と余分
① 在第二次洪峰的衝撃下,造成了長江堤岸多処決口的険情。
この文章は、主語が欠落している。修正方法はふたつある。ひとつは、前段の“在第二次洪峰的衝撃下”から“在”、“下”を削除し、“第二次洪峰的衝撃”を主語とする文章にする。もうひとつの方法は、“長江堤岸”を主語とするため、“造成了”を削除し、“長江堤岸”の後ろに“出現了”を加える。
・洪峰 hong2feng1 河川の増水期の最高水位。最高水位に達した洪水
② 自従徳国人発明汽車以后,很快贏得了人們的喜愛。
“贏得了人們的喜愛”の主語は“汽車”であるが、“汽車”は介詞句“自従~以后”の中に置かれているので、主語となることはできず、結果として、この文章には主語が存在しない。正しく“汽車”を主語とするため、語順を入れ替え、“汽車由徳国人発明以后,很快贏得了人們的喜愛。“とすればよい。
③ 看到老師們忘我工作的情景,使我深受感動。
“看到”、“使”と前段、後段とも使役構文にしたことにより、主語が欠落してしまっている。これも修正方法はふたつあり、ひとつは、“使”を削除し、“我”を主語とする。もうひとつは、“看到”を削除し、“情景”を主語とする。
④ 這里的変化太快了,只半年時間,又一片高楼大厦的建筑拔地而起。
“一片高楼大厦”と“建筑”は同じことを言っている。ここは、“的建筑”を削除し、“一片高楼大厦”を主語とする文章に改めるべきである。
・拔地而起 ba2di4er2qi3 切り立つようにそびえ立つ
2、述語の欠如と余分
① 她整天在家做飯、挑水、掃地等瑣砕的家務活,一天忙到晩。
この文は述語となる動詞が欠落している。“做飯”の前に、“幹”を加えなければならない。
② 我為大学生們安于学習而安慰。
“安慰”は「慰め」という名詞で使うか、動詞として用いる場合は他動詞で、必ず後ろに賓語を伴う。ここでは、“而”の後ろに“安慰”が単独で置かれて、舌足らずの感じになっている。“安慰”を名詞と考え、その前に述語となる動詞を入れるのが自然である。“安慰”の前に“感到”を加えるべきである。
③ 越来越多的人覚得看病難,這一現象令人値得深思。
後段で、“令人”と“値得”はよく似た意味で、どちらか一方だけで意味が通じるし、その方がすっきりする。ここは、“令人”或いは“値得”のいずれかを削除すべきである。
3、賓語の欠如と余分
① 在西部大開発的浪潮中,廠長提出了“我們該怎麼辧”,譲大家討論。
“提出了”の後ろには、通常、名詞、或いは名詞句を伴い、動詞、動詞句を伴うことはない。“我們該怎麼辧”の後ろに“的問題”を加え、名詞句にしなければならない。
② 高分子材料用在医学上,大致可分為机体外使用与机体内使用。
“可分為”の後ろの賓語はふたつあり、動詞“分為”と呼応させるため、句の終わりに“両種”を加えた方がよい。
③ 看到数千兵馬俑組成的龐大軍陣的場面,我們完全被它的恢宏气勢驚呆了。
前段で、“軍陣”と“場面”は同じことを言っている。わざわざ“場面”を加える意味はなく、“的場面”を削除すべきである。
4、修飾成分の欠如と余分
① 改革開放対中国的経済発展起着何等的作用啊!
“何等的作用”だけでは、“作用”の内容がわからない。ここは、“的作用”の前に修飾語として、形容詞“重要”を挿入すれば、感嘆符で強調しようとしている内容が明確になる。
② 首都将建一座10万吨的啤酒廠,以満足居民啤酒消費量日益増長的需要。
“10万吨的啤酒廠”では、何が“10万吨”なのかわからない。“年産10万吨啤酒的啤酒廠”或いは“年10万吨産量的啤酒廠”というように、修飾成分を補充し、意味を明確にしなければならない。
③ 作為妻子,当丈夫為了某種正常的事業而処于忘我的境地時,“理解”就顕得至関重要。
中国語には、褒義詞(ほめる意味に使うことば)、貶義詞(けなす意味に使うことば)があるが、“事業”は通常、褒義詞(ほめる意味に使うことば)として用いられる。したがって、“事業”は集団行動でも個人行動でも必ず人の役に立つ意義あることであり、この例で名詞“事業”の前に置かれた定語“某種”“正常的”は余計なことばで、削除すべきである。
④ 在本届演講比賽中,華東師範大学代表隊和曁南大学代表隊獲得冠軍和亜軍。
この文章は、“華東師範大学代表隊”と“曁南大学代表隊”がそれぞれ“冠軍”、“亜軍”になった、ということを言いたいはずだが、このままでは2つの大学のチームが1位、2位の何れをも獲得した、という意味になってしまう。状況語“分別”を挿入し、“分別獲得”としなければならない。
⑤ 両架直升飛机里穿迷彩服的隊員,紛紛相互朝対方伸出表示勝利的両指。
“相互”、“朝対方”は同じ意味のことばを重複して使用しており、何れか一方を削除すべきである。
⑥ 管理給企業帯来的変化,突出地表現在全廠上下厳把質量関、争創名牌産品。
この例では、動詞“表現”の後の介詞“在”ではじまる句の末尾に動作の方向を表す方向補語が欠けているため、文章が不完全なような印象を受ける。句末に“上”を加えるべきである。
⑦ 多方組織資源,確保古城市民“双節”能吃新鮮蔬菜。
この例では、動詞“吃”のうしろに方向補語“上”を加えることで、到達目標を明確にすることができる。
⑧ 進入12月中旬,数十種高档、中高档掛歴几天之内全部銷售得脱銷了。
この例では、動詞“銷售”と補語“脱銷”の語義が重複してしまっている。“全部銷售”と“脱銷”は全く同じことを言っているから、“全部銷售得脱銷了”を“脱銷了”に変えるべきである。
【原文】中華書局《現代漢語》蘭賓漢、那向東主編2006年
但し、日本語への翻訳と、内容の加筆、修正を加えてある。
中国語の文法上の間違いについては、この他、語順の間違いがある。これについては、次回、見ていきたい。