星空研究Memo

ここは某天文屋の外部記憶装置である。

研究メモ (2012/09/03)

2012-09-03 19:35:10 | 研究ネタ

t3 の度数分布を年代ごとに見てみた。



全体としては、1990年頃までは t3 = 40 ~ 50 日くらいのものが多かったように見えますが
2011 年頃までで見てみると、 t3 = 10 ~ 30 日くらいのものが多くなっています。
以下、空間ごとに見てみます。


先と同じく20年以上前と比べ、2011年頃までで見ると
やはり速い新星が多く検出されるようになった感じです。


バルジで見てみると、20年以上前ではバルジで速い新星ってほとんど無かったようですが、
2011 年頃までを含めると、速い新星がかなり増えた感じ。

仮に速い新星と遅い新星がまんべんなく存在しているとすると、
遅い (WD が軽い) 新星は爆発に時間もかかるでしょうから、それほど数が増えないのでしょうか。

あと新星の発見数の増加。
つまり検出の深さが増したことや、天域のカバー率が (時間的にも) 上がったことで
これまで見逃されていた速い新星が見つかるようになってきた?!ということなのだろうか。

以下、おまけ図。


z と t3 には相関があると della Valle (2003) などで言われていたので
z vs. t3 で散布図を描いてみたけど... うーん、なんだこれ。無相関?!
やはり怪しい距離の新星が多く含まれているのだろうか?!


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4 Comments

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Unknown (中島淳一)
2012-09-03 22:27:40
検出された年代と、新星の周期が相関しているというのは、天体物理的な理由というよりも、なにか観測的バイアスがありそうな気がしてしまいますね。
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Unknown (meineko)
2012-09-04 10:32:19
わたしも、バイアス説に1票。
発見の頻度が低かったので、t3の短いものが見逃されている可能性がないでしょうか。
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さらに感色性 (大島修)
2012-09-04 22:25:55
私もグラフだけを見て、最近は密に発見されるようになってきたのだなあと考えていました。あと、発見に使われた乳剤・デバイスの感色性が、年代的に青(生写真乳剤)→実視(パンクロ)→赤(CCD、CMOS)と移ってきていることも、星間赤化を受けた新星の検出が容易になってきたことと関係しているかも知れませんね。
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Unknown (Iak)
2012-09-05 08:27:29
> 中島さん、meinekoさん、大島さん
御三方、コメントありがとうございます。

ご指摘の通り、私も観測 (検出) というバイアスが一番大きいかと感じております。
モニターの時間分解能、ネットワーク、天域拡大、等級の深さ、あと大島さんがご指摘下さった検出器の波長感度特性も大きく影響しているのかなぁと思いました。

検出数が増える一方で速い新星に対して遅い新星が同じくらい増えないのはどうしてかなぁ、なんてことも思っているのですが...
slow nova は fast nova に比べて1~2等は絶対等級が暗いし、 今の定説 (?!) では slow は bulge に多いと言われていて、そんな領域にいたら星間吸収も強いだろうし、検出数が上がらないのかなぁ、と色々妄想中です (^^;
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