星空研究Memo

ここは某天文屋の外部記憶装置である。

デジタル一眼レフカメラによる星の測光

2009-10-27 05:42:34 | デジカメ観測
趣味の天体写真用に購入したデジカメ(キスデジN)を
ふと「測光」に使えないかと色々調べていくうちに
制約はあるものの、ある程度使えることがわかった。

眼視測光を始めたのをキッカケに、デジカメ測光にも挑戦というわけである。
簡単にテストしてみたので書き残す。


測光に使った画像(RAWで撮りました)。2009.10.26撮影。
色は反転してあります。
場所はぎょしゃ座、一番目立つ黒い点がカペラです。
線で示した星が目的星のぎょしゃ座イプシロン星(ε Aur)。
この天体は軌道周期27.1年という非常に長い軌道周期を持ち
また謎多き食変光星として知られている。
実は今、数十年ぶりに食の真っ只中なのである。

機材はキスデジN + EF50mm F1.8 II
ISO800, 絞り2.8, 露出10秒, 固定撮影。

測光に使用したのは1枚だけ。
ほんとならコンポジットしたほうがいいのだろうけど。

測光ソフトはIRISというフリーソフトを使用しました。
http://www.astrosurf.com/~buil/us/iris/iris.htm
なんとRAW画像も読み込めるのです。
RAW画像をFITS形式に書き直すことも試みましたが
ナゼか行えませんでした・・・残念;

というわけで6個ほど比較星をとりアパーチャー測光した。
測光結果に等級値を出してくれるがどれも
-12等やら-11等やら、やたら明るい数値をはじき出す。

どういう計算過程なのかはとりあえず謎。
とりあえず、比較星等級(VT mag)と測光で出した等級のグラフを作成。
どのくらいの線形性があるのかを最小二乗法を用い見てみた。


ほうほう。
一応、リニアリティはありそう。
 Y = 1.17(±0.07)X + 17.82(±0.82)
でフィットできます。

この結果とepsilon Aurの測光結果から
等級値 = 3.25 (±0.17)
を得ることが出来た。
(エラーは回帰直線が予測出来なかった量の標準偏差)

うーむ。
果たしてこれは使える結果なのか・・・
まったく無意味なことをしているのか・・・
いまいち自信が持てません。


☆今後の課題など
 IRISの出す等級値の計算過程の解明。
 コンポジットを用いるべきか。
 露出時間は適当か。
 固定撮影でいいのか。
 ダーク・フラットの補正。
 比較星の数はどれくらいいるのか。
 目的星と比較星の等級差はどれくらいが適当か。
 リニアリティはどこまで保たれるのか。
 比較星等級は本当にVT等級でいいのだろうか。

などなど
書き出すとキリがありませんのでこの辺で・・・
あと別の観測者の方と比較検討が出来ればもう少し議論できそう。


今回、下記の資料・サイトを大変参考にさせて頂きました。
この場を借りて御礼申し上げます。
 ・天体観測の教科書変光星観測, 日本変光星研究会[編], 2009, 誠文堂新光社
 ・永井和男さんのHP
 (http://homepage3.nifty.com/nga_star/)

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